政治•経済

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就活セクハラが深刻化 厚労省が法改正で対策強化へ
就活セクハラが深刻化 厚労省が法改正で対策強化へ

 就職活動中の学生らが社会人から性的嫌がらせを受ける「就活セクハラ」が深刻化している。厚生労働省は企業に防止対策を義務づける方針を固めており、今年の通常国会で男女雇用機会均等法の改正を目指すが、大手企業の職員が逮捕されるケースも後を絶たず、抜本的な対策強化が必至だ。 職場におけるセクハラを巡っては、同法に基づき、防止措置を実施することが以前から企業に義務化されているが、雇用関係にない就活生は対象外となっている。だが、厚労省の昨年の調査では、インターンシップ中に受け入れ先の社員らからセクハラを受けた就活生の割合は30・1%と高水準に上り、被害が相次ぐ実態が浮かんだ。 被害の内容としては、「性的な冗談やからかい」「デートへの執拗な誘い」が目立ち、セクハラによって受けた影響については、「眠れなくなった」「就活への意欲の減退」などが挙げられた。 ▼逮捕者後を絶たず 近年は、「就職の相談に乗る」と言ってインターンシップ中や就職活動中の女子大学生を誘い、わいせつ行為に及んだ大手企業の社員が逮捕されるケースも相次いでおり、今年になってからも大手メーカーNECの社員が逮捕される事件も起きた。 厚労省はこれまで、同法に基づく指針を定め、企業に就活セクハラ対策を求めてきたが、学生らの保護が不十分だとして、各大学などから国へ対策強化を求める声が強まっていた。このため同省は今後、就活生を従業員に準ずる存在と位置付け、面談時のルール策定や相談窓口の設置などを企業に義務化したい考えだ。 具体的には、OB・OG訪問時の場所や時間などについてのルールを事前に設定することや、相談窓口を整備して就活生に周知することなどを企業に求める方針。厚労省はすでにこうした内容を盛り込んだ男女雇用機会均等法の改正方針について、昨年12月の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で示し、了承を得た。今国会に同法改正案を提出し、早期の法改正による対策強化を図る。 立場の弱い就活生に対するセクハラは言語道断で、社員が逮捕される事態にまで発展すれば、企業の社会的信用が一気に下がるのは言うまでもない。企業は恥ずかしい「わいせつ社員」を出さないよう、社内研修の強化など防止措置を講じる必要がある。

「ストレスチェック」全企業に義務化へ 今国会で法改正方針
「ストレスチェック」全企業に義務化へ 今国会で法改正方針

 働き手の精神的安定を図ることが企業の重要な責務となっている。労働者の心理的負担を検査する「ストレスチェック」について、厚生労働省は全ての会社に実施を義務づける方針を固めた。ストレスチェックは現、は従業員50人以上の事業所に年1回の実施が義務づけられているが、厚労省は今年の通常国会で労働安全衛生法を改正し、義務化の対象を従業員50人未満の小規模事業所にも広げ、対策強化を図る考えだ。仕事上のストレスが原因で精神疾患を発症する人が増えている現状を踏まえた措置で、労働者のメンタル面の保護を強化し、生産性が高まることが期待されている。 ◆2015年から50人以上で義務化  ストレスチェックは、働き手の精神不調を防ぐため、2015年から従業員50人以上の事業所に年1回の実施が義務づけられている。仕事量や職場の人間関係、食欲などについて回答してもらい、ストレスの度合いを数値化する仕組みだ。指標によって「高ストレス」と判定された人は、医師との面接を勧められることになる。  国による調査では、受検者の7割以上が「有効だった」と回答するなど一定の成果を上げてきた一方で、近年は長時間労働などが原因で心の健康を崩す労働者は相次いでいる。2023年度にうつ病などの精神疾患を発症し、労災認定を受けた人は過去最多の883人に上った。  対策強化が急務となる中、労使の代表者や医師、大学教授らでつくる厚労省の有識者検討会が昨年に発足し、改善に向けた議論が進められてきた。議論を踏まえ、厚労省の事務局は昨年10月、義務化の対象を従業員50人未満の事業所にも広げる案を検討会に示し、了承を得た。 ◆300万人近い働き手のメンタルケアへ  厚労省は今後、今国会に改正労働安全衛生法案を提出し、早期の法改正を目指す。ただ、全企業に実施の義務付けとなると、零細企業にとっては業務負担の増加が危惧されることなどもあり、実際の義務化拡大は数年後になる見通しだ。 国の統計によると、従業員50人未満の事業所は全国に30万か所以上あり、その事業所で働く労働者は300万人に上る。義務化の拡大により、精神面をケアされる労働者が一気に増えることにはなるが、ストレスチェックの実施に伴う事務手続きが企業の負担になり、「ストレス」につながってしまっては、本末転倒だ。 国や自治体は、ストレスチェックの全事業所での実施に向け、マニュアルの充実化を図るなど、企業の取り組みをバックアップするきめ細やかな態勢整備を進めていくべきだ。

「聖書と経営」を実践した  「ライオン」 創業者 小林富次郎の実像  「聖書を抱えた経営者」の広告戦略と社会貢献活動 第5回 早川 和廣●ジャーナリスト
「聖書と経営」を実践した 「ライオン」 創業者 小林富次郎の実像 「聖書を抱えた経営者」の広告戦略と社会貢献活動 第5回 早川 和廣●ジャーナリスト

(写真 ライオンHPより引用 外国語も使ったカタログ) 海老名弾正牧師の「序」①  もともとの『小林富次郎伝』初版の「序」は、明治44年、百十余年前に海老名弾正牧師が書いている。海老名弾正牧師と聞いても、キリスト者であればともかく、いまではほとんど知る人はいないと思われる。当時の彼がどのような人物だったのか。近年の宗教界に、相当する人物はいるのかと考えたときに、なかなか思い当たる人物はいない。  故人であれば、キリスト者ではないが「昭和の快僧」として知られた禅僧・朝比奈宗源師、あるいは陽明学者の安岡正篤氏が序文を書いたようなものだろうか。「序」の文章は、明治時代末の旧字体によるものであり、現代人にはあまりに格調が高過ぎて、解読するのに苦労する。以下、「序」を現代風に改めて、その全文を掲載(一部要約)する。文章の格調の高さが、創業者の価値を証明していることがよくわかるはずだ。その内容は創業者を題材に、サスティナビリティが企業社会にも求められる時代に、多くの人たちが聞くべき内容でもある。(つづく)

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2025.01.20

「聖書と経営」を実践した  「ライオン」 創業者 小林富次郎の実像  「聖書を抱えた経営者」の広告戦略と社会貢献活動 第4回 早川 和廣●ジャーナリスト
「聖書と経営」を実践した 「ライオン」 創業者 小林富次郎の実像 「聖書を抱えた経営者」の広告戦略と社会貢献活動 第4回 早川 和廣●ジャーナリスト

(写真 ライオンHPより引用 牛乳石鹸の最初期の新聞広告) 「広告王」と称された創業者  小林富次郎は酒造業を営む小林家の次男として、埼玉県与野町(現在のさいたま市)に生まれた。4歳のときに、新潟の柿崎・直海浜に住む祖父母に預けられて、16歳まで育った。彼が新潟を「ふるさと」と称する由縁である。その後、生家にもどって家業を手伝った彼は、やがて石鹸、マッチの軸木などいくつもの事業を展開する中、何度も窮地に陥った後、1891年(明治24年)「小林富次郎商店」を開店した。    2年後には石鹸製造販売、5年後に歯磨き粉の製造販売を始めて、大成功を収めた。その経営の原点には、キリスト教との出会いによる社会奉仕活動があったことから「聖書を抱えた経営者」などと称されたわけである。日本の高度成長とともに、日本的経営が脚光を浴びた際、その良さをすべて明治期から実践してきたのが、ライオン創業者であった。創業時のライオンが、いかに独創的であったかは、次のようなチャレンジからもわかるはずだ。例えば、歯磨きの米国輸出も、近年流行ったメセナ(慈善事業)も、近江商人の「三方よし」なども、みな明治期に実践している。そんな典型的な例が商品を慈善事業に役立てる「慈善券付きライオン歯磨」の発売であろう。マーケティング的には、ベルマーク運動の先駆けのようなものだ。「広告王」と称された小林富次郎だけに、なかなかのアイデアマンで、日本初のCMソング、大相撲無料招待キャンペーンの実施など、様々なことを通して「広告は商品を育てる肥料である」ことを実践した。「愛の精神の実践」は今日に至る同社のDNAとなっているとのことだが、「ライオン」の親しみやすさ、事業を通して社会に奉仕する社会貢献活動の基礎となっている。  創業者の一連のアイデア及び事業は、現在の広告代理店「電通」の広告戦略を一社で展開している、そんな印象さえある。

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2025.01.19

「聖書と経営」を実践した  「ライオン」 創業者 小林富次郎の実像  「聖書を抱えた経営者」の広告戦略と社会貢献活動 第3回 早川 和廣●ジャーナリスト
「聖書と経営」を実践した 「ライオン」 創業者 小林富次郎の実像 「聖書を抱えた経営者」の広告戦略と社会貢献活動 第3回 早川 和廣●ジャーナリスト

(写真 ライオンHPより引用 牛乳石鹸の商標写真) 創業者の「ふるさと」柿崎  「ライオン」の本社ロビーには、創業者を紹介するコーナーが設けられている。創業者の顕彰は、本来、企業「ライオン」の仕事だが、今回『小林富次郎伝』の翻訳・翻案を進めるのは、ライオンとの個人的な“縁”との思いからである。その意味では筆者なりの創業者へのオマージュ並びにライオンへのエールのようなものである。  そのライオンの創業者が「ふるさと」と語っていたのが、新潟県である。ところが、新潟出身の著名人を紹介した『新潟県が生んだ100人』(ふるさと人物小事典)など、一連の新潟関連書籍には、小林富次郎の名前はない。2016年に出版された小松隆二著『新潟が生んだ七人の思想家たち』(論創社)に、相馬御風、小川未明、大杉栄らとともに取り上げられている程度である。なぜ、新潟を「ふるさと」と称するライオン創業者を、新潟県並びに新潟のメディアが取り上げようとしないのか、いささか不思議な印象を受けたものだ。そんなモヤモヤがあって『小林富次郎伝』を手に取ったわけである。伝記は葬儀の様子が詳しく描かれている一方、遺体が火葬場に運ばれ葬式を終えた後、遺骨がどこに運ばれ、埋葬されたのかについては記されていない。以前、ライオン広報部(コーポレートコミュニケーションセンター)に問い合わせた際にも、創業者がどこに埋葬されたのか、いわゆるお墓については「把握していない」との回答があった。  創業者はクリスチャンであるが、小林家の菩提寺・柿崎の光徳寺には、死の前年に建立された「堅忍遺慶の碑」がある。「堅忍遺慶」は耐え忍んだ、その後に慶(よろこ)びが遺(のこ)るとの意味であり、創業者の人生を象徴する言葉とのことである。浄土真宗門徒として生まれ、クリスチャンとして葬儀を行った創業者が、死の一年前、小林家の菩提寺に、自らの人生を象徴する言葉を刻んだ石碑を建てたのは、どのような思いであったのか。光徳寺の篠原真住職の話では、小林家の先祖の墓には、創業者の遺骨は埋葬されていないという。とはいえ、毎年、創業者の命日にはライオン幹部がお墓参りにやって来るとのことである。

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2025.01.18

「聖書と経営」を実践した  「ライオン」 創業者 小林富次郎の実像  「聖書を抱えた経営者」の広告戦略と社会貢献活動 第2回 早川 和廣●ジャーナリスト
「聖書と経営」を実践した 「ライオン」 創業者 小林富次郎の実像 「聖書を抱えた経営者」の広告戦略と社会貢献活動 第2回 早川 和廣●ジャーナリスト

(写真はライオンHPより引用 「ライオン最古のカタログ」) 「聖書」を抱いた企業人  新一万円札の肖像画は、日本の資本主義の父と言われる「渋沢栄一翁」になった。電子マネー化が進行する中での新札の発行、特に渋沢翁の登場は、マネー資本主義の限界が明確になっている現在、最後の一万円札になるとの予測もある。  渋沢翁の今日における価値は、「論語と算盤」という道徳と経済を両輪とする成功モデルを、明治期から推進・展開して、1000社以上の株式会社、社団・財団などの事業団体を誕生させていることだ。その渋沢栄一の「論語」の代わりに「聖書」をビジネス展開の指針としたのが、ライオン創業者の小林富次郎である。クリスチャンの彼は「算盤の聖者」とか「聖書を抱いた経営者」と言われた。  小林富次郎は幕末の風雲急を告げる1852年(嘉永5年)2月に生まれ、1910年(明治43年)12月に58歳で亡くなっている。死の1年後の1911年(明治44年)11月、創業者の遺徳を讃えるとともに、その精神を将来に伝えていくため、『小林富次郎伝』(初版)が当時のライオン歯磨株式会社から出版されている。さらに、創業者の生誕100年祭を執り行った1951年(昭和26年)には、その数々の業績を忍ぶとともに「ライオン」の将来の発展に資するものとして、また知己友人の座右に供えてもらおうと『小林富次郎伝』第三版(非売品)が出版された。筆者の手元にあるのは、同年4月に出版された第三版である。加藤直士著『小林富次郎伝』(初版)に、新たに中尾清太郎氏編集による「聖書日々実行訓」(後に改題して「先代の言葉」)を付録に加えて、出版されたものだ。当時の創業者が、いかに世間の注目を集めていたかは、カトリック青年会館で行われた盛大な葬儀の様子とともに、多くの人が見送る葬列を収めた映画フィルムが2011年、国の重要文化財になっていることでもわかる。とはいえ、歯磨き・洗剤・目薬等の企業「ライオン」を知らない日本人は、まずいないはずだが、創業者について知る人は少ない。ほとんど、忘れられた存在である。(つづく)

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2025.01.17

障害者虐待が相次ぐ 2023年度は過去最多の3477件
障害者虐待が相次ぐ 2023年度は過去最多の3477件

 全国の自治体が2023年度に受けた障害者虐待に関する通報・相談件数が、過去最多の1万5590件(前年度比2836件増)に上ることが、厚生労働省のまとめで分かった。実際に虐待があったと認定されたケースも過去最多の3477件(同398件増)で、障害者の虐待が後を絶たず、深刻化している実態が浮かんでいる。 ▼2012年から通報義務 障害者の虐待防止や家族ら養護者への支援などの施策を促進するため、2012年10月に施行された障害者虐待防止法により、虐待を受けている可能性がある障害者を発見した人には、自治体に通報することが義務づけられた。厚労省は、自治体への通報・相談件数をまとめ、毎年公表している。 通報・相談件数や虐待認定されるケースは年々増加しているが、2023年度に過去最多に伸びたのは、障害者向けグループホーム運営会社「恵」による組織的な食材費の過大徴収問題の影響が強かったとみられている。  通報・相談件数のうち、加害者別でみると、家族ら養護者が9972件、施設職員が5618件だった。虐待の類型では、殴る蹴るなどの「身体的虐待」が2162件と最多で、怒鳴る無視するなどの「心理的虐待」は1302件、必要な金銭を渡さないなどの「経済的虐待」は473件、食事を与えないなど世話を放棄する「放棄・放置(ネグレクト)」は337件、性的な行為を強要するなどの「性的虐待」は183件と続いた。被害者とされたのは4641人で、このうち男性2人は、父親による身体的虐待や、施設でのネグレクトによって亡くなったという。 ▼虐待で死亡も厚労省は詳細明かさず 一方で、虐待により死亡に至った2人について、厚労省は「障害者虐待防止法は、件数を公表するよう規定しているが、個別の施設名や詳細を公表することは定められていない」(厚労省関係者)として、施設名や自治体を含む詳細を明らかにしていない。  ただ、虐待で死亡するということは、事件性が高いのは明らかだ。さらに、同じ施設で過去にも死亡事例がないかなどを検証する上で、施設名など詳細な情報公開が重要なのは言うまでもない。「法律」を壁にし、詳細を明かさない厚労省の姿勢は不誠実ではないか。そもそも、公表することが定められていないとはいえ、「公表してはならない」とも定められていないわけで、公益性公共性の高い情報を発信するのが行政省庁の務めのはずだ。  障害者虐待は相次いでおり、深刻な社会問題だ。再発防止に向け、施設名の公表による牽制や啓発の必要性を求める声も根強くある。単純に件数を公表しても、社会の関心を集めにくく、施設や養護者側に対する意識改革にもつながりにくい。厚労省はせめて死亡事例については詳細を説明するなどし、福祉行政を担うその責務を果たすべきだろう。  

「聖書と経営」を実践した  「ライオン」 創業者 小林富次郎の実像  「聖書を抱えた経営者」の広告戦略と社会貢献活動 第1回 早川 和廣●ジャーナリスト
「聖書と経営」を実践した 「ライオン」 創業者 小林富次郎の実像 「聖書を抱えた経営者」の広告戦略と社会貢献活動 第1回 早川 和廣●ジャーナリスト

(※写真はライオンHPより引用) 地球は生命体である。「ガイア仮説」を持ち出すまでもなく、地球はわれわれ人類と同じように、命があるとともに、様々な活動をしている企業も同様であるが、「企業の寿命30年説」が、一時流行ったことがあったように、100年企業はそうは多くない。 人に限らず、伝統文化が血となり肉となるのは、最低3代、100年近くは要することを思えば、ライオン株式会社は典型的な100年企業の一つである。 100年企業とサスティナビリティ  ちなみに、100年企業の条件とは、いろんな要素があるとはいえ、ライオン創業者が実際に示したように、まずは従業員を家族として大事にする「ファミリー企業」であること。そもそも「明確な理想、企業理念」があって起業し、その目的にあった企業体であること。そして「創業者の思想と信念」が、常に経営に息づいていることである。それは流行りの言葉にすれば「サスティナブル経営」ということになるが、企業価値という面からは、単純に歴史が長くサスティナビリティ(持続可能性)があればいいわけではない。社会にとって有用で、必要とされ価値ある存在でなければ、存続する意味がないからだ。「憎まれっ子、世に憚る」というが、悪徳企業が大きな顔をし、あるいは公序良俗など無視して、巨利を独占する今日の〝勝てば官軍〟〝万事カネの世の中“であればなおさらである。(つづく)  

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2025.01.16

JICAが懲戒処分を1年以上「隠蔽」ODA情報漏えい職員
JICAが懲戒処分を1年以上「隠蔽」ODA情報漏えい職員

 2025年元旦早々、日本が世界的に高い実績を誇る政府開発援助(ODA)事業での大不祥事が発覚した。昨年にODAの実施機関である独立行政法人「国際協力機構(JICA)」の職員が、フィリピンでの改修事業を巡る入札で業務の見積額など秘密情報を漏えいしたとして停職1か月の懲戒処分を受けていたことが読売新聞のスクープで発覚したが、実はJICAがこの処分を1年2か月にわたり公表していなかったというのだ。秘密情報の漏えいに続き、処分の長期間にわたる「隠蔽」が、再び読売新聞の元旦スクープで明らかになったが、JICAに反省の姿勢はみられない。 ▼行政省庁は処分をその都度公表 読売の報道や外務省関係者によると、日本の円借款で実施されたマニラ首都圏内の都市鉄道「MRT3号線」の改修工事事業を巡り、JICAの男性職員が2018年、業務の見積額などの秘密情報を東京都内の建設コンサルティング会社の社員に漏らした。漏えいの疑いについて調査を進めていたJICAは、職員による情報漏えい行為が、JICAの就業規則違反にあたると認定。2023年5月には、この職員を 停職1か月の懲戒処分とした。 だが、JICAがこの処分を公表したのは、それから1年2か月近く経過した2024年7月8日。一般的に行政省庁は停職以上の懲戒処分があれば、処分日に随時公表しており、JICAもJICAはみなし公務員である職員の懲戒処分について、就業規則で「原則として、処分の都度、公表する」と規定している。 JICAは①処分時は漏えい先企業への照会が完了していなかった②調査内容の取りまとめや外務省への報告などに時間を要した――と釈明しているようだが、そもそも民間企業への照会や、調査内容の取りまとめなどに「1年2か月」もの期間を要するのには大きな疑問で、一体どんな調査をしていたのかも不透明なままだ。 ODA事業に参入しているある都内のコンサルタント会社幹部は「ODAで秘密情報の漏えいは前代未聞。日本で言えば官製談合のようなものであり、JICAとしては、処分を公にしたくなかっただけではないか」と指摘する。 さらに、「漏えい先企業への照会が完了していない」ということは、まだ漏えい問題に関する調査が継続中であり、その時点で処分したJICAの対応も不可解だ。 ▼説明責任果たせ そもそも、JICAは昨年7月8日に処分を公表はしたものの、職員の所属部署や年齢、性別すらも明かさず、ホームページ上で短く「調達手続きに関する秘密情報を漏えいした」と説明するのみにとどまり、情報公開に後ろ向きな姿勢が顕著だ。 JICAのホームページをまめにチェックしているメディアもないのか、この処分は報じられないまま、昨年10月に読売の報道でフィリピンのODA事業を巡る漏えいだったことなど詳細が明らかとなり、政府は釈明会見に追われた。 JICAはこれだけお粗末な対応を続きながら、1年2か月にもわたる処分の「隠蔽」疑惑についても一切詳細な説明をせず、苦しい言い訳に終始している。発展途上国の支援が目的で、日本が参入してから昨年で70年の節目を迎えたODA。実施機関であるJICAは、改めてその責務を自覚し、理事長自ら表に出て謝罪会見を開くなど説明責任を果たすべきだ。  

「アベノミクス」を総括できない  石破政権の錯誤と展望なき施策  政権交代もなく「脱安倍」も進められない日本の暗澹④  高野 孟 ●ジャーナリスト
「アベノミクス」を総括できない 石破政権の錯誤と展望なき施策 政権交代もなく「脱安倍」も進められない日本の暗澹④ 高野 孟 ●ジャーナリスト

「アジア版NATO構想」と核共有  3本柱の第3は、外交・安保政策に関わる分野である。この面での安倍政治の最大の遺産は、2015年の集団的自衛権の解禁を盛り込んだ新「安保法制」である。これは原理的に言うと、米国が自分の勝手な都合で戦争を始めたという場合でも、同盟国=日本はそれを我が事と受け止めて米軍と肩を並べて戦うことを義務化するということで、それを担いうる自衛隊とするための大軍拡路線も採用された。野党連合としてはこれに歯止めをかけようとするのは当然だが、石破であっても、防衛族の大物で軍事オタクとも言われるほどの専門知識も蓄えているはずで、それなりに合理的な再検討に着手するのではないかと期待された。しかしその気配はなく、彼が持ち出したのは「アジア版NATO構想」と「核共有」だけだった。  「核共有」は、ドイツなどNATO内の非核保有5カ国がすでに導入しているもので、米国の戦術核を各国領内に予め配備しておき、有事の際にそれを使用することになった場合は米国の指示と承認の下、各国の空軍機がそれを搭載して核攻撃任務に就くという制度。賛成論の立場からは、これによって米国の「核の傘」の信頼性が増し、敵に対する抑止力が強化されると主張されるが、欧州にも根強い反対論の立場からは、1950年代に米ソの核戦争危機が切迫していると考えられた頃の時代遅れの考え方で、核軍縮努力の一環として廃止すべきと主張されている。安倍が晩年にこれを検討すべきだと言ったのに対し、防衛研究所の新垣拓主任研究官は「NATO の抑止・防衛政策に沿ってテイラーメイドされた制度で……地政学的な条件や歴史的文脈が異なる別の地域にそのままのかたちで援用することは難しい」と結論付けている(同研究所コメンタリー第211号)。いずれにせよこの部分は、石破の安倍追随でしかない。  アジア版NATO構想は、安倍の「QUAD(米日豪印4カ国)」軍事同盟論をさらに膨らませたもので、要するに主として中国の台湾侵攻を念頭に置いてQUADだけでなく東南アジア諸国も結集して「米英同盟並みに強化された日米同盟」を中核とした壮大な軍事同盟を築こうという考え方である。これは1950〜60年代前半頃に米国の軍幹部やシンクタンクの学者などから盛んに提唱された「PATO(太平洋アジア条約機構)」構想の焼き直しで、当時すでに米国自身の中から「多様な利害と発展段階の国々を1つにまとめて米国が率いるなど到底無理」という判断があり、「アジアは欧州とは違って、米韓、米日、米比、米豪NZなど個別条約の束で守るのが合理的」と結論が出た話で、なぜ石破がこんな古色蒼然たる冷戦時代の遺物を今頃弄ぼうとするのかはほとんど謎である。実際、この考え方が9月27日に米ハドソン研究所のサイトに発表されるとすぐにインドのジャインシャンカル外相が「インドは日本とは異なり、他国と条約による同盟関係を結んだことがなく、そのような戦略的な枠組みは考えていない」と明言した。あるいは、シンガポールのシンクタンクISEASが今年4月に発表したASEAN10ヵ国の識者を対象とした調査では、ASEANが中国か米国のどちらかと同盟を結ぶことを余儀なくされた場合、「中国を選ぶ」とした人が50・5%で、昨年の38・9%から大幅に増えて初めて5割を超えた。石破は軍事オタクかもしれないが外交オンチで、このようなアジアの国々の心情などさっぱり理解できていないことが分かる。こうして、この得意とされる分野でも、石破は安倍政治の弊害を乗り越えていくだけの知力・見識に欠けていることを早くも証明してしまった。  すでに気の早い週刊誌は、「石破では来夏参院選は戦えない」という声が党内に充満し年内か年明けにも政変が起きると予測するが、その時にも我々は「ならば誰が『脱安倍化』を完遂できるのか」という座標軸で事態を見ていく必要がある。

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2025.01.10

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