政治•経済
違法なオンラインカジノの経験者が国内で約337万人に上り、年間の賭け金は総額約1兆2400億円と推計されることが、警察庁の初の実態調査でわかった。経験者の大半が、安易に始めてしまったオンラインカジノをきっかけに借金に陥っており、深刻な依存症リスクも明らかになっている。 日本ではそもそも、金銭を賭ける行為は形式的には刑法の「賭博罪」にあたる。日本では、競輪や競馬など国が認めた公営ギャンブル以外での賭け事が禁じられているためだ。海外で合法的に運営されているカジノサイトでも、日本国内からアクセスして賭ければ罪に問われる可能性があり、「単純賭博罪」では50万円以下の罰金、賭け事を繰り返す「常習賭博罪」では3年以下の懲役が科される。 ただ、海外のサイトには、スマホやパソコンを通じて容易にアクセスできることもあり、違法と知らずに関わる人は後を絶たず、経験者の約4割は違法性を認識していなかったとされる。 ▼年間の賭け金は平均63万円 最近では、若者がオンラインカジノに手を染めて摘発されているほか、スポーツ選手やお笑い芸人ら有名人が活動自粛に追い込まれるケースも相次いで発覚した。オンラインカジノが国内で蔓延している深刻な事態を踏まえ、警察庁は昨年7月以降、全国の15~79歳を対象に初の実態調査に乗り出した。 調査の結果、回答した約2万7000人のうち、オンラインカジノの経験者は942人(約3・5%)で、現在の利用者は550人(約2%)に上った。人口比から推計した利用者数は約196万7000人で、経験者は約336万9000人とされた。 500人を抽出した調査では、年間の賭け金の平均額が約63万円で、賭け金総額は約1兆2423億円と推計された。 調査では、カジノが借金を招いている実態も浮き彫りになった。経験者のうち46%はカジノに絡む形で消費者金融や知人から借金をしたことがあったと回答。そのうち6割の人が「ギャンブル依存症」の自覚があったといい、特に10~30歳代で目立った。さらに、広告に登場する有名人らの影響でカジノを始めたという経験者は約2割に上ったため、警察当局は、海外の合法なサイトとはいえ、広告塔になっている著名人らを通じて注意を促したい考えだ。 ▼海外サイト遮断を オンラインカジノが国内で拡大している背景にあるのが、カジノ運営事業者と連携して賭け金の決裁を代行する国内業者が横行していることだ。警察当局は今後、代行業者の摘発も強化する方針だ。 ただ、いくら摘発を強化しても、安易にカジノサイトにアクセスできる現状を改善しないことには、根本的な解決にならないのは言うまでもない。日本国内から違法なサイトへのアクセスを遮断するため、政府には今後、海外当局にも働きかけて日本向けのサービスを停止させなど、厳格な対処が求められる。
唯一の核被爆国なのに無関心とは!いい加減に目を覚ませ!ポーランドの動きを見よ、ニッポン (写真 Wikipediaより) ポーランドがトランプ米大統領が、NATO(北大西洋条約機構)重視を引っ込めた途端、真っ先に反応した。3月7日、トゥスク首相が、「ロシアの脅威に対抗するため50万人規模の軍隊を編成し、核兵器の入手を検討する」と発言したのだ。同首相は、「ポーランドが通常兵器に限定することはできない」と明言し、フランスが主張する欧州の核の傘へ入れに懐疑的な姿勢であることも強調した。また「男性すべてが軍事訓練を受けるよう徹底する」と軍事国家化を宣言している。トゥスク首相は50万人規模の軍隊の編成については、「これは徴兵ではないが、年末までに、ポーランドの成人男性全員が戦争に備えた訓練を受け、この予備軍が軍事脅威に十分対応できる準備としたい」と続けた。 ポーランド軍は現在約20万人規模で、NATOでは米国とトルコに次いで3番目、EU加盟国の中では最大規模であり、防衛予算はGDPの4.7%。これを早急に5%に増やすべきとしている。トゥスク首相は、トランプ大統領が3月4日にウクライナへの軍需物資供与中断をいう電撃発言をしたことから対策を協議してきたが、ずいぶんと思い切った方向に足を踏み出したものだ。ポーランドはNATOの中核で、欧州の対ロシアのゼロライン(最前線)国家だ。同国南東部ジェシュフ空港はNATOからの武器や資材の輸送拠点となっている。米国や欧州が供与するウクライナへの武器のほとんどがこの空港を経由している。ポーランド軍の装備は、米国製エイブラムス戦車、パトリオットミサイル防衛システム、F-35戦闘機、韓国製K2ブラックパンサー戦車、同国K9・155ミリ自走榴弾砲、ホマーKロケットシステムなど最新兵器を保有している。特に韓国産兵器についてはお得意先だ。 とはいえトゥスク首相は、「いかなる和平協定の執行にもポーランド軍を派遣しない」とも発言している。つまり英仏主導の地上部隊派遣には協力しないということだ。この点でNATOの足並みは乱れている。3月6日、トランプ大統領は、NATO批判をしながら日米安保条約の片務性に触れた。その骨子はこうだ。≪日本とは非常に興味深いディール(取引)を結んでいる。私は日本が大好きだ。しかし、米国は日本を防衛しなければならないが、日本は米国を防衛する必要がない≫。これはほぼ事実だが、恐らくトランプは「日米地位協定」という日本を植民地にしている協定があることを知らないか知っているが無視している。植民地に甘んじている国家が、宗主国を守る必要はない。 それでもわが日本は、命(戦争)より、病気が優先と高額医療費削減問題にしか関心がない。
2025.03.16
刑事裁判をやり直す再審制度は改正されるのか――。再審制度の見直しに向け、鈴木馨祐法務大臣が、刑事訴訟法の改正について3月28日開催の法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する方針を決めた。14日の閣議後記者会見で表明した。法制審では、再審請求審における証拠開示のあり方や、再審開始決定に対する検察の不服申し立て制限、請求審での裁判官忌避申し立てが主な論点になる見通しだ。改正が実現すれば、1948年に制定された現行刑事訴訟法で、再審の関連規定が初めて見直されることになり、法曹関係者の関心は高まっている。 ▼審理長期化 再審制度では、審理の長期化がかねてから問題となっていた。 静岡県一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(88)を巡っては昨年10月、逮捕から58年と異例の長期間を経て再審無罪判決が確定している。重要な証拠の開示まで最初の再審請求から30年近くかかり、審理の長期化や規定の不備が顕在化し、証拠開示の義務化など法改正を求める意見が日本弁護士連合会から出ていた。 法務省は従来から、通常の裁判と異なる再審制度において、証拠開示の義務化を含めた改正に慎重な姿勢を貫いてきた。ある法務検察幹部は「1審地裁、2審高裁、最高裁と3段階の審査を踏んで有罪になったにも関わらず、再審でも証拠を全て開示せよというのは、実質的に3審制ではなく『4審制』にしろと言っているようなもので、非現実的だ」と拒否感をあらわにする。 だが、袴田さんのケースに加え、他の事件でも再審開始が決まり、見直しに慎重だった法務省も方針転換を余儀なくされ、法制審への諮問方針が決まった形だ。ただ、法務省は法改正ありきで議論するつもりではなく、改正の要否も含めた協議を想定しているとされる。 ▼超党派議連も議員立法で改正目指す 再審制度の見直し巡っては、超党派の国会議員連盟(会長=柴山昌彦衆院議員)も、議員立法による刑事訴訟法の改正案を検討中だ。議連は1月に刑事訴訟法改正案を公表後、2月には、冤罪被害者を法制審のメンバーに入れるよう鈴木法相に求めるなど活動を本格化。今国会に改正法の提出・成立を目指しているという。 議連が公表した改正案には、再審請求者側から開示請求が出た場合、裁判所が原則として検察に開示を命じるよう義務化。再審開始決定に対する検察側による不服申し立てを禁止する内容などが盛り込まれている。 法務省が所管法律の改正を検討する場合、まずは法制審に諮問した後の答申を踏まえて改正案を国会に提出し、国会議員が議論するのが通常の流れだ。今回は、議連も独自に刑訴法改正案を国会に出す方針という異例の展開をみせており、今後の行方が注目される。 再審を巡っては、100人以上いる確定死刑囚の大半が再審請求中だが、何度も同じ理由で再審請求を繰り返すなど死刑の執行逃れが目的とみられるケースも少なくない。法制審では、再審請求の現状についても検証し、本当に見直しが必要なのかも含めた丁寧な議論が求められる。
企業に従業員の安全確保を促すため、政府は今国会で複数の労働関連法の改正を目指している。3月11日には、顧客から理不尽な要求を突きつけられるカスタマーハラスメント(カスハラ)の防止策を企業に義務づけることなどを柱とした労働施策総合推進法の改正案が閣議決定。同14日には、働く人の心理的負担を調べる「ストレスチェック」の実施や高齢者の労災対策の実施を義務づける労働安全衛生法の改正案が閣議決定された。政府は今国会で速やかに改正法を成立させ、従業員らの保護強化につなげたい考えだ。 ■就活セクハラも対策 男女雇用機会均等法改正案 カスハラは近年、飲食店などを中心に問題になっており、東京都が条例を制定するなど注目を集めている。 政府は11日に閣議決定した労働施策総合推進法改正案で、カスハラについて、①行為者が顧客や取引先、施設利用者など②社会通念上、相当範囲を超えた言動③就業環境を侵害――の3要素を満たすものと定義。従業員向けの相談窓口の設置など具体策を講じるよう企業に求めた。 11日はこのほか、就職活動中の学生らへの性的嫌がらせ「就活セクハラ」についても対策を強化するため、企業に必要な措置を義務づける男女雇用機会均等法の改正案も閣議決定された。 14日に閣議決定された労働安全衛生法の改正案は、働き手を労災から守るのが最も大きな狙い。上司との関係性や仕事量、食欲や睡眠状況などについて尋ね、ストレスの度合いを数値化するストレスチェックについて、50人未満の小規模事業所も含めた全事業所に義務づける内容が盛り込まれた。 仕事上のストレスなどが原因で精神疾患を発症する労働者は増えており、精神疾患で労災認定された働き手は2023年度、過去最多の883人と高水準だった。 ■高齢者の労災もケア 労働安全衛生法の改正案は、増加しているシニアの働き手の労災を防ぐための措置も盛り込まれた。厚生労働省は現在、高齢者の労災防止に向けた指針を策定し、企業に働き手の健康状態の把握や職場の段差解消、スロープ設置などの対策を呼びかけている。法改正案では、指針で示す労災対策を法制化するとした。企業には、高齢の働き手の身体機能の低下などに配慮した職場環境の整備を努力義務として課す。
2025.03.15
中国産日本米が中国国内で広く普及している (前回よりつづく)とはいえ、中国以外の国への米の輸出は伸びている。香港、シンガポール、台湾、アメリカへの輸出が多く直近10年で10倍になっている。アメリカ国内ではカリフォルニア米と日本米がほぼ同じ価格で販売されていることから中国よりもビジネスチャンスは大きいのではないか。アメリカと対等にコメの販売競争をするには関税の撤廃が必要となるが、生産者支援や政策目的の誘導を行うために関係者へ直接的に補助金を支払う制度を導入すれば可能となる。EUは関税を撤廃後、直接支払いを利用して生産者を保護している。農家の生産性の向上、技術革新などを後押ししつつ、直接支払制度を活用すれば減反の必要はないし国際競争力は一気に増す。そして、国家の食糧安全保障にも貢献する。(おわり)
2025.03.14
中国産日本米が中国国内で広く普及している (写真 NECより引用) 二つの要因を検討した結果、中国への日本米の輸出が伸びないことと中国当局による精米や燻蒸の施設の認可は自由な貿易競争を阻害しているとは言えない。また、中国が中国産ブランド米のルーツが日本米であることを隠していることもない。むしろ、日本米の国際競争力を阻害しているのは価格である。農家の努力によって一定のところまで価格は下がったがその後が続かない。農業の大規模化、効率化を進められず、逆に兼業農家などの多様性を重んじたことによって低コスト化は進まなかった。政府は減反政策の一環としてコメ農家に飼料用米の栽培に変更した場合にはコシヒカリを生産したときと同様になる補助金を給付した。コメ農家は中国をはじめとした新しい市場で価格競争にさらされるよりも補助金で安定収入を確保する方を選んだ。政府の農政が農業の大規模化や生産効率の向上を阻害する結果となっている。コメの国際競争力を失ったのは政府による人災なのかもしれない。(つづく)
2025.03.13
米中ロ三つ巴の覇権争いのカギは、ベビーシッター!? 米トランプ大統領の娘イバンカが、子供と一緒に遊園地に来ていたのを「東欧史」が専門の歴史学者、独ルール大学のウルバンスキー教授が目撃した。イバンカの子供は3人いるが、つまりはトランプ大統領の孫だ。その子が、「若い中国人女性のベビーシッターと完全な中国語で話しているのを聞いた」と言う。その教授は驚いた。なぜならば、トランプ大統領といえば、中国共産党政権を最大の敵国、競争相手とみなし、大統領が行う外交も最終的には、中国の覇権主義にいかに鉄槌を下すかに腐心しているからだ。そのトランプ・ファミリーの娘イバンカの家庭に中国人のベビーシッターが入り込み、イバンカの子供は、その中国人女性から中国語を教えてもらっているということを大統領やFBI、CIAは知っているのだろうか。イバンカは第1期トランプ政権時代に大統領補佐官を務めた。現在2期目のトランプ政権には入っていないが、さまざまな国家的な情報が耳に入ってくるに違いない。イバンカからベビーシッター、そして中国側に国家機密が流れる懸念はないのかと心配になってくる。 中国とロシアは国連安全保障理事会の常任理事国として国際問題では連携を取りながら、その覇権を拡大強化し、中国は、ウクライナ戦争については“政略結婚”と擁護して緊密関係を深めているが、ロシアが経済的に中国依存を深めていく中で、中国が政治的にも影響力を行使しようとしているのはまちがいない。その一方で中国共産党幹部や政府高官、富豪たちはアメリカが大好きである。彼らはゴールデンパスポートを入手するために心を砕き、自分の子供たちを米国のエリート大学に留学させている。米国への罵詈雑言を言い放つ一方で、中国共産党幹部たちは秘かに自分の子供たちを米国に留学させるために自らの超特権を駆使しているのだ。 中国の要人や富豪たちは、アメリカに代わり世界の覇権を握るという大義を掲げながら、個人の実利を得るほうがより大切なのかもしれない。トランプも同様に、ある日突然中国側の主張を支持すると言い出すかもしれない。トランプ自身も孫が中国語をパーフェクトに話すことができるとすれば、将来の中国とのディールにプラスになり、米中露で覇権を分け合う可能性だってある。
2025.03.13
中国産日本米が中国国内で広く普及している (写真 農林水産省HPより) 二つ目の要因は中国国内での日本米の栽培の普及と増加である。オーストラリア産の和牛がアジア各国やヨーロッパで日本の和牛より格安で販売されているのと同じ仕組みである。中国国内では中国で生産されたコシヒカリやあきたこまちが日本産と比較して五分の一から十分の一の価格で流通しているという。いくら日本産コシヒカリの品質が良くても一部の高級レストランや富裕層にしか届かない。これだけの価格差があると中国で流通する日本米のほとんどが中国産の日本米となるのは当然ことと言える。中国国内ブランドとして高い評価を得ているブランド「五優稲4号」に関して中国政府の公表するデータを分析すると3代遡ったところで日本種との掛け合わせであることがわかる。中国米「遼粳5号」は日本種の「豊錦」との掛け合わせ、中国米「合江12号」は日本種の「石狩白毛」との掛け合わせ、中国米「合江16号」は日本種の「蝦夷」との掛け合わせ、中国米「合江20号」は日本種の「下北」との掛け合わせであることがわかる。1910年の日韓併合によって日本米は朝鮮半島で広く耕作されるようになった。その後、1931年の満州事変、1932年の満州国政権設立以降に日本人が満州開拓団として入植する。それから間もなく中国国内でも中国米と日本米との掛け合わせによって普及していく。多くの中国人が「五優稲4号」が日本米との掛け合わせであることは知らないようである。そもそもコメの栽培は中国から日本に伝わり、日本で品種改良が進められ、再び朝鮮、満州を経由して中国に戻ったことになる。所得の上昇にともなって中国で消費されるコメは急速に高品質化、高付加価値化が進んでいる。その中国米ブランドの多くが日本米にルーツを持つとは因果な巡りあわせである。品質は良いがそれ以上に価格が高すぎる日本のコメが飛躍的に需要を伸ばす余地は限られている。中国では既に中国産日本米が広く普及しており、日本から輸出するコメよりも安く手に入る状況にある。そのことが対中国への日本米の輸出が伸びない要因になっていることは否めない。(つづく)
2025.03.12
どうなる?国産量子コンピュータ、期待と不安渦巻く (写真 理化学研究所HPより) 2023年3月、新聞各紙は理化学研究所などの研究チームが、国産の量子コンピュータを稼働させたと大きく報道した。 量子コンは、スーパーコンピュータを上回る計算能力を秘めているだけでなく、スパコンに比べ省エネで計算処理ができることから、今日的な課題であるエネルギー不足問題に多大な貢献ができる点も開発が急がれる理由になっている。量子コンには量子力学の特徴である「重ね合わせ」の原理が応用されている。約100年前、量子力学が生まれた時は、その理論の突飛さにとても応用できるシロモノとは思われなかった。ただ量子コンが万能かというと現段階ではノーということになるらしい。 第一に量子コンは素晴らしい技術だが、「量子コンピュータの計算結果抽出」は極めて困難であり、現状は、限られた種類の問題のみを素早く解く「専用機」にすぎず「万能機」ではないという点だ。課題作成にも専門家が必要となるが、こちらの問題はまだ手付かずで残されている。理化学研究所による量子コンのお披露目は、今後共に知恵やカネを出し合い、研究開発を続けていくパートナー探しの意味合いが強い。ただ、アインシュタインの重力理論も量子力学同様、突拍子もないものだった。だが今や生活に欠かせないGPS発信機には、重力理論が大きく関係している。量子コンも同様の道をたどることが期待される。
2025.03.12
金融機関の職員による貸金庫からの窃盗事件が、相次いで明らかになっている。銀行や信用金庫の行員らが、貸金庫に預けられていた顧客の現金を盗む手口で、今年1月に三菱UFJ銀行の支店で貸金庫業務を統括していた女が窃盗容疑で逮捕された事件以降、みずほ銀行などで同様事件が芋づる式に発覚しており、被害は枚挙にいとまがないようだ。 一方、顧客のプライバシーが重視される貸金庫には、不透明な資金が預けられるケースもあり、金融犯罪に詳しい検事出身のある弁護士は「脱税など犯罪で得た資金を貸金庫に預けるケースの場合、貸金庫から盗まれた『被害者』も事を大きくしたくないので、被害は明るみになりにくい。発覚したケースは氷山の一角ではないか」と指摘している。 ◆億単位の巨額窃盗 貸金庫での窃盗被害の特徴としてあるのは、その金額の大きさだ。3月4日に窃盗容疑で逮捕されたハナ信用組合横浜支店次長の男は、令和3年から令和5年3月頃、100回以上にわたり、支店貸金庫から現金計約6億1900万円を盗んだ疑いが持たれている。窃取したとされる現金は、競馬や競輪などギャンブルに費やしたといい、今回の逮捕容疑以外の被害も含めると、被害総額は10億円超も上るとみられている。 貸金庫窃盗事件の「第1弾」として、世間の注目を集めた三菱UFJ銀行の事件も、支店行員の女がスペアキーなどを使い、十数億円相当の金品を盗んだとされ、被害額は巨額に及ぶ。 ◆情報開示に後ろ向きだったみずほ 三菱UFJの事件を受けてか、みずほ銀行は今年に入り、顧客2人の現金を貸金庫から盗んだ行員を2019年に懲戒解雇処分にしていたことを公表した。行員による貸金庫からの窃盗という「大不祥事」が起きたこと自体も重大な問題だが、その事実を5年以上も公にしなかったみずほ銀行の「隠蔽体質」には呆れるばかりだ。みずほのコンプライアンスは一体どうなっているのか、疑問を抱かざるをえない。 貸金庫はプライバシーを売りにしていることもあり、銀行側は顧客が預ける巨額現金の原資などを入念に確認することはない。このため、脱税やマネーロンダリングなど犯罪で得た不正な資金が隠されているケースは少なくないとされる。貸金庫で多少の現金が盗まれても、「被害者」となった顧客は目をつぶらざるをえず、金融機関もそうした顧客の意向に乗っかり、窃盗事案を伏せてきた実態もあるようだ。 三菱UFJとみずほというメガバンク2行で発覚後、地方の信用組合でも逮捕者が出た貸金庫を巡る窃盗事件。貸金庫を利用する顧客のプライバシーはもちろん守られるべきとはいえ、職員による顧客資産の窃盗という大不祥事を公表しない理由が正当化されるはずはない。各金融機関のモラルが問われている。 今後、同種事案について自主的に名乗りを上げて公表する金融機関がどの程度出てくるのかが注目される。












