政治•経済
外国人労働者や移民問題は、この国の将来に深く関わる問題ではあるが、外 国人労働者排斥や移民反対を叫ぶ側も、また排外主義を危惧する側も、問題の 本質がどこにあるのか理解していないように思われる。 移民問題で先行している欧米社会の例を見れば分かるのだ。ヨーロッパでも 最初から外国人労働者を移民として受け入れた訳ではない。1950年代のドイツ では、トルコ等から来る外国人労働者をゲストアルバイターと呼んだ。一時的 な出稼ぎと考えたのだ。ところが、入国した外国人労働者は母国に帰らない者 が多い。とは言え、企業は、低賃金の労働力を必要としていた。そこでメディ アや政治家は、「多文化共生」に基づく共生社会を喧伝した。 国民の側も、外国人が本国人の嫌がる単純労働をしてくれることにより、自 分たちの快適な生活が維持されているという現実から、当初は批判の声はあが らなかった。しかし、治安の悪化や文化摩擦など、移民の増加による負の側面 が顕著になると、移民や外国人排斥を叫ぶ極右が支持されるようになる。 つまり受け入れ国が外国人労働者を使うのは、その方が儲かるからだ。 外国人労働者に日本人のやりたがらない低賃金の単純作業をやらせ、彼らを 容易く解雇できる安価な労働力と見る限り、外国人労働者の流入は止まるはず がないし、不法滞在者は増える一方だろう。幾ら取り締まりを厳しくしても、 入国する外国人が増え続ければ、たいした効果はない。これ以上の外国人労働 者の増加を食い止める唯一の効果的な方策は、外国人を雇ってもあまり儲から ない仕組みを作るしかない。 予め決められた一定の就業期間は、必要がなくなっても、雇用主は賃金を保 証しなくてはならないとか。派遣業者は一定限度以上のマージンを外国人から 取ってはいけないとか。そうすれば、当然ながら日本人から不満の声が出てく るだろう。日本人を雇用する派遣業者のマージンには、外国人労働者のように 上限が設定されていないのは不公平じゃないか、と。 それで、日本人の雇用条件も改善されるとすれば、良いことではないか。
2025.09.29
2025.09.27
2025.09.27
2025.09.26
取り締まるべきは受け入れ先の日本側 自民党総裁選挙における総裁5候補の各候補者の外国人労働者問題への対策を見ると、彼らがこの問題を、まったく理解していないか、故意に理解していないフリをしているかのどちらかであることは明らかだった。 「違法外国人ゼロ」「不法滞在取り締まり」「移民政策には反対」といった各候補の公約は、従来の自民党の外国人労働者政策となんら代わり映えしなかった。過去の自民党だって不法滞在OKなんて言ったことはなかったし、移民政策を実施するとも言っていない。 2018年に文春オンラインに掲載された『「俺は奴隷じゃない」「洗脳された」日本語“最強”技能実習生の独白日記』の中国人実習生の手記には、入国時に斡旋ブローカーから3年で4,5百万円は貯められる、との甘言に釣られ、75万円を支払って日本に来たが、手取りは11万円、日本側の監理団体は、3万~6万の報酬(監理費)を受け取っていたとある。 技能実習生制度は廃止されたが、特定技能制度でも実態は変わらない。 特定技能2号は、転職を認めるが、外国人を雇用する企業の多くは人材派遣会社を通じて雇用する。日本の人材派遣業のマージンは平均3割と、高額のピンハネを行っていることは周知の事実だ。そもそも人材派遣業のピンハネに上限が設定されていない先進国は、日本ぐらいだ。 使い捨ての労働力として外国人を入国させれば、不法滞在化する外国人が増えるのは当然の成り行き。不法滞在者は追い返すと言っても、それが可能なのはガチガチの警察国家か、人権を無視した外国人労働者政策しかない。 外国人労働者の人権を守り、受け入れ側企業や派遣業者の責任を明確にすることでしか、無秩序な外国人労働者の増加を減らすことはできない。 そして外国人労働者の権利を保護することは、日本人の人権を守ることにも繋がるのだ。
2025.09.25
メローニ氏は首相に就任後、真っ先にブリュッセルのEU本部を訪問している。10年以 上にわたりEU各国が移民問題に悩まされてきたが、メローニ氏はEUの同意を得るなり北 アフリカを立て続きに3回訪問、移民出国を止める協定の締結にこじつけた。2024年1月か ら8月の調査では海からの上陸移民数は前年同期比で63%も減少している。一方で正規の 労働力して受け入れる移民に関しては3年間で45万人に拡大する方針である。つまり、メ ローニ氏は一方的な排外主義的な政策を行っているのではなく、あくまでも不法移民に対 する対応を厳格化してきたにすぎない。メローニ氏の対EUとの親和性、移民政策を鑑みる とイタリア国民が抱いた極右民族派の面影はない。メローニ氏は国民を裏切ったわけでは なく粛々と公約に取り組み実現しているだけである。EUからの巨額融資を引き出し、財政 再建の足掛かりをつけ、不法難民を大幅に減らし、雇用は増大し、GDPをプラス成長に転 じさせた。 日本においては岸田政権に続く石破政権でも混迷は続く。政府が続ける緊縮財政下で輸 入物価やエネルギー価格が高騰、実質賃金は3年連続マイナス、社会保障など国民負担率 の増加、中国に対する10年ビザ発行、クルド人の激増、外国人運転免許証切替優遇問題、 外国人による土地取得問題の放置、メガソーラー設置による自然破壊問題の放置、夫婦別 姓問題など多くの問題が解決には程遠く手をこまねいてばかり。当然、このような政権で は国民の信頼は得られない。 そうした状況下で行われた参院選では石破総理率いる自民党の票が一気に新興保守政党 である参政党や日本保守党に流れることとなった。躍進したのは極右と言われがちな参政 党と旧民主党の保守派という印象が強い国民民主党。自民党は約1280万票、国民民主党は 約760万票、参政党は約742万票であり、国民民主党と参政党の票を足すと自民党を上回る 結果となった。これだけ左傾化してきた自民党を嫌い、中道右派の国民民主党と右派の参 政党に票が集まったのは、国民の民族意識が高まっているからであろう。 そこで注目されるているのが自民党の高市早苗氏である。自民党の総理候補の中では最 も保守的な主張が目立つ候補者である。イタリアのメローニ氏と印象が被るところもある 。高市氏の主な政策は、自衛隊を自衛軍に、皇位継承は男系男子、自由貿易推進、累進課 税の廃止、防衛費増額、憲法9条削除、積極財政、核融合炉や地下原発の推進、日米地位 協定の見直し、村山談話の変更、外国人参政権に反対、移民受入れに慎重、選択的夫婦別 姓に反対などである。国家観は民族主義的な色合いも見せる。 現状の日本とイタリアの政策は図の通り大きな乖離がある。 日本国内でもメローニ氏が首相に就任した当時のように右派の台頭が目立つ状況にある。 よって高市氏が自民党総裁に選ばれ首相の座に就く可能性がないわけではない。高市氏が 首相になるとイタリアでのメローニ政権下の政策に極似する。高市氏がメローニ氏の政策 のみならず行動原理も似た場合は極端な民族主義路線をとることはないだろうし、保守と リベラルの対立による分断も避けるだろう。それは首相の座という目的の一部を達したこ とによって保身の為の転向ではない。少数与党の代表として上手に政権運営を果たす為と いう大義があるからだ。自民党が国会で圧倒的多数を保持していた場合は融和的な政権運 営なんてありえないし、むしろ行き過ぎたナショナリズムが台頭する可能性もある。政党 が群雄割拠し、比較第一党が少数与党である現状の政治情勢にあって高市氏が右派に偏っ た政権運営に走るとは考え難い。そういう意味では高市政権が誕生したとしてもメローニ 氏のような左右のつなぎ役を務める可能性もあるし、それができることがリーダーシップ というものかもしれない。 (坂本雅彦)
2025.09.24
2025.09.24
2025.09.23
2025.09.21
2025.09.20





