社会•事件
6月3日、韓国で実施された大統領選挙において、進歩派の李在明(イ・ジェミョン)氏が勝利 を収めた。この結果は、韓国の国内外の政治・経済情勢に大きな影響を与えると予想される。李 氏はこれまで一貫して進歩的な政策を掲げ、特に日本に対する批判的な姿勢を示してきたことで 知られている。しかし、現在の韓国を取り巻く安全保障環境や経済的課題、そして国内の政治的 バランスを考慮すると、李在明新大統領が過度な反日姿勢を貫くことは難しく、現実的かつ建設 的な対日外交が求められる状況にある。 李在明氏は、京畿道知事や城南市長としての実績を背景に、経済格差の是正や社会福祉の拡充 を訴え、幅広い支持を集めた。特に、若年層や中低所得層からの支持が厚く、進歩派の基盤を固 めた。しかし、選挙戦では保守派との熾烈な争いが繰り広げられ、李氏の過去の強硬な発言や政 策が議論の的となった。特に、歴史問題や対日関係をめぐる発言は、国内の保守層や中道派から 懸念の声が上がっていた。 李氏の勝利は、韓国社会の分断を反映している。進歩派は経済的平等や社会改革を求める声に 応える一方、保守派は安全保障や国際協力を重視する立場から、李氏の外交姿勢に注目している 。特に、若年層や中道派の有権者は、過度な対外批判やイデオロギー色の強い政策には冷ややか な反応を示しており、李氏がどのように現実的な政策を打ち出すかが注目される。 現在の東アジア情勢は、韓国にとっても厳しい安全保障環境を突きつけている。中国の海洋進 出は南シナ海だけでなく、東シナ海や黄海においても顕著であり、韓国の海洋権益にも影響を及 ぼしている。また、台湾海峡をめぐる緊張は、米中対立の激化とともに地域の不安定要素となっ ている。さらに、北朝鮮の核ミサイル開発は依然として解決の目途が立たず、最近では北朝鮮と ロシアの軍事的接近が新たな脅威として浮上している。このような状況下で、韓国は単独で安全 保障を確保することは難しく、近隣国との協力が不可欠である。 特に、日本との関係は安全保障面で極めて重要である。日韓両国は、米国を共通の同盟国とす る枠組みの中で、北朝鮮の脅威に対抗するための情報共有や軍事協力を行ってきた。2016年に締 結された日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)はその象徴であり、両国の安全保障協力の基盤 となっている。しかし、李氏の過去の反日的な発言や、歴史問題をめぐる強硬な姿勢は、日韓関 係に緊張をもたらす可能性は排除できない。 経済面でも、日本は韓国にとって重要なパートナーである。両国は半導体や自動車、電化製品 などの産業で競合しつつも、相互依存関係にある。経産省によると、日本にとって韓国は世界第3 位の輸出先であり、韓国にとって日本は世界第4位の輸出先であり、両国は経済的にも相互依存 関係にある。近年、韓国の若年層を中心に日本文化への関心が高まっており、K-POPや韓国ドラ マが日本で人気を博する一方で、J-POPやアニメ、ファッションも韓国で広く受け入れられてい る。このような文化交流は、両国の民間レベルでの結びつきを強化し、対日関係の改善に寄与し ている。 李在明氏が大統領として直面する最大の課題は、理想主義的な進歩派の理念と、現実的な外交 政策のバランスを取ることである。過度な反日姿勢は、国内の支持基盤である進歩派の一部を満 足させるかもしれないが、若年層や中道派からの支持を失うリスクがある。また、国際社会での 韓国の立場を弱め、特に米国との同盟関係にも影響を与える可能性がある。米国は日韓の協力を 重視しており、両国の関係悪化は米国のアジア戦略にも悪影響を及ぼす。 李氏は、歴史問題や領土問題を完全に棚上げすることは難しいものの、過度な対立を避け、経 済や安全保障での協力を優先すると考えられる。例えば、北朝鮮のミサイル発射への対応では、 日韓の情報共有が不可欠であり、日韓GSOMIAの維持・強化が求められる。また、経済面では、 グローバルサプライチェーンの安定化や気候変動対策での協力も重要である。これらの分野で日 本との協力を深めることは、韓国の国益に直結する。 李在明新大統領の対日外交は、韓国の将来を左右する重要な要素である。過度な反日姿勢は国 内の分断を深め、国際的な孤立を招くリスクがある。一方で、現実的な対日協力は、韓国の安全 保障と経済的安定を強化し、若年層や中道派の支持を得るだろう。李氏が過去の発言をどのよう に調整し、どのような外交政策を打ち出すのか、国内外の注目が集まる。日韓関係は、歴史的な 課題を抱えつつも、相互依存と協力の重要性が増している。両国が過去の対立を乗り越え、未来 志向の関係を構築できるかどうかは、李在明政権の外交手腕にかかっている。現実を見据えた柔 軟な姿勢が、韓国と日本の新たなパートナーシップを築く鍵となるだろう。
宅配代行サービス「ウーバーイーツ」の配達員が、働く上で必要なアカウントを運営会社「ウーバーイーツジャパン」(東京)から一方的に停止されたなどとして同社に損害賠償を求めて東京地裁に提訴した後、同社が解決金を支払う形で4月に和解していたことが判明した。運営会社によるアカウント停止を巡っては、「一方的に停止された」とする配達員が続出しており、ウーバー側が非を認めて金銭の支払いに応じるのは異例だ。他の配達員のケースへの影響も必須といえる。 関係者によると、ウーバーイーツジャパンは、配達員に稼働するためにアカウントを付与し、アプリで管理している。配達員の健全な労働を担保する狙いとみられ、指針で定めた不適切な行為などが確認された場合、アカウントは停止される仕組みとなっている。ただ、配達員側に全く落ち度がないとみられるケースでも、ウーバー側が一方的にアカウントを停止したとされ、配達員にとっては死活問題となっていた。 今回の和解したケースでは、配達員として稼働していた都内の男性は2022年、心当たりがないのに、ウーバー側から一方的に通知されてアカウント停止に至った。男性はその後、ウーバー側にアカウント復旧を求めても応じてもらえなかったため、代理人弁護士を通じて対応を要請したところ、ウーバー側は、アカウント停止はシステムの誤検知が理由だったとして、アカウントを復活させた。 だが、男性がアカウント停止期間の数か月の間に働いていれば得られたはずの逸失利益の支払いにウーバーが応じなかったため、男性は損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。ウーバー側はしばらく争っていたが、一転して今年3月に和解案に応じる姿勢となり、解決金を支払う内容の和解が4月に成立したという。 立場の弱い配達員の主張について、ウーバー側が責任を認めて解決金を支払った意義は小さくないだろう。ただ、アカウント停止が不当だと主張する配達員は他にも多くおり、ウーバーは引き続き、今回の和解案件以外についても、誠実な対応を尽くすべきだろう。
2025.06.13
社会の木鐸たる新聞社には強い公共性・公益性が求められ、それだけ社員の社会的責任は重いといえる。にもかかわらず、毎日新聞グループホールディングス元内部監査室長の高倉友彰・元社員(4月に懲戒解雇)は6月5日、10歳代の少女に現金を渡してわいせつ行為をしたなどとして児童買春・ポルノ禁止法違反で東京区検から東京簡裁に略式起訴された。高倉氏の事件は自首で発覚したことから、警視庁は逮捕せずに書類送検にとどめていたが、社内の風紀を取り締まる内部監査室長時代の犯行というから驚かざるをえない。警視庁や毎日新聞の一連の対応は適切だったのか。 ■警視庁は逮捕せず書類送検 事件が起きれば、捜査機関は法と証拠に基づいた対応を進め、特定した容疑者を逮捕するかどうかは、主に逃走・証拠隠滅の恐れがないかなどを中心に判断する。今回の事件では、高倉氏は内部監査室長だった2024年9月、少女にわいせつな画像を撮影させてスマホに送らせたほか、現金を渡して東京都内のホテルでわいせつ行為におよんだとされる。 捜査関係者らによると、本人が自首した上で容疑を認めていたことから、警視庁は逮捕せずに任意捜査を進め、容疑が固まった段階で書類送検した。 任意捜査とはいえ、事件の性質上、警視庁はスマホの履歴や残された画像など全て徹底的に調べただろうが、やはり容疑者を逮捕して身柄を拘束しない任意捜査には限界があるのも事実だろう。 高倉氏は、大手新聞社に社員で、さらには50歳代の内部監査室長という社内のコンプライアンスを担う重要なポストに就いていた人間だ。まともな思考回路であれば、児童買春などの犯罪に手を染めることは考えられず、背景にはどんな事情があったのか、本来は逮捕した上で徹底的に捜査を尽くすべきだったのではないだろうか。罪名から常習性が疑われるのも言わずもがなだ。 ■新聞社としての矜持や自覚なし 毎日新聞の対応も適切だったとは言い難い。高倉氏を懲戒免職にした上で簡単な謝罪コメントを公表しているが、単なる若手一社員の不祥事ではなく、コンプラ責任トップ犯罪だということを忘れていないか。まだモノの分別がつかない10歳代の少女をターゲットにした悪質な犯罪であり、本来は然るべき立場の人間が記者会見で謝罪し、説明責任を尽くすべきだったはずだ。毎日新聞には報道機関としての矜持や自覚がもはやないのだろうか。他社を批判することなど到底許されない。
2025.06.12
戦後80年――。戦争の惨禍を継承する重要な機会ともいえるだろう。第二次世界大戦で父親を亡くした遺族らが戦地の海域を訪れて船から弔う「洋上慰霊」が、6月1日から11日まで行われている。神戸港を出航後、フィリピン沖などを巡る11日間の航路で、日本遺族会が9年ぶりに主催し、今回が最後の実施となっている。戦後に遺骨が見つからず、海に眠る日本人戦没者は約30万人とされ、参加している約220人の遺族らは亡き父らに思いをはせている。 ▼2011年と2016年に続き3度目 洋上慰霊は、日本遺族会が国から委託されて主催している、激戦地を訪ねて戦没者を追悼する「慰霊友好親善事業」の一環。これまでに2011年と16年に行われ、それぞれ300人以上が参加してきた。 遺族の高齢化に伴う参加者の減少で、最後の開催となった今回は、全国から約220人の遺族が参加。1日に神戸港から旅路についた。 関係者によると、参加者の中には戦後80年の節目で初めて参加を決めた人や。10歳代となる戦没者のひ孫が参加する家族もいるといい、戦艦の「大和」などの沈没地点や南西諸島沖なども巡り、11日に神戸港に戻るスケジュールとなっている。 ▼戦後80年 厚生労働省によると、硫黄島と沖縄を含む海外で戦死した日本人は約240万人に上る。 政府は遺骨収集事業を継続しているが、現在も半数弱の約112万人の遺骨は見つかっていない。海で亡くなったとされる30万人については、現実的に収集活動が不可能となっているだけに、今回の最後の洋上慰霊にかかる期待は大きい。 参加する遺族らは「戦争はまだ終わっていない。海で眠る父親の言霊を迎えに行きたい」「父の最後を目に焼き付けたい」と意気込んでおり、心から追悼できる貴重な機会となっているようだ。 戦後80年という節目ながら、皮肉にも最後の開催となってしまった洋上慰霊。遠い異国の地で亡くなった戦没者に対し、船上から弔う遺族らの思いが届くことを祈るばかりだ。
2025.06.11
中国が日本産水産物の輸入再開を進める方針を明らかにした。この動きは、2023年8月の東京電 力福島第一原発の処理水放出を理由とした輸入禁止措置の緩和を意味する。表面上は両国間の経 済的関係改善の一歩に見えるが、その背景には複雑な政治的・経済的意図が絡む。 まず、中国が輸入再開を決めた背景には、トランプ米政権の貿易保護主義の高まりがある 。2025年1月に第47代大統領として復帰したドナルド・トランプ氏は、選挙戦中から「アメリカ 第一」を掲げ、対中関税の大幅引き上げや輸出規制の強化を公約してきた。これに対し、中国は 米国との貿易摩擦を緩和しつつ、経済的孤立を回避する戦略を模索している。日本との貿易関係 の強化は、米国依存からの脱却を図る一環と見られる。特に、日本産水産物は中国市場で根強い 需要があり、輸入再開は中国国内の消費者需要に応えると同時に、対日関係の改善をアピールす る狙いがある。 さらに、中国のこの動きには、日米同盟に楔を打ち込む政治的意図も透けて見える。日米は安 全保障や経済面で緊密な連携を深めてきたが、トランプ政権の保護主義が日本経済に圧力をかけ る可能性は否定できない。米国は日本に対し、自動車や農産品の市場開放を強く求めており、対 米貿易黒字を問題視する姿勢を強めている。中国はこうした日米間の摩擦を利用し、日本との経 済協力を深めることで、対米圧力を間接的に牽制しようとしている。輸入再開は、こうした戦略 の一環として、日本に対する柔軟な姿勢を示す象徴的な動きといえよう。 しかし、日本側から見れば、中国の姿勢軟化は歓迎しつつも、慎重な対応が求められる。日中 間には、尖閣諸島を巡る領有権問題や台湾海峡の緊張など、地政学的リスクが根強く存在する。 尖閣諸島周辺では、中国公船の領海侵入が常態化しており、2024年だけでも30回以上の侵入が確 認されている。また、台湾を巡る中国の軍事的圧力は増しており、2025年に入ってからも人民解 放軍の演習が頻発している。これらの動向は、日本にとって安全保障上の脅威であると同時に、 経済面での中国依存リスクを改めて浮き彫りにする。 日本経済は、こうした地政学的リスクを背景に、「脱中国依存」を加速する必要がある。サプ ライチェーンの多元化や、東南アジア・インドなど新興国への投資拡大が求められる。既に日本 企業は、中国市場の不確実性を軽減するため、ベトナムやインドネシアでの生産拠点拡充を進め ている。この傾向は、トランプ政権の保護主義と中国の地政学的リスクが重なる中で、ますます 顕著になるだろう。 結論として、中国の日本産水産物輸入再開は、トランプ政権の保護主義への対抗策と、日米結 束への牽制という中国の戦略的意図を反映している。日本はこれを経済的機会として活用しつつ 、尖閣や台湾を巡る地政学的リスクを軽視せず、脱中国依存の取り組みを継続する必要がある。 国際環境の不確実性が高まる中、日本経済は柔軟かつ戦略的な対応が求められる。
組織の不正や違法行為を正義感から内部告発した人は、当然に守られるべきだ。不正を告発した内部通報者を解雇や懲戒処分とした場合、組織と個人双方に刑事罰を科すことなどが盛り込まれた改正公益通報者保護法が6月4日、参院本会議で可決・:成立した。企業や地方自治体は、新たに罰則が設けられたことを重く受け止め、内部通報に適切に対応できる体制整備を進めていく必要がある。 ■法人は3000万円以下の罰金、個人は6か月以下の拘禁刑か30万円以下の罰金 公益通報者保護法は、事業者や自治体などが、組織内の違法行為や不正を組織の相談窓口や報道機関などに通報した人について、不利益な取り扱いをすることを禁止している。ただ、これまでは罰則が設けられていなかったため、特に中小企業などでは通報窓口の整備が進まず、内部通報者を適切に保護する観点ではかねて課題が指摘されていた。 このため、今回の改正により、内部告発を理由に通報者を懲戒処分または解雇とした法人に対し、3000万円以下の罰金が科される。個人についても罰則が設けられ、通報者の処分を決めた人には6か月以下の拘禁刑が30万円以下の罰金が科されることになる。 忸怩たる思いで組織の不正や違法行為を止めようと声を上げた人が、不利益を被ることは決してあってはならない。告発者が不当な圧力を受けないようにする上でも、今回の罰則規定が設けられた意義は大きいだろう。 ■来年中には改正法が施行 改正法はさらに、事業者が正当な理由なく内部通報者を特定しようとしたり、通報を妨げたりしたりすることも禁じた。また、従業員が300人を超える事業者の場合、内部通報者の窓口担当者を配置しなければ、国が立ち入り検査を行えるとし、命令などに従わなければ30万円以下の罰金が科される。 改正法は2026年中にも施行されるため、事業者や自治体は早期の体制整備を図り、通報者を守る仕組みを強化していくべきだ。内部告発者が不当な扱いを受けることは許されない。
記事にするまでに少し時間がってしまったが、靖国神社の例大祭が4月22日に執り行われた。参拝した国会議員は、昨年は100名であったが今年は72名にまで一気に減少した。閣僚では冨樫博之総務副大臣や吉田真次厚生労働政務官が参加した。その他、安倍昭恵元首相夫人や高市早苗経済安全保障担当相岸田首相が参加した。石破総理は参拝せずに真榊を奉納するに留めたことは腑甲斐ないことである。かつて小泉首相や安倍首相が公式参拝した際には中国や韓国が強く抗議し、アメリカも大使館を通じて失望を表明していた。自国の死者を慰霊することを他国に避難される筋合いは一切ない。首相をはじめ閣僚は自身の思うままに参拝に参加して当然である。もっと言えば、天皇陛下にも参拝いただきたいと願う。靖国に眠る英霊は御国の為に戦地に赴きその貴い命を落とした。今上天皇が靖国を参拝されて先の戦争で亡くなられた英霊を供養されることで本当の意味での戦争が終結するのかもしれない。英霊を供養し鎮魂に導くことが出来るのは天皇陛下において他に居ないのではないだろうか。 靖国神社には約250万柱の英霊が祀られている。明治維新以来の日本人兵士全員が祀られているわけではない。そこに祀られているのは官軍の兵士のみである。靖国神社の前身である東京招魂社は1896年6月の第一回合祀で幕末以来の内戦の「官軍」、つまり新政府軍の戦死者3855人を祀った。以来、靖国神社となってからも今日まで内戦の死者としては官軍の戦死者のみを祀り、「賊軍」つまり旧幕府軍および反政府軍の死者は祀っていない。国内の戦死者ですら祀らないのであるから、日本が戦争で戦った相手国の戦死者は当然のように祀られていない。 靖国神社に祀られているのが、軍人および軍属のみというのも疑問が残る。ひめゆりの乙女たちは従軍看護婦つまり軍属であったため、祀られている。知覧の地より飛び立っていった神風特攻隊の若き桜たちも祀られている。日本軍の末端におられた方々が東條英機元首相らA級戦犯とされた重要人物たちと分け隔てなく平等に祀られているのは評価できるのだが、そこには民間人が一切入っていない。東京大空襲や沖縄戦の犠牲者も、広島や長崎の犠牲者も、いわばみな国のために死んでいったのに、民間人である限りは靖国神社にその魂を入れないのは納得できない。 官軍とか賊軍とか、軍人とか民間人とか、日本人とか外国人とか、戦争による死者にそのような区別や差別があってはならない。みんな同じ場所に祀ればよいと真剣に思う。靖国問題がこれほど複雑化するのも、中国や韓国の干渉があるにせよ、遺族の方々が、戦争で亡くなった自分の愛する者が眠る場所が欲しいからであり、愛する者に会いに行く場所が必要だからである。その場所をどうするのか、慰霊と鎮魂の問題について真剣に懸命に取り組み最善の策を講じる使命を政治家は全うしなければならないはずだ。(紅 良作)
福島県のいわき信用組合(いわき市)で持ち上がった「架空融資問題」。5月30日に第三者委員会が調査報告書を公開したが、全243ページある中、「虚偽」という言葉が82回、「隠蔽」が104回という、中身的には真っ黒々というもので、SNSでは「半沢直樹の世界も真っ青」とネタにすらなっている。 不正融資は04年3月から昨年10月まで約20年、江尻次郎元会長ら幹部の主導によって行われたというだけあって、少なくとも1293件、総額247億7178万円が実行されたという。06年12月末時点の正規融資が約52億円だったというからその大規模ぶり分かるが、昨年秋の公表時点では「10億円超」ということだったので、その「隠蔽」体質の悪質さも伺える。 だから報告書での書かれっぷりもそうとうなもので、 「当組合の対応は、自ら積極的に事実関係を明らかにしようとするものとは真逆であり、意図して全体像を隠そうとしていると疑わざるを得ないおのである。」 などと、委員会も激をこだ。またその「隠蔽」ぶりを別に表すものとして、10編からなる調査報告書のうちの第3編は「調査中に発生又は発覚した調査遂行上の問題」とあり、つまりは調査の妨害や誤魔化しなのだが、これだけで38~56ページまでを要している。 さらにその中でも、一連の不祥事が発覚した24年10月末以後、不正を示すデータが入っているノートパソコンを持っているのが怖くなって自宅で「ハンマーにより破壊して処分」したといった件に至るや、SNSでは「気合が入っているな」と、これもやはりネタに。 また不正が明るみになるきっかけは、24年10月2日に「元信用組合職員」を名乗る投稿者が不正事案についての暴露を始めたため、というのもまた事実は小説より奇なりを地でいくサスペンスぶり。 一方で救いがないのが、12年の東日本大震災で同組合には公的資金175億円がつぎ込まれたことで、それで調子に乗って不正を続けた節が強いことだ。だがそれも退いて見れば、震災がもたらした1つの惨禍ということなのかもしれない。
親会社元副社長がインサイダー事件で有罪判決を受けた「アイ・アールジャパン(IRジャパン)」に対し、再び司法当局による捜査のメスが入った。証券取引等監視委員会が5月下旬、同社社員がインサイダー取引に関与したとして、金融商品取引法違反容疑の関係先として強制調査に乗り出したのだ。IRジャパンは上場企業の株主対応支援を手がける会社として知られるが、今回は、社員が未公表の重要事実を外部の知人に漏らし、不正な株取引に関わった疑いがあるという。知人は億単位の不正取引を行ったとされ、今後は監視委が刑事告発し、東京地検特捜部が立件する可能性が高い。 ▼証券取引等監視委が強制調査 関係者によると、IRジャパンの社員は、顧客が絡む公表前のIR(企業による投資家向け広報)情報を知人に漏えいするなどし、インサイダー取引に関わった疑いが持たれている。 IRジャパンは、東証プライム上場の「アイ・アールジャパンホールディングス」の子会社。上場企業の合併や買収、株式公開買い付けなどに関するコンサル業務にあたっている。 IRジャパンホールディングスを巡っては、元代表取締役副社長がインサイダー取引に関与していたことが判明。監視委の強制調査を受けた後、元副社長が東京地検特捜部に金商法違反(インサイダー取引推奨)容疑で逮捕・起訴され、23年10月に有罪判決が確定している。 IRジャパンは業務の性質上、社員や役員らが企業のM&Aなど未公表の機密情報に触れる機会が多いため、一般企業よりも高い倫理観が求められる。今回の疑惑は、顧客からすれば未公開情報が不正取引に悪用された形で、極めて悪質性は高い。 元副社長に有罪判決が下されて2年も経過していない中、社員による同種疑惑が浮上している現状は、会社としてガバナンスの欠如を浮き彫りにさせているともいえる。 元副社長の事件を踏まえ、効果的な再発防止策は打たれていなかったのか。今回の強制調査は、一社員による個人犯罪として実施されているが、会社グループ全体として重く受け止めるべきだろう。
2025.05.30
2020年から世界的に蔓延し、猛威を奮ってきた新型コロナウイルス。徐々に感染者数も減っていき、感染症法上の扱いが季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行してから5月8日で2年が経過したが、いまだに新型コロナの「後遺症」に苦しむ人は多い。激しい倦怠感から通勤ができなくなった大人や不登校になってしまった子供たちも後を絶たず、深刻な影響が続いている。行政による支援の拡充は必須だ。 ▼WHO定義は「別病気では説明できない症状が2か月以上」 新型コロナ後遺症について、世界保健機関(WHO)は「感染から3か月時点で別の病気では説明できない症状があり、それが2か月以上続く」と定義している。ただ、分かりやすい明確な症状として定められていないこともあり、病院によって「新型コロナ後遺症」と判断するか否かの判断が割れているのが実情だ。このため、身体があまりにだるくて病院に行ったものの、原因不明と判断された患者が病院を転々とし、数件目に診てもらった病院でやっとこさ「新型コロナ後遺症」と診断されたケースも少なくない。 ▼中高生は「思春期特有問題」で片付けられがち 特に影響が甚大なのは、子供たちだ。新型コロナ後遺症については、先述の通り医師によって判断にばらつきが生じがちなこともあり、厚労省などがまとめた全国的な患者数のデータはない。だが、患者グループらによると、小中学生や高校生で、急に朝起きられなくなったり強い倦怠感に襲われたりと、コロナ後遺症の疑いのあるケースは少なくなく、半年~数年単位で学校に行けなくなるという子供もいるという。病院によっては「思春期特有の問題」として処理し、コロナ後遺症と判断されず、不登校期間が長期化するなど深刻な事態も起きている。 コロナ後遺症を適切に診断するため、医療体制の充実が不可欠ともいえる事態となっており、国は全国規模で後遺症の実態調査に乗り出すべきだろう。 後遺症が治らないまま、登校できなくなったり通勤できなくなったりする期間が長期化すれば、高額な治療費など経済面でも苦しむ恐れが高まってくる。 治療費の補助も含め、国や自治体が後遺症患者の支援策を拡充していく必要がある。新型コロナウイルスの猛威はまだまだ終わりそうにない。












