政治•経済

政治•経済

「アベノミクス」を総括できない  石破政権の錯誤と展望なき施策  政権交代もなく「脱安倍」も進められない日本の暗澹③  高野 孟 ●ジャーナリスト
「アベノミクス」を総括できない 石破政権の錯誤と展望なき施策 政権交代もなく「脱安倍」も進められない日本の暗澹③ 高野 孟 ●ジャーナリスト

デフレ脱却とアベノミクスの誤謬  3本柱の第2は、「アベノミクス」の徹底総括である。私は自慢するわけではないが、アベノミクスの一番初期からの批判者の1人で、2012年秋の総選挙で安倍がそれを言い出した時から「何それ? おかしいんじゃないの」と言い続けてきた。  第1に、当時の日本経済の状況を「デフレ」と捉え、そこからの「脱却」が中心課題だとした認識自体がとんでもない大間違いだった。 モノやサービスの供給が増大しているのに対して需要が減少し、その結果としてモノやサービスの価格が継続的に下落することを「デフレ」と言う。モノやサービスの値段が下がるとそれらを供給している企業の業績が悪化し、従業員の賃金が下がり、そうすると彼らが行う消費が減り、さらに物価が下落するという錐揉み状態に突入しかねないというのが「デフレスパイラル」論。あの当時は、「不況」のことを「デフレ」と言う人がおり、その「デフレ」を「デフレスパイラル」の恐怖に直結して語る人もいたりして、用語の定義不明のまま飛び交った。ところが日本経済は本当のところ、世界のどこよりも急速に「人口減少社会」に突入しつつあるために歴史的・構造的な需要減を覚悟しなければならないところに差し掛かっていたのであり、それを安倍はデフレというモノとカネのバランス問題と錯覚したのである。  第2に、当時の課題を「デフレ脱却」とすること自体が誤っていたけれども、そこから脱却するための手段として「異次元金融緩和」と称し、日銀が際限もなく国債や株式(ETF)を購入することで世の中にマネーを溢れ返らせれば経済が回り始めるだろうという設定がなおさら間違っていた。アベノミクスが始動した2913年3月に135兆円だったマネタリーベース(世の中に出回っている現金と全銀行が日銀構内に置いている「日銀当座預金」残高の合計)は、2024年9月現在、687兆円に達している。日銀は印刷局が刷り増したお札を空から撒くわけにもいかないので、各銀行が保有する国債を買い上げ、その代金をその銀行の日銀当座預金口座に振り込む。そうすると、各銀行はそこから現金を引き出して融資や投資に回し始めるだろうと想定されていたのだが、そうはならなかった。13年3月に47兆円だった各銀行の日銀当座預金の残高合計は24年3月で561億円で、まあ荒っぽく言えば、日銀が買った国債の代金のほとんどは日銀の構内に滞留して世の中に出回ることはなく、日銀構内で自家中毒を起こしていた。アベノミクスの失敗の核心は、まさにここに存する。  そのことを徹底総括してアベノミクスの害毒を一掃しなければならないというのに、石破は総裁選直後から突如「デフレ脱却」と言い始めた。朝日新聞の原真人編集委員が10月19日付「多事奏論」で解説したところによると、総裁選の1回目投票で高市が1位になると円安ドル高が進み、決選投票で石破が逆転すると円高ドル安に転じ、週明け30日の平均株価は一時2000円超も下げて「石破ショック」と言われた。この市場の「高市は買い、石破は売り」という反応を見て、石破は慌てて節を曲げてアベノミクス追随の姿勢を示そうとしたのだという。ここでも石破の安直なコロコロぶりが露呈したわけである。さらに原は述べている。「デフレは物価下落が続くことで、そこから脱却するとは物価を上げることだ。この物価高の下でさらに物価をあげようとはかなり倒錯した問題意識である。……石破がこれを持ち出したのはやや意外だった。石破は7年前、日本記者クラブでの講演でアベノミクスや異次元金融緩和を批判していたからだ。『こんな政策をいつまでもできるわけがない』『おかしくないかと誰も言わない自民党は怖い。大東亜戦争の時がそうだった』とも」こうして石破は、彼ならばアベノミクスの出鱈目からキッパリと卒業させてくれるのではないかという期待を早々に裏切ったのだった。そうなると、本来なら野党が進み出て、「石破さんでもアベノミクス清算は無理でしたね。では我々が引き受けましょう」と根源的な批判を繰り出すべきところだが、総選挙を通じてそのような言論を聞くことはなかった。

政治•経済

2025.01.09

「アベノミクス」を総括できない  石破政権の錯誤と展望なき施策  政権交代もなく「脱安倍」も進められない日本の暗澹②   高野 孟 ●ジャーナリスト
「アベノミクス」を総括できない 石破政権の錯誤と展望なき施策 政権交代もなく「脱安倍」も進められない日本の暗澹② 高野 孟 ●ジャーナリスト

安倍政権とその後継の膿を出しきれ  そういう観点からして、仮に野党第一党である立憲が事前の政党連合を組もうとした場合、どういう内容になっただろうか。いろいろな考え方があると思うが、私のスタンスは「リベラル左派」なので、「安倍政権とその亜流に過ぎなかった菅義偉、岸田文雄政権の12年間に溜まりに溜まった塵や膿や毒を完膚なきまでに綺麗に清掃することなしにはこの国は一歩も前に進めない」ということを次期政権の中心テーマに設定しただろう。  そのテーマを、どこから手を付けてどのように達成していくか。肝心なのは次の3本柱である。  3本柱の第1は、安倍政治において顕著だったお友達同士の「身贔屓主義(クローニズム)」、「縁故主義(ネポティズム)」、「世襲主義(ヘレディテリズム)」など、発展途上国ないし第3世界の独裁政権も顔負けの内輪でベタベタ舐め合うような政治体質の究明と克服である。実は派閥の論理に従った裏金づくりというのも、あるいはまた統一教会の活動家を事務所の中枢スタッフにまで呼び込んでしまうという驚くべき警戒心の欠如という問題も、全てこの政治体質の現れに過ぎない。異例のスピードで選挙を乗り切ってしまおうとする日程を設営した森山裕幹事長としては、過熱報道の対象となった「裏金」問題を他から切り離して迅速に処理し、「非公認」「公認はしても比例重複なし」などと尤もらしくランク分けして、それで落選する者は落選して「はい、禊は済みました」ということで政権のスタートに弾みをつけられると思ったのだろう。しかしそれは浅知恵というもので、有権者の「裏金」への不快感を通り越した怒りの激しさ、そしてそれが安倍時代から散々繰り返されてきた、身内で利権を貪り合い、露見しても嘘や言い逃れで誤魔化して真相解明に応じようとしない卑劣さへの嫌悪感とも深々と連動していることを余りに軽視していた。統一教会の問題1つをとっても、韓国発祥の邪教というだけでなく、かつての植民者である日本からはいくらカネを搾り取っても構わないと公言してきた反日団体であり、さらにはKCIAの手先となって米国や日本の議会にロビー工作を行ってきた謀略機関でさえあるものを、なぜ岸信介、安倍晋太郎・晋三の3代にわたってこれほどまでに熱心に日本の政界に導き入れてきたのかは、未だに正しく解明されていない。あるいは、モリカケ問題と言われた「森友学園」への国有地払い下げの不正疑惑では、財務省末端の真面目な職員の赤木俊夫が命を絶ってまで断罪したにも関わらず、それに深く加担した安倍昭恵も当時の理財局長の佐川宣寿も何ら問い糺されることなく、安穏に暮らしているのが不思議である。   モリカケの「カケ」の方で言えば、安倍晋三のお友達が経営する加計学園が銚子市に作った「千葉科学大学」が定員の半分も学生が集まらずに経営が行き詰まり、これを銚子市に押し付けて逃げ出そうとしていて顰蹙を買っている(このことは余り知られていないかもしれないが、私は千葉県民なのでローカルニュースで詳しく読んでいる)。この学校には、今回何とか当選を果たした萩生田光一が2009年に落選した後の3年間「名誉客員教授」に就任して月10万円とかの給料を貰い、そのお陰で浪人時代を乗り切ることができて「助かった」と本人も言っているような、つまりは安倍のお友達の相互扶助組織なのだが、そんなものを銚子市民の負担に押し付けてどうするというのか。こういうことの一つ一つがすべて安倍政治の悪魔の遺産であり、きちんと始末をつけなければならないというのに、石破は裏金問題一つをとっても中途半端に終わった。

政治•経済

2025.01.08

「アベノミクス」を総括できない  石破政権の錯誤と展望なき施策  政権交代もなく「脱安倍」も進められない日本の暗澹①   高野 孟 ●ジャーナリスト
「アベノミクス」を総括できない 石破政権の錯誤と展望なき施策 政権交代もなく「脱安倍」も進められない日本の暗澹① 高野 孟 ●ジャーナリスト

政権交代のチャンスを逃した野党  総選挙の結果は、自民党が単独過半数を42も割り込む191議席、自公合わせても215議席でまだ過半数に18も届かないという歴史的惨敗に終わった。来年に結党70周年を迎える自民党が、その長い歴史の中で政権を手放したことは2度あって、1993〜94年の細川・羽田両政権の10ヵ月間と2009〜12年の鳩山・菅直人・野田の旧民主党政権の3年3ヵ月間だけ。93年の時は、衆院定数511、過半数256に対して自民は33足りない223議席にとどまった。09年の時は、定数480、過半数241に対して自民は122も足りない119議席のまさに大惨敗に陥った。それぞれ定数が異なるので、定数に対する自民の獲得議席の占有率で比較すると、09年の24・8%、93年の43・6%に対して今回は41・1%で、前者には遥かに及ばないが、後者を下回っている。つまり、今回もし野党が予め結束を準備していれば政権交代が起きてもおかしくなかったのである。    逆に言うと、立憲民主党の野田佳彦代表は、選挙戦を通じて口先では盛んに「政権交代」を訴えたものの、単独過半数を獲得できるだけの候補者を用意できている訳ではなく、そうかといって他の野党と協力して候補者の一本化を図るのでもなく、どちらでもない中途半端に流れ、野党第一党としての責任を果たさなかった。仮に今回、立憲が右に翼を広げて維新、国民民主と「中道右派連合」を組んで臨んでいれば、小選挙区の得票率で自公合計の39・1%に対し立維国の合計は44・5%で、これにさらに候補者一本化の効果が加わるので、圧倒的な政権交代が起きていただろう。あるいは、立憲が左に手を伸ばして共産、れいわ、社民と「中道左派連合」を成した場合でも、立共れ社合計は37・1%で、ここでも一本化効果が強く働くので、やはり政権交代が起きておかしくなかった。 「政権交代ある政治風土」の再考  多くの国民が石破茂首相の指導力のなさ、言動のコロコロ・ヨタヨタぶりを指摘しており、私も、この人はもう少し骨があるというか、それなりの覚悟と考え深さを持ってこの機会に挑んでいるものと思っていたので、余りのことに唖然としている一人ではあるけれども、それと同時に、野田が口先で政権交代を唱えるばかりで実際にはそのための準備を何もしてこなかった無責任さにも呆れ返っているのである。イタリア政治研究家の後房雄名古屋大学名誉教授は、日本とほぼ同時期に同様の選挙制度を導入したイタリアでは、保守・リベラル両陣営が共に徹底的な選挙協力・政党連合を追求することで2大勢力による「政権交代ある政治風土」を耕してきた歴史があることを紹介しつつ、次のように言い切っている。「小選挙区制に相応しい選挙戦略は何かといえば、核心は2大勢力が政党連合によってすべての小選挙区で候補者を統一することである。……日本やイタリアのように、中選挙区制や完全比例代表制の時代が長く多党制が定着していた国が小選挙区制に転換した場合においては、ただちに2大政党制が確立することは困難であり、また不自然でもある。しかし、事前の政党連合によって、首相候補とマニフェストを統一したうえで全小選挙区で候補者を統一できれば、機能的には2大政党制と同様の役割を果たすことができ、有権者の政権選択を可能にすることができる。〔この〕イタリアの政党の戦略的行動様式は、日本の政党、特に野党に最も欠けて いるものとして注目に値する」(『政権交代への軌跡』、花伝社、2009年刊)。  こういう国際的な連立政治についての常識が日本では全く通用しないということが残念極まりない。さらに奇妙なのは、その協力を組もうという場合に必ず出てくるのが「基本政策で一致しなければ一緒にやれない」というセリフである。政党同士が理念や基本政策を異にするのは当たり前で、異にしないのであれば1つの党になればいい。このように全てで一致できない限り一緒にやれないと言って協力関係をブチ壊すことを辞さないという頑な態度を、昔の左翼用語では「最大限綱領主義」と呼んでバカにした。選挙協力を組もうという場合は、イタリアでは5年、日本では4年の下院任期の間にどうしてもこれとこれだけは実現したいという「最小限綱領」で合意して、「だからこの1期、我々に政権を任せてくれ」と課題も期間も限定して有権者に訴えかけるのでなければならない。まあ、この国の野党業界には国際標準から見て非常識ばかりが罷り通っているのである。

政治•経済

2025.01.07

日本の外国人労働者 就職・転職でハローワーク利用は4%と低調
日本の外国人労働者 就職・転職でハローワーク利用は4%と低調

 外国人労働者が日本で就職・転職する際にハローワークによる職業紹介を利用しているのは、わずか4%にとどまることが、厚生労働省の初の実態調査でわかった。国内で働く外国人の43%は、SNSを含む「知人、友人」を介して職を得ているが、トラブルも増えており、厚労省は外国人に対してハローワークの存在を周知するとともに、相談支援態勢の強化を図ることが求められる。 ■初の実態調査 厚労省は2024年12月26日、国内の外国人労働者の就職・転職状況や賃金水準など労働実態に関する初の調査結果を公表した。この調査は、日本で働く外国人が増加し続ける中で、その労働実態を広範に把握し、政策立案などに生かすのが狙いだ。 2023年10~11月に実施され、外国人を雇用する3534事業所と外国人労働者1万1629人が回答しており、こうした外国人労働者の実態を反映した統計は史上初めてのものとなった。  日本に住む外国人の就職・転職の方法では、SNSを含む「知人、友人」の43%が最多で、求人広告が19・3%、民間紹介会社が9・9%で続いた。ハローワークを利用したのは、3・9%だった。  技能実習制度に代わり、2027年までに新たに始まる外国人材受け入れのための「育成就労制度」では、それまでは禁じられていた国内での転職が認められる。このため、悪質なブローカー排除に向け、就職・転職手続きの仲介はハローワークなど公的機関に限定されることになる。そうした事態が迫っているにもかかわらず、外国人のハローワークの利用が極端に低い現状は深刻な問題だ。厚労省は今後、各地の自治体との連携も強め、周知を徹底する必要がある。 ■トラブルは14%  今回の初の調査では、外国人労働者で就労上のトラブルを抱えている人は14・4%に上った。トラブルの内容別(複数回答)では「紹介会社(送り出し機関含む)の費用が高い」が19・6%で最多。 「説明以上に高い日本語能力を求められた」(13・6%)、「仕事内容について説明がなかった」(7・3%)など、事業所側の説明の不備が理由の回答も目立った。  事業所が外国人を雇う理由(複数回答)は「労働力不足の解消・緩和」が64・8%と最も多く、雇用上の課題では、「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が44・8%と突出していた。  外国人労働者を巡っては、在留資格別の人数を把握できる統計などはこれまでにもあったが、サンプル数も少なく、労働実態が適切に把握できていないとして、今回の初調査が行われた。厚労省は今後も毎年1回、調査を続ける方針だ。 ただ、調査結果を政策にしっかりと反映させ、外国人労働者を手厚く保護しなければ、「お飾り調査」に終わってしまいかねない。新たな「育成就労制度」が始まる際、海外から「選ばれる国」にはなるためにも、政府の今後の政策が注目される。

現役国会議員秘書 紅良作の2025政経国内展望
現役国会議員秘書 紅良作の2025政経国内展望

明けましておめでとうございます。 令和7年が皆さまにとって希望に溢れる1年となりますように願っております。本年もどうぞよろしくお願いいたします。 インフレ、利下げ、賃上げ、エネルギー  さて、今年は諸外国では過度なインフレが一旦落ち着いて高金利から利下げが始まるだろう。だが、我が国においては今更ながら利上げが進み上半期には0.75%に、長期金利は1%に、その後は利上げの影響を見極めつつ様子見とするだろう。日銀による大胆な金融緩和は2013年から実施され、「2%の物価安定」を「2年程度の期間」を念頭におきながらできるだけ早期に実現することを想定していた。結果はどうだったか。マクロモデルで実質GDPを1.3%から1.8%、消費者物価の上昇率を0.5%から0.7%分、それぞれ押し上げに留まっている。想定していた効果とは程遠い結果であった。効果と副作用を慎重に検証することなく例外的な金融政策を濫発してきたことには反省が必要である。2%の物価安定目標を長期間にわたって達成できなかったのは2014年に消費税が8%に、2019年に10%に引き上げられたことよるのは一目瞭然である。金融政策と財政政策の協調がうまくいかない場合、デフレ脱却は難しく金融政策にばかりに負荷がかかってしまう。金融と財政の政策議論を深める必要がある。  賃上げについては一層に順調に進み4%から5%の間をターゲットとして高い水準を維持すると目される。企業の業績好調のみならず人材不足は深刻で賃金の高騰は避けられない。所得向上により消費は持ち直す。利上げによって日米の金利差は縮小し円高傾向で推移する。賃金上昇による価格転嫁は進むが円高を受けて2025年から2026年にかけて物価指数は2%を割り込む可能性がある。  エネルギーに関しては随分と高騰が緩和されてきた。12月の電気料金は関西電力以外の9社は軒並み値下げしている。1月からは電気・ガスに対して昨年の夏と同様に補助金を出すことを政府が11月に閣議決定していることから小売価格は少しだけ更に下がる。ただ、天然ガスはウクライナ情勢から世界中で売切れ状態が続いておりロシア以外からの調達が容易ではない。よって、天然ガスの高騰は2025年も続くだろう。 2025年問題  最後にかねてから言われてきた「2025年問題」というものがある。介護・医療業界での労働力不足による現場の体制崩壊が危惧されること指す。2025年には団塊の世代にあたる約800万人が一斉に75歳以上となる。それによって人口の約30%が65歳以上の高齢者となる。20歳から64歳の現役世代は人口の55%しかいない。2025年以降、社会保障費が爆発的に増大することは避けられない。財政の問題より更に深刻なのは高齢者の生活や健康に及ぼす影響である。医療や介護の需要の急増に対応する施設や人材が圧倒的に不足している。このことが医療や介護の質の低下や施設利用までの待機時間の増加を招く可能性がある。現役の労働力が家庭内での介護にたくさんの時間と大きな労力を費やすようになると生産性が下がり経済全体の成長を妨げることに繋がる。このことは医療や介護の業界だけではない。物流業界、IT・通信業界、建設業界、製造業界にも言えることである。  これらの問題を踏まえて生産性の向上のためのDX推進の強化、働く環境整備の推進、人材の多様化、地域ぐるみの社会形成、企業の社会的責任の見直しなど今以上に迅速に対応し整備を進めないといけません。行政や企業は将来への格段の投資が必要であり、政府は惜しむことなく後押しなければ国家の存続の危機に陥ります。DX化への投資を進め業務効率化や自動化を国を挙げて後押しし推進し人材不足の解消と競争力強化に取り組まなければなりません。今年も輝かしい未来の為の一日一生を歩みたいと思います。(紅 良作)

政治•経済

2025.01.03

沖縄県民の憲法13条が本土の13条の犠牲に  辺野古抗議行動デマ中傷の悲痛  『社外取締役島耕作』のお詫びは誰に対するものなのか 弁護士 内田雅敏  最終回
沖縄県民の憲法13条が本土の13条の犠牲に 辺野古抗議行動デマ中傷の悲痛 『社外取締役島耕作』のお詫びは誰に対するものなのか 弁護士 内田雅敏  最終回

終わりに代えて限りない悲しみ  本件『社外取締役島耕作』の辺野古抗議行動デマ中傷報道に接して、ヤマトの一員として感ずることは怒りではない、限りない悲しみで ある。10月22日朝日新聞夕刊「素粒子」は書く。【「辺野古抗議行動に日当」のデマを垂れ流した「島耕作」。社長・会長に出世したエリートも晩節汚し。この程度の情報判断力で今の社外取締役は務まるの?】  全く同感である。「取材」ならば、どうして他方、即ち抗議行動側の意見も聞かなかったのか。取材で複数人から「辺野古では日当が支払われているようだ」と聞いたと作者らは言う。いずれも直接の体験でなく「伝聞」である。ところが件の漫画では登場する女性に「抗議する側もアルバイトでやっている人がたくさんいますよ 私も一日いくらの日当で雇われたことがありました」と伝聞でなく、直接の体験として語らせている。ここに抗議行動に対する作者の嫌悪・悪意を感ずる。冒頭記した「モーニング、及び作者の「お詫び」が読者に対する ものであって抗議行動参加者に対するものでないことはどうしたことか。

沖縄県民の憲法13条が本土の13条の犠牲に  辺野古抗議行動デマ中傷の悲痛  『社外取締役島耕作』のお詫びは誰に対するものなのか 弁護士 内田雅敏 5回
沖縄県民の憲法13条が本土の13条の犠牲に 辺野古抗議行動デマ中傷の悲痛 『社外取締役島耕作』のお詫びは誰に対するものなのか 弁護士 内田雅敏 5回

沖縄県民の求めるささやかな幸福追求の権利  辺野古での抗議行動は憲法13条、幸福追求の権利に基づくものだ。沖縄県民が求める幸福とは何か。それは耳をつんざくような爆音のない静かな夜、空から危険物の落下のない安全な生活、米軍・軍属による性被害のない安心できる社会等々といったささやかなものに過ぎない。国土の0・6%の狭い土地に在日米軍施設の70%が集中し、県民は米軍基地の重圧に呻吟している沖縄では、このささやかな権 利が保障されていない。憲法番外地である。  そもそも権利の保障はそれが保障されない時代があったことの反映である。例えば表現の自由の保障は、表現の自由が保障されない時代 があったからだ。憲法は種々の権利を保障しているが、その根幹をなすのは13条「幸福追求の権利」だ。この国ではかつて、個人は天皇の為、国家の為にあるとして、個々人の幸福を求めてはいけないという時代があった。そんな昔の話ではない。たかだか80年前の話だ。その反省から生まれたのが憲法13条、幸福追求の権利だ。ヤマト(本土)は沖縄に米軍基地を押し付け、平穏な生活をしたいという沖縄県民のささやかな願いを踏みにじっている。ヤマトの13条のために沖縄県民の13条が犠牲にされていることに筆者を含むヤマトの人々がどれだけ自覚的だろうか。

死刑執行 2年半もなし 形骸化指摘も
死刑執行 2年半もなし 形骸化指摘も

 死刑が執行されない状態が続いている。秋葉原無差別殺傷事件の加藤智大元死刑囚(当時39歳)が執行された2022年7月26日を最後に、約2年半にわたり執行がないままだ。静岡県一家4人殺害事件で、死刑となった袴田巌さん(88)が再審無罪になったことなども背景にあるとみられるが、未執行期間が長期間に及んでいるため、死刑制度の形骸化を指摘したり制度廃止を求めたりする声も上がっている。 ■最後の執行は秋葉原無差別殺傷・加藤智大元死刑囚 「死刑執行の命令は判決確定の日から6か月以内にしなければならない」 刑事訴訟法は死刑についてこう定めるが、実際の執行の時期や対象者は法務大臣の判断に委ねられており、未執行の確定死刑囚106人(2024年12月末時点)の中には、死刑確定から数年~半世紀以上が経過しているケースもある。  法務省は元々、再審請求中の死刑囚については、長年にわたり執行を後回しにする運用を続けていたが、2017年7月、当時の金田法相が「再審請求を行っているから死刑執行しないとの考えは取っていない」として、2人の死刑囚の死刑を執行した。 法務省はその後も再審請求中の死刑囚への死刑執行を続け、2018年には、オウム真理教の教祖・麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚(当時63歳)ら15人の刑を執行するなど、厳格な姿勢を鮮明にしてきていた。オウム真理教事件で執行された13人のうち10人、最後の執行となったアキバの加藤元死刑囚も再審請求中だった。 ■葉梨元法相のハンコ問題と袴田さん再審無罪  だが、高齢受刑者への死刑執行を避ける傾向は顕著となっている。ある法務省幹部は「人道上の観点から、高齢死刑囚には執行に踏み切りにくい」と明かす。こうした傾向が続く中、「死刑離れ」に拍車をかけたのが、「ハンコ問題」と袴田さんの再審だ。  ハンコ問題では、アキバの死刑執行後の2022年秋に法相に就いた当時の葉梨康弘氏が公の場で、法相の庶務について、「死刑のハンコを押し、昼のニュースのトップになるのは、そういう時だけという地味な役職だ」などと発言。死刑制度を軽視するような姿勢に世間の批判が噴出し、葉梨氏はすぐに更迭されたが、ある法務検察幹部は「あのハンコ発言のせいで、逆に死刑執行の判断により慎重にならざるをえなくなった」と振り返る。  法務省はさらに「袴田さん再審」という「爆弾」を抱え続けていただけに、その後の法相4人も執行しないまま、現在に至っている。 ■遺族は怒り、厳格な運用を 死刑は命を奪う究極の刑罰であり、再審請求中の事件も含め、執行に慎重になるのは当然だ。袴田さんの事件でも、再審開始が2023年3月に確定し、2024年9月に再審無罪判決が言い渡された。 だが、同じ理由で何度も再審請求を繰り返す「執行逃れ」の疑いが強い死刑囚も少なくなく、遺族感情からすれば、死刑制度があるのに執行されない状態が長期化している現状には、怒りや違和感しかないだろう。 死刑制度の形骸化を指摘する声も根強く、一部の国会議員は死刑廃止を求めている。ただ、内閣府が2020年に公表した世論調査で、死刑容認は80・8%を占め、死刑廃止支持の9・0%を大きく上回り、現在の鈴木馨祐法相も、廃止には否定的な考えを示している。犯人の極刑を願う犯罪被害者も少なくなく、死刑制度がある限り、厳格な運用が求められる。  

沖縄県民の憲法13条が本土の13条の犠牲に  辺野古抗議行動デマ中傷の悲痛  『社外取締役島耕作』のお詫びは誰に対するものなのか 弁護士 内田雅敏 4回
沖縄県民の憲法13条が本土の13条の犠牲に 辺野古抗議行動デマ中傷の悲痛 『社外取締役島耕作』のお詫びは誰に対するものなのか 弁護士 内田雅敏 4回

むなしさを抱きしめ、だが絶望することもなく  サンゴと多様な生物が生息する大浦湾への土砂の投入は止まらない。キャンプシュワブのゲートからは毎日500台近くのダンプが土砂 を搬入する。沖縄戦の艦砲射撃で裸にされ、再生した山が再び裸にされる。むなしい。しかし、このむなしさを抱きしめながら絶望するこ ともなく辺野古での抗議行動は今日も続く。これこそが先人たちが連綿として続けて来た沖縄の運動だからだ。  辺野古での抗議行動は憲法13条(幸福追求の権利)に基づく非暴力の闘いである。現場のリーダーが抗議行動の新たな参加者に「非暴 力とは言葉の暴力も否定するものなのです」と説明する。現場では、排除する機動隊員に対する抗議もなされるが、その場合にも「税金泥棒!」、「ポリ公帰れ!」といった類の「暴言」が吐かれることはない。抗議行動参加者に「土人」と暴言を吐いた大阪府警など、県外の機動隊は別として、排除される沖縄県民、排除する沖縄県警の相互間にある種のリスペクトが存在する。こういうことは上っ面の調査や「取材」ではわからない。現場でずっと座り込みをしていることによって次第に見えて来る。辺野古では抗議行動一辺倒ではない。ダンプの隊列の合間を縫って昼食や交流会がもたれ、各地の報告などのほかに歌や、踊りもある。  歌には「沖縄を返せ」といった運動歌ももちろんあるが、「海の青さに空の青 南の風に緑葉の 芭蕉は情けに手を招く 常夏の国 我 した島沖縄」と謳う「芭蕉布」のような民謡も歌われる。歌や踊りはゲート前で機動隊と対峙しているときにも行われる。機動隊の隊長も歌や踊りの最中には規制・排除を控え、頃合いを見て、機動隊員に規制開始を命じる。抗議行動の現場リーダーと機動隊隊長の阿吽の呼吸だ。「ごぼう抜き」に際して、時には双方が激するところもないわけではないが、機動隊員たちの行動は概ね穏やかだ。抗議行動参加者を機動隊員3人がかりで運び出し、尻からでなく、まず足から着地させ、起き上がるのにも手を貸す。筆者は毎回「お世話様」と声掛けしている。人はこれを「馴れ合い」と呼ぶかもしれない。だがこれが「勝つことの秘訣は諦めないこと」という沖縄の運動なのだ。朝、抗議行動の始まる前、ゲート前で抗議行動参加者が沖縄県警員と「おはよう」と挨拶を交わしながらグータッチをすることもある。  年配の女性から「あなたたち、こんなことをしていていいの」と語りかけられ涙ぐむ、孫のような若い機動隊員を見たこともある。「あ なたウチナー口(沖縄の言葉)分かる」と声をかけて機動隊員にウチナー口で語り掛ける年配の女性もいる。こういう芸当は年配の女性で なければできない。昼食は各々がそれぞれ用意して来るが、中に、週1回だが、多くの人々のために盛りだくさんの食事を持参してきてくれる人がいる。聞けば、その日は午前3時頃から起きて準備するそうだ。筆者も随分ごちそうになっている。これを辺野古ヴァィキングと呼ぶ人もいる。手間暇はもちろんのこと、毎週のことだから経済的な負担も大変なものだ。

裁判官がインサイダー取引 証券取引等監視委員会が刑事告発 特捜部が在宅起訴
裁判官がインサイダー取引 証券取引等監視委員会が刑事告発 特捜部が在宅起訴

 法の番人であるはずの裁判官が、インサイダー取引をしたとして罪に問われる異例の事態となった。証券取引等監視委員会は2024年12月23日、金融庁に出向していた裁判官・佐藤壮一郎容疑者(32)を金融庁品取引法違反の疑いで東京地検特捜部に刑事告発した。佐藤容疑者は同年4月に最高裁判所から金融庁企画市場局企業開示課に出向後、職務を通じて知ったTOB(株式公開買い付け)に関する未公開情報をもとに違法な株取引を始めていたという。 ■出向後すぐに不正な株取引 刑事告発を受けた東京地検特捜部が同25日に佐藤容疑者を在宅起訴しており、裁判官が今後は「刑事被告人」として公開の法廷で裁かれることになった。2025年早々にも東京地方裁判所で初公判が開かれる見通しだ。  証券取引等監視委や関係者によると、佐藤被告は4月の出向直後からインサイダー取引を開始。監視委の強制調査を受けた9月までに、自身名義で10銘柄について合わせて計951万円分を買い付けたとされる。  佐藤被告は、金融庁企業開示課で課長補佐を務め、関東財務局が審査を担当するTOBについて、実施予定日や価格などを知りうる立場にあった。このため、一部の金融庁職員にしか閲覧できないTOB案件を一覧にまとめた資料をみられる権限もあり、出向直後から不正な株取引を始めていたとされる。不正に買い付けた株の売買で、約400万円の利益を得ていた疑いがある。 ■検察などは「裁判官」の立場を重視  今回のように数百万円程度しか利益のないインサイダー取引の場合、証券取引等監視委員会は課徴金の行政処分に済ますのが通例で、刑事告発・起訴にまでいたるのは異例だ。監視委や検察が佐藤被告の「裁判官」という立場を重視した上で刑事罰に問うべきと判断した。 佐藤被告は一連の不正を認めているとされ、公判でも起訴事実を認めるとみられ、量刑が争点になる見通しだ。 知人らによると、佐藤被告は慶応大学法学部から同大法科大学院を経て、24歳で司法試験に合格したエリート。裁判官の妻とも結婚し、経済的に困っていた様子はうかがえず、生活も順風満帆にみえた。これまでの監視委や特捜部の任意聴取には、「ばれないと思った」などと供述しているが、動機についてはまだ詳述していないといい、公判でどこまで犯行の動機や経緯が明らかになるのか。裁判官が被告人となる異例の刑事裁判は今後、世間の注目を集めそうだ。

1 34 35 36 37 38 41