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連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.54『半額につられて』
連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.54『半額につられて』

半額につられて、マグロの柵を買った。 だが、あれから二日、消費期限は過ぎている。焦る。一刻も早く食べれば解決するのだが、どうもその気が起こらない。そうなるように「消費期限切れマグロ柵の調理法」を調べればよいが、俺は48時間もマグロに悩んでいることに疲れてしまった。おい、なんなんだ俺の人生は!これほどまでマグロにふりまわされて生きていたら心が腐ってしまう。先に腐るのは、マグロか心か。 とっとと食え俺!ああ、この時間が、もう腐っている。 そういえば近所に野良猫がいて俺はよくエサをあげている。そうか、猫にプレゼントすればよいのだ。解決した俺はマグロをぶつ切りにして外へ出た。 いたいた!ニャアニャアと猫がやって来た。マグロをあげたが、新鮮ではなかったのか、一口も食わずにどこかへ行ってしまった。最近の猫は贅沢になったものだ。 結局、俺は家に帰って、ようやくマグロを食べた。半額につられて二日間いらぬ苦労をした。

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2025.10.19

歌麿『当時三美人』の水茶屋アイドル、だんだんと高慢に
歌麿『当時三美人』の水茶屋アイドル、だんだんと高慢に

1793(寛政5)年にリリースされ大ヒットした歌麿『当時三美人』の素人娘ブームが引き起こしたことは、今と同じだった。難波屋にはおきた目当ての客が殺到し、周囲は大混雑に。店の前に水をまいてもお構いなし。店内に入れず、店の脇の用水桶の縁に上がって中を覗き込もうとする輩もいた。   おひさのもとに「1500両で身請けしたい」という某豪商からのオファーが届き、両親がお断りする一幕もあったという。   『当時三美人』は3人を1カットで収めたものだが、その後豊雛、おきた、おひさの個々のポートレートを1人ずつバラ売りしたり、普段携帯できるような小サイズのバージョンを出したり。3人に相応のギャランティを支払ったかどうかは不明だが、蔦重と耕書堂はさながら昭和・平成のアイドルのような商品展開を見せている。   もっとも、その後難波屋のおきたは人気の過熱とともにだんだんと高慢になっていったようで、自分目当てに殺到する客にも自分ではお茶を出さなくなり、代わりに手伝いの女性にその役目を押し付けるようになった。おきたにソデにされたと思しき近所の若い男性が、店内に糞尿をぶちまけて暴れるという騒動も起きたが、それがまたおきたの人気を過熱させたという。(つづく)

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2025.10.17

佐野慈紀のシゲキ的球論 いいところなくCS敗退の巨人に「投手陣の再編と阿部監督の意識改革必要」と佐野氏がカツ!
佐野慈紀のシゲキ的球論 いいところなくCS敗退の巨人に「投手陣の再編と阿部監督の意識改革必要」と佐野氏がカツ!

巨人の復活はあるのか。    終戦を迎えた阿部巨人に佐野氏は「まずは投手陣の再編が必要。それも投手だけの問題じゃなく、バッテリーの意識改革が必要」と指摘する。   「厳しいコースを攻めようとする意識が強すぎてボールが先行し、ストライクゾーンを狭くしてしまっている。受け身の投球になっているんです」(佐野氏)と、相手打者に向かっていく姿勢が今季はなかった、とピシャリ。    さらには「阿部監督のリーダーシップが発揮できていなかった」とも。   「選手を引き上げることができていなかった。なので勢いをつかなかった。引き上げることができれば采配や選手起用も変わってきたと思う。そういうところを監督、スタッフも含めてアップデートしていかないといけない。昨季より成長がなかった」と佐野氏。    さらには「ベテランの扱い。坂本や小林に対して、信頼や期待をこめて起用している感じがなかった。とりあえず使ってる、という感じが外から見ていてしていた。ファンはそういうところ敏感ですからね」と付け加えた。    来年は強い巨人が戻ってくるか。 (タサイリョウ)

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2025.10.17

北島純のオススメ映画NOW『宝島』
北島純のオススメ映画NOW『宝島』

今回から始まる映画コラム「オススメ映画NOW」。これはいま観た方がいいというオススメの映画やドラマを紹介していきます。 まずは、大友啓史監督の映画『宝島』(9月19日から公開中)。 戦後アメリカ統治下にあった沖縄を描いた大作です。原作は真藤順丈の同名小説。NHK出身で『龍馬伝』の演出や『るろうに剣心』の監督で知られる大友啓史監督が、多くの人が知っているようで実はよく知らないアメリカ占領下の沖縄を正面から描くことに挑戦した映画で、日本映画では珍しいスケールの大きな作品です(敬称略、以下同様)。 当時の沖縄を再現したセットの作り込みがスゴい 出典:映画『宝島』公式サイト 米軍基地から物資を奪って住民に分け与える義賊のリーダーを永⼭瑛太、その弟を窪⽥正孝、恋人を広瀬すず、幼馴染を妻夫⽊聡が、これでもかというぐらいに熱演しています。妻夫木といえば、NHK連続テレビ小説『あんぱん』で八木上等兵を演じて国民的人気が再ブレイクした感がありますが、コザ暴動(1970年)のシーンで見せる激情の演技は必見です(広告業界を描いたコメディ映画『ジャッジ!』(2014年)のCMプランナー役も必見ですが)。 コロナ禍を経て6年の歳月をかけて完成させたためか、いろいろな話がてんこ盛りで消化不良を起こしそうになりますが(191分の長尺)、それはとりもなおさず、戦後日本が「沖縄」から目を背け続けてきたという、「我々自身の消化不良」があるのではないかということに気付かされると、この映画、もう一回観たくなります。 (北島純・映画評論家)

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2025.10.16

好評連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.53『無人本屋ほんたす』
好評連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.53『無人本屋ほんたす』

無人本屋、というものに初めて入った。『ほんたす』という店である。 ガラス張りの店内は外からよく見え、店員の姿はない。近未来的空間だが、置いてあるのは紙の本しか見えず、不思議な違和感を感じる。客は中年の男一人だけだ。一瞬、彼はロボットではないか?と本屋そのものがSF小説の一場面に見える。 ワクワクしてきた俺は入口へ向かった。んっ?自動ドアが開かない。見ると、QRコードから登録完了で入店可能のようだ。 急に面倒くさい。おいおい、ここまでSF感にひたっているのだから、歩くだけでピッ!にしてくれ。SFでよくあるピッ!仕組は分からないけどピッ! だが、考えてみたら、このQRコード自体も少し前まではSFの世界だった。日常は既に未来になっているのだ。 そのあと俺は本を一冊買った。最高の居心地でまた来ようと思った。 そういえば、俺の近所に無人本屋ならぬ、無人の本屋がある。客の姿はなく、ロボットみたいな店主だけがいる。

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2025.10.15

佐野慈紀のシゲキ的球論 「新庄ハムの勢い出てきた! ソフトバンク攻略のポイントは?」
佐野慈紀のシゲキ的球論 「新庄ハムの勢い出てきた! ソフトバンク攻略のポイントは?」

 日本シリーズ進出をかけたクライマックスシリーズ第2戦が15日からスタート。レギュラーシーズンで激しいV争いを繰り広げたソフトバンクホークス対日本ハムファイターズの対戦にファンの注目も集まっている。    佐野氏は「ポイントは日ハム打線がホークスのエース格であるモイネロを打ち崩せるかにかかっている」とポイントを示すと、レギュラーシーズン終盤の対決。それまで苦手していたモイネロを9月9日の対戦では完全に打ち崩した。   「ハム打線がモイネロ攻略の糸口を見つけ出していたのか。それともたまたまなのか。そこが注目ですよ。何か見出していたとしたら、面白いですよ」(佐野氏)    ソフトバンク優位には変わりないが「レギュラーシーズン序盤のようにエンジンのかかりが遅ければ、ファイターズにもチャンスあります。とにかくモイネロを攻略できるか! その1点です」    新庄監督の〝作戦〟やいかに。 (タサイリョウ)

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2025.10.15

第28回 椎野礼仁のTANKA de 爺さん  学級委員選挙 
第28回 椎野礼仁のTANKA de 爺さん 学級委員選挙 

黒板の正の字 彼の下だけが伸びてくジワジワ近づく敗北 あの後をどう過ごしたか覚えてない教科書広げ読むふりだったか あの時の俺に会ったら何と言おう黙って横に座ってやるか   意味が伝わる歌になっているだろうか。 小学校や中学校の学級委員の選挙で、みんなの投票用紙を開き、一票ずつ書かれた名前を読み上げ、黒板に正の字を書いて数えていく。あのやり方は今も続いているのかな。運動会の徒競走でみんなで手をつないでゴールするような時代が来ていれば、とっくに止めているかもしれないな。 少しずつすこしずつ差が開いていく・・・・・・敗北に近づくのが、正の字が増えていくということで可視化されていく。あれは子どもには実に残酷な時間だった。 自民党の総裁選で、党員票を一票ずつホワイトボードに正の字を書いていってたら、テレビにとってはこの上ないネタだったろう。候補者の顔とオーバーラップさせて。別に見たかないが。    

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2025.10.13

素人「推し」ブームを拡大させた歌麿『当時三美人』
素人「推し」ブームを拡大させた歌麿『当時三美人』

歌麿の次なるヒット作品は翌1793(寛政5)年にリリースされた『当時三美人』である。浅草随 身門の脇にあった水茶屋・難波屋の娘・おきた、両国薬研堀の水茶屋の娘・高島おひさ、吉原 玉村屋の芸者・富本豊雛の3人を大首絵で描いている。 モデルはいずれも実在の人物だが、‶プロ″は豊雛1人だけ、後の2人はまったくの素人娘である 。 当時、「水茶屋百人一笑」と題した一枚摺りのかわら版が売れていた。お察しの通り百人一首 をもじったタイトルで、吉原の水茶屋の看板娘たち1人1人への想いを狂歌で表現した内容。正 確なリリースの日付は不明だが、これと相前後して世に出た『当時三美人』は、大変な評判を取 った。 ちょっと足を運べば会えそうな素人「推し」のブームは、メディアの成熟と不可分の関係にある ようだ。雑誌や地上波テレビに女子大生が登場し、一般女性がしばしばウェブやSNSで一気に知 名度を上げるように、登場から30年近く経った錦絵を介して素人の美人が注目を浴びるのは必 然だったろう。そして、そこから引き起こされる現象もまた、現代とほぼ同じだった。(つづ く) (西川修一)

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2025.10.13

好評連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.52『スピルバーグが3回観た』
好評連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.52『スピルバーグが3回観た』

「スピルバーグが3回観た」 という謳い文句に煽られて『ワン・バトル・アフター・アナザー』を観て来た。 ディカプリオ主演で3時間近くある映画なのだが、上映が始まってしばらく経つと、 「ZZZ」 いきなり隣のジジイが寝始めた! だが、気持は分からないでもなかった。というのも、物語が意味不明なのだ。 ただ、これはよくある、伏線でわざと客を混乱させ、あとでスッキリさせるパターンかもしれない。ジジイ起きよ見逃すな! 所が、そのうち俺も、 「ZZZ」 ハッ!慌てて起きた。 なんだこれ?ずっと意味不明だぞ。なぜこいつが味方?なぜそんな技を持ってる?なぜ生きてる?疑問の連続だ。懐かしの梶原一騎の漫画のようにツッコミ所満載である。 「ZZZ」 ハッ!気付けばエンドロール。 おいおい「スピルバーグが3回寝た」の間違いじゃないのか! そう思ったが、鑑賞後、段々あの世界観が面白くなってきた。 不思議なことに、俺はもう一度観たくなってきている。

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2025.10.12

佐野慈紀のシゲキ的球論 「楽天・宗山選手は評判通り! 西武・渡部聖弥は久しぶりにパンチ力ある選手」
佐野慈紀のシゲキ的球論 「楽天・宗山選手は評判通り! 西武・渡部聖弥は久しぶりにパンチ力ある選手」

パ・リーグの新人王争いが面白い。    筆頭に挙げられるのが楽天のドラ1ルーキー・宗山塁選手だ。今季はショートとして122試合に出場し、打率.260、112安打、3本塁打、27打点を記録した。    佐野氏は「守備に関してはもうプロで通用するだろうなと思っていました。特に驚くようなことはなかったですね。久しぶりに魅力のあるショートストップが現れたと思います。近年、そういう選手がいなかったので。(元ヤクルトの)池山さんらしい選手になって欲しいなと思います」    また、西武のドラ2ルーキー・渡部聖弥外野手は新人で12本塁打を記録。打率.259、110安打、43打点を記録した。「久しぶりにパンチ力のある選手が現れましたね」と佐野氏。    どちらに軍配が上がってもおかしくない。 (タサイリョウ)

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2025.10.12

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