政治•経済
子どもへの虐待が後を絶たない。全国の児童相談所が2023年度に対応した18歳未満の子どもへの虐待は22万5509件に上り、過去最多だったことが子ども家庭庁のまとめでわかった。過去最多の更新は33年連続で、23年度は前年度比で1万件以上の増加となった。困難な子育て事情が虐待を引き起こさないよう、国や自治体による親らを支える施策の拡充が不可欠となっている。 子ども家庭庁のまとめによると、虐待された子どもの年齢別では、「3歳」が最も多く、主な虐待者は実の母親が約5割、実の父親が約4割だった。本来は子どもが頼りにできるはずの実の親が加害者になるケースが多く、深刻な事態になっている。核家族化の進展により、周囲に頼れる人がおらず、子育てに悩む親が増えていることが背景にあるようだ。 ▼子ども死亡で事件化も 事件に発展するケースも各地で起きている。香川県では今年に入り、母親(21)に放置された生後半年の長女が死亡する痛ましい事件が起きた。逮捕された母親は長女の衰弱に気づきながらも、「虐待が疑われると思い、病院には行かないようにしていた」などと供述しているとされ、悲惨な現実が浮かんでいる。 この母親の犯した罪は重大だが、行政による支援の手がもっと早くこうした家庭に届いていれば、幼い命は救えたのかもしれない。 若い親の場合は、そもそも暮らしている自治体で子育て支援を受けられることすらも認識できていない可能性もある。国や自治体が、SNSも活用し、しっかりと相談窓口の存在を周知すべきだ。 行政側も、若い一人親世帯などを中心に、子育てに苦労している恐れのある家庭をしっかり見守り、職員が定期的に訪問するなどして支える仕組みを整備すべきだろう。問題のある家庭には積極的に関与し、改善を図らなければならない。 ▼おせっかいでも、近隣住民関与が大事 行政だけでは頼りにならず、やはり近隣住民の関わりも大事だ。 赤の他人であっても、子どもの激しい泣き声や子どもの怪我などから虐待の疑いのある家庭について察知した場合、積極的に児童相談所や警察に通報すべきだ。おせっかいでもいい。それで救われる幼い命があるのだから、子どもたちの悲痛な叫びに気付いたら、是非行動を起こしてほしい。 官民をあげた意識改革と具体的な対策の拡充が必須だ。
トランプと正恩にしてやられるかもしれんぞ!危機感なき石破政権、世も末か(涙) (写真 核保有国一覧 Wikipediaより) トランプ米大統領が、北朝鮮への外交的働きかけを再開し、核保有国と認めた場合、日韓はいくつかの重大な戦略的選択に直面する。トランプ氏は米大統領として2018年6月にシンガポールで史上初の米朝首脳会談を実現させ、≪北朝鮮は、朝鮮半島における完全非核化に向けて努力すると約束する≫との文言を盛り込んだ共同声明に署名した。しかし、翌19年2月にベトナムのハノイで開かれた第2回会談は物別れで終了。核協議はその後進展のないまま今日に至っている。 正恩氏は、核兵器を放棄しないと主張し続けてきた。この立場は正恩氏によって何度も強化され、国家憲法にも記されている。加えて北朝鮮の核・ミサイル技術は、ロシアによるウクライナ侵攻を支援するために軍隊と武器を送る引き換えに飛躍的に向上している。したがってトランプ氏が正恩氏を新たな会談に誘い出すためには、もっと大きなニンジンをぶら下げなければならない。そのニンジンとは、北朝鮮を核保有国として認め、核クラブ入りをさせることだ。 トランプ氏は、大統領時代から国際的な組織や多国間の協定への嫌悪感を明らかにしている。したがって嫌悪する国連主導の核拡散防止条約(NPT)を尊重するとは思えない。仮に北朝鮮を核保有国と認めて軍備管理交渉に進むことになれば、ハシゴを外されるのは日本と韓国だ。韓国は、最近の世論調査で国民の間で核兵器保持への支持が根強いことが判明している。ただ中国が北朝鮮を核保有国として認めるかどうかは疑わしい。トランプ氏の再登場でどう転ぶか視界不良に陥った東アジア情勢だが、石破政権にその危機感はない。
2025.04.13
際限のない兵器開発、先端防空システムは日米共同で次から次に開発されているというこの現実 (写真 終末高高度地域防衛ミサイル(THAAD) Wikipediaより) 日本の周辺では軍事的脅威が高まっている。核開発を行う北朝鮮は頻繁に弾道ミサイルを日本海に向けて発射しているし、沖縄県・尖閣諸島の周辺海域では、中国海警局の公船が威圧的に常駐し、空では中露の軍用機が領空侵犯を続けている。さらに台湾の統一をもくろむ中国は台湾海峡での軍事演習、軍用機による威嚇を強めており、数年のうちに軍事侵攻に踏み切る可能性が指摘されている。こうしたなか、ロシアと中国、そして北朝鮮までもが迎撃が不可能といわれる極超音速滑空弾(HGV)の開発・導入を推進している。 HGVは、弾道ミサイルなどで大気圏外に打ち上げられ、切り離された後、高度30~80㌔大気圏内をマッハ5〜20の極超音速でスキップや滑空しながら軌道変更しつつ標的に接近、最後はダイブして標的を破壊する。 こうしたミサイル攻撃への対応策として、海上自衛隊のイージス艦、航空自衛隊の警戒管制レーダー、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)などを組み合わせた統合防空ミサイル防衛を定めている。現在運用されているミサイル防衛システムの迎撃兵器には、それぞれ対応可能高度がある。大気圏内用の「PAC3」の最大迎撃高度は15㌔、大気圏外用のイージス弾道ミサイル(SM-3)と地上配備迎撃ミサイル(GBI)の最低迎撃高度は70㌔、同じ大気圏外用の終末高高度地域防衛ミサイル(THAAD)の最低可能高度は40㌔といわれている。HGVは、大気圏外の宇宙空間に飛び出すことなく、希薄な大気が残る高高度を飛ぶことにより、弾道ミサイル防衛用の大気圏外迎撃ミサイルであるSM-3とGBIを無力化する。THAADで、HGV襲撃への対応は可能とされているが、THAADの迎撃弾頭はサイドスラスターのみで機動するので、細かい機動はできても大きく軌道変更することはできない。このため跳躍しながら軌道変更して飛んでくるHGVへの対応は困難だ。唯一、PAC-3がHGVに有効だが、最大迎撃高度は15㌔と防護範囲が小さい。そこで、米国は、高度30~80㌔でHGVを迎撃可能な新型迎撃兵器の開発を目指した。それが、滑空段階迎撃ミサイル(GPI)だ。 日本政府は、2023年8月にGPIを日米で共同開発することを決定した。またHGVを探知・追尾する手段として、多数の小型衛星を一体的に運用して情報収集する「衛星コンステレーション」の整備費用として2025年予算案に2832億円を計上している。加えて、新たに発足した「統合作戦司令部」は、敵基地攻撃能力を持つ長射程ミサイルを運用する。米国製巡航ミサイル「トマホーク」が来年度末に配備されるが、米軍の力を借りながら統合作戦司令部の下で十分に機能させることが可能であることを中露朝に示す時が来ている。GPIの日米共同開発の一般的な技術的利点は次の2点だ。 ①、誘導弾としてSM-3ブロックⅡA以来の日米共同開発であり、日米同盟のさらなる進化が期待できる。 ②、既存のイージスシステムを含む弾道ミサイル防衛体制(BMD)を最大限活用する形で、HGV対処能力を早期に構築できる。 3月6日、トランプ米大統領は「日本は米国を守らない」と日米安全保障条約の片務性に不満を述べたが、その裏で先端防空システムの日米共同開発は着々と進んでいる。
2025.04.12
やったもん勝ち、いつもの手を使うあの国のあきれた横暴 (写真 中国軍艦 新浪写事より) 「人の物は俺の物。俺の物は俺の物」。強欲中国は2013年から南シナ海にある南沙諸島の7つの島に砂を注いで人工島を建設後、これを軍事施設化しながら中国の領海だと主張している。7島のうち3カ所に滑走路やミサイル発射台にレーダーまで設置し駐在兵士の宿舎も建てた。フィリピンやベトナム、マレーシア、親中派のブルネイまでもが抗議したが、「ここは昔から中国の領海だ。文句あっか」と開き直った。オランダ・ハーグの国際裁判所は「中国が領有する法的根拠はない」と明快な判決を出したが、「そんなものは紙クズ」と言い放った。それから10年が過ぎ、人工島は水没の危機に直面している。関西国際空港でも毎年数センチ沈下しているが、南シナ海では毎年30センチも沈降する場所がある。海に鉄筋をおっ立てたが、塩害と海流で鉄が腐食を始めた。セメントに海水を混ぜたらしく、そのうえ土沙密圧があって液状化現象がおこり、建造物は傾き、滑走路は凹凸がひどくて飛行機の離着陸ができなくなった。そのうえ当該海域は台風の通り道だから170兆円を投じた7つの人工島の造成は完成したものの修繕やメインテナンスなどで毎年3兆円の維持費がかかる。軍事基地としての活用に支障が目立つようになり、加えてレーダーも塩害で機能不全に陥った。総計200兆円を投じた世紀のプロジェクトは、7つの幽霊島(人の住めない島)を南シナ海に造成したことになる。 南シナ海で起きたことが、中国と韓国との間に位置する黄海(韓国名:西海)の「中韓暫定措置水域(PMZ)」でも起きている。中国が無断で大型鉄骨構造物を設置している事実が判明したのである。もともとこの海域では、中国艦船による排他的経済水域(EEZ)への侵犯が頻発していた。韓国国防部の2000年の資料によると16年から20年まで中国軍艦が韓国の管轄水域に進入した回数はなんと900回を超える。黄海を挟んで向かい合う韓国と中国のEEZでの両国は、01年6月に締結された中韓漁業協定で、EEZが重なる部分を「PMZ」に設定した。この海域では漁業以外のすべての施設設置および海底資源開発を禁止することで合意するという内容だ。ところが中国は、韓国大統領の逮捕など社会的混乱に乗じて中韓漁業協定をいとも簡単に破った。朝鮮日報は今年1月≪中国は、構造物を「漁業補助施設」だとし、大きな問題はないとする立場だ。この一帯に計12基の構造物を設置する計画だ≫と報じた。韓国の情報当局は偵察衛星を通じて、中国がこの水域に直径50メートル、高さ50メートル以上の大規模な鉄骨構造物(移動式)を1基設置したことを把握している。韓国の外交や軍事専門家らは「中国の施設物が韓国政府の制止なく増え続けた場合、今後中国がこれらの施設物を根拠に『この一帯はわれわれの水域』」と主張する可能性が高い」と警告した。ところが、韓国社会の反応は意外と静かだという。目下盛んに非難の声を浴びせている対象は、日本の春の進学、進級シーズンになると恒例となる「日本の教科書の独島領有権主張」問題だ。 日本に対して独島(日本名:竹島)問題や強制徴用問題、福島原発汚染処理水放出問題などには威圧的、声高に騒ぐが、中国のすることにはだんまりを決め込む。「どうせ中国製の鉄骨構造物など腐食して崩れ去るさ」と高をくくっているのか。
2025.04.10
トランプ関税なんのその、長期の先行きを通ししていたトヨタの深謀遠慮、洞察力 (写真 世界最初の量産型ハイブリッド車であるトヨタ・プリウス Wikipediaより) トヨタが2月の世界の販売・生産実績を発表した。トヨタ単体の世界販売は、前年同月比5.8%増。世界生産も同5.8%増で、いずれも2カ月連続で前年を上回った。新車を投入した効果で、国内販売が引き続き好調。海外は生産・販売とも2月としては過去最高を記録した。そんななか、トランプ米大統領の就任以来、日本を含む世界の自動車メーカーが恐れていた「ワーストシナリオ」がついに具現化してしまった。トランプ氏は3月26日、アメリカに輸入される全ての自動車に25%の追加関税をかけることを表明していたが、それを4月3日発動したのだ。当然アメリカに多くの車や部品を輸出する日本の自動車産業への打撃となるだけでなく、世界経済への大きな影響が懸念されている。 今回の追加関税のポイントは大きく2つある。第一に自動車の主要部品にも25%の関税をかけると表明したことから、部品をアメリカに持ち込んで組み立てだけ行うといった抜け道も塞がれたことだ。2つ目は、関税の軽減措置を設けた点だ。アメリカは現在、メキシコとカナダで製造される車に関して無税での輸入を行っており、今回のトランプ関税では、無税対象分について、アメリカ産の部品が使われている割合に応じて減税するとしている。 そこでトヨタの現状はどうかである。同社は「25%関税」に動じず、駆け込み輸出もしていない。それは過剰在庫を抱えない経営方針に基づき、一時的な混乱に左右されない姿勢を貫こうとしているからだと専門家は指摘する。その背景には強固な財務基盤と戦略的な事業展開がある。さらに電気自動車(EV)市場の変化を見極めながら、自動運転技術の開発にも着実に取り組んでいる。注目された日本から米国への輸出は、前年同期比1.7%減と駆け込みがなかった。関税発動前に米国輸出を増やして、在庫手当を厚くする対策をまったく講じなかったのだ。3月に入っても変わっていないスタンスである。 トヨタが、ここまで「冷静」な理由は何か。米国でのハイブリッド車(HV=2つ以上の動力源を持つ自動車)人気の高さと、関税分の値上がりがあっても他社との競争で勝ち抜けるという見通しを持っているからだろう。トヨタが目の前にある危機に動ぜず、悠然と自社の経営ポリシーに従っているのは、あらゆる状況変化に立ち向かえる財務体質の強靱さが裏付けとなっている。これが、トヨタの長期的安定戦略の基盤を構築している。トヨタは、EV自動車も電池が勝負であることを早くから見抜いて、世界で最も早く全固体電池開発に着手していた。現在のリチウム電池が持つ固有の欠陥によってEVブームが頓挫することを見抜いていた。現実は、その通りになって欧米の自動車企業を苦しめている。 トヨタはEVに代わってHV人気が到来すると読んでいたが、ズバリこの戦略が当ったわけだ。トヨタの未来戦略は、世界の自動車業界にどのような影響を与えるのか。
2025.04.09
フルタイムで働く労働者の2024年の平均月給(残業代等を除く)が33万円(前年比3・8%増)で、過去最高だったことが厚生労働省の調査でわかった。人手不足や物価高を踏まえて企業の賃上げ機運が高まっている影響とされるが、正社員ら「正規」とパートや契約社員ら「非正規」の間の賃金格差は広がっており、中小企業を中心に政府による支援策の強化は不可欠となっている。 今回の調査結果は、毎年行われている「賃金構造基本統計」で、約5万1000事業所からの回答内容がまとめられた。平均月給の前年からの上昇率が3%を超えたのは1992年以来、32年ぶりとなる高い水準だった。 平均月給を年代別でみると、19歳以下が19万9000円(前年比4・9%増)で最も上昇。45~49歳が37万2000円(前年比4・8%増)、30~34歳が29万9000円(前年比4・7%増)、35~39歳(前年比4・4%増)と続き、全ての年齢層で上昇が確認された。 一方で、調査結果からは、正規と非正規間についての賃金格差も示された。 雇用形態別では、正社員・正職員といった正規の賃金を100とした場合、それ以外の賃金は66・9で、前年と比べて0・5ポイント低くなり、正規と非正規間の賃金格差が拡大した。 正社員・正職員の平均月給が34万8000円(前年比3・7%増)なのに対し、それ以外の平均月給は23万3000円(前年比2・9%増)で、伸び率でも正規の方が非正規を上回った。賃金格差は企業規模が大きいほど、格差も大きくなる傾向にあり、従業員1000人以上の大企業では61・2(前年比0・4ポイント増)だった。 1991年のバブル崩壊後、国内の企業では人件費削減のため、正社員よりも給与が安く、雇用契約も解除しやすい非正規労働者を増やす傾向が上昇。非正規労働者は毎年増えており、全体の働き手に占める割合は約4割に上るとされる。 政府は、非正規労働者の賃金アップに向け、非正規を正社員化するなどした企業に「キャリアアップ助成金」を支給するなど支援策を講じているが、今後はさらなる拡充が求められる。
敬虔なるロシア正教会徒プーチン大統領、イースターでヒール返上か?まさかね (写真 プーチン大統領 Wikipediaより) 4月20日は復活祭(イースター)だ。今年はローマ・カトリック教会と正教会が同じ日に1年で最大の祝日である復活祭を祝う。 ローマ・カトリック教会(およびプロテスタント教会)は通常、グレゴリオ暦を使用して復活祭の日付を決定する。一方、正教会の多くはユリウス暦に基づいて復活祭の日付を計算する。そのため、正教会の復活祭はカトリック教会よりも1週間から5週間遅れることが一般的だった。が、2025年は両暦で計算した日付が一致するため、同じ日に祝うことになったのだ。ところで、ロシアのロシア正教会も今年は欧米諸国のクリスチャンと同じ日にイースターを迎えることになるから、敬虔なロシア正教徒を自負するロシアのプーチン大統領も正教会でイースターを祝うはずだ。ひょっとするとプーチン大統領は、東西両キリスト教会が同じ日に復活祭を祝う今年、ウクライナ戦争で「イースター停戦」を言い出し、平和お願う指導者として世界にアピールするかもしれない。 ソ連国家保安委員会(KGB)出身のプーチン氏はかってロシア正教会の洗礼を受けた経緯を語ったことがある。曰く「父親の意思に反し、母親は自分が1カ月半の赤ん坊の時、正教会で洗礼を受けさせた。父親は共産党員で宗教を嫌っていた。正教会の聖職者は、プーチン氏の母親に『子にミハイルという名前を付ければいい』と助言した。なぜなら洗礼の日は、大天使ミハイルの日だったからだ。しかし、母親は『父親がすでに自分の名前と同じウラジーミルという名前を付けた』と説明し、その申し出を断わった」という。 小学生だったプーチン氏にドイツ語を教えていた教師によると、プーチン氏は母親似であるが、頑固で勤勉な性格は父親から受け継いでいたという。心はミハエルのプーチン氏が、ウクライナ侵略戦争のイースター停戦を発動することを願ってやまない。
2025.04.08
今はやりのアクティビストから目を付けられないように、戦々恐々の上場企業 日本は、米国に比べて大量保有ルールの運用が緩いと内外から指摘されている。それは金融当局によるエンフォースメント(法執行)が弱いためで、数多くのアクティビストファンド(物言う株主)が日本市場に進出する要因になっている。これまでの投資ファンドは、企業の成長を期待して株式を保有し、その価値の増減を見守る投資スタイルが一般的だったが、アクティビストファンド(以下:アクティビスト)は株式を保有するだけでなく、経営陣と対話(エンゲージメント)を行い、経営改善案や戦略的提案を行うのが一般的だ。日本は今、第3次アクティビストブームに沸いている。あるコンサルティング会社によると、日本企業を対象に株式を取得して株主提案をするアクティビスト活動をしている国内外のファンド数は2024年に73社と、ここ5年間で8割増えた。日本株への投資額は9兆7000億円に達し5年間で2倍になっている。アクティビストへの資金の出し手は、欧米の年金・大学基金など様々で、リターンの高さから運用資産額が急拡大している。最近の例で言えば、元タレントの中居正広氏のトラブル案件では、米ダルトン・インベストメンツが、フジテレビジョンの親会社であるフジ・メディア・ホールディングスに事実関係を解明する第三者委員会の設置を求めた。その結果、先頃詳細かつエゲツナイ内容の報告書が提出され、世間を驚かせている。 まあこうした動きは歓迎される部類だが、逆に企業を震え上がらせるのが「ウルフパック(オオカミの群れ)戦術」の横行だ。複数の投資家がひそかに協調して株式を買い集め、株主還元などの要求を企業に飲ませる手法として知られる。企業側がウルフパックの察知に遅れると経営権を奪取される恐れすらある。5%ルールの緩い運用を背景に、違反もいとわずに協調して株式を取得する反市場的な行為だ。アクティビストによる株主提案の議案数は24年に202件あり、その内訳は資本効率の改善などバランスシート関連が4割、持ち合い株の解消などガバナンス関連が3割を占めた。 さて日本をアクティビスト天国にした元凶である緩い「5%ルール」とは何か。金融商品取引法は、市場の公平性や透明性を高めるため上場企業株式の5%以上を取得した投資家に対し、5営業日以内に大量保有報告書を届け出ることを義務付けている。しかし実際には当局の取り締まりは緩く、大量保有報告書の提出をわざと遅らせたり、企業に重要提案行為をする目的を純投資と偽って提出したりする動きが顕著だ。投資家間の協調関係が分かりづらくなるほか、株式を安値で買い集めることも可能となる。米国では報告書の提出が数日遅れただけでも制裁や提訴されるが、日本は年単位で遅れてもほとんど摘発されない。では、どのような企業がアクティビストに狙われるのか。標的になる企業には次のような傾向がある。 ①キャッシュリッチ度(総資産に占める現預金・短期投資の比率)、②資産効率(総資産利益率=RОA)、③機関投資家の株式保有比率、④株価の割安感(株価純資産倍率=PBR)、⑤株価変動の傾向(相場全体の動向に株価が連動する度合いを示すベータ値)だ。このうち①と③は数値が高いほど、②④⑤は数値が低いほど狙われやすくなる。 以上の5項目に思い当たるフシのある企業は、いつアクティビストがドアを叩いてもおかしくない。
2025.04.07
平和ボケが長すぎた?統合司令本部の実力や如何に? (写真 北朝鮮・労働新聞より「新型極超音速中長距離弾道ミサイル」) 3月24日、陸海空の各自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」が発足し、司令部トップの南雲憲一郎統合作戦司令官が「国民の命と平和な暮らしを守るため、平素から有事に至るまで的確に対応する」との決意を述べた。ちなみに南雲司令官の祖父南雲親一郎陸軍少将は、真珠湾攻撃などを指揮した旧海軍の南雲忠一大将とは従兄弟と軍関係資料に記載されている。司令部は240人体制で臨むが、制服組トップの統合幕僚長は平時から首相や防衛相の補佐を行い、統合作戦司令官は、現場の統合作戦指揮に当たるという具合に、それぞれ専念するようになり、役割分担が明確になった。 統合作戦司令部は、サイバー攻撃や領空・領海周辺の侵犯行動の抑止に加え、武力攻撃に至らないグレーゾーンの事態が多様化したことへの対処も行う。さらに大規模災害等での対応も行う。ロイド・オースティン米国防長官(当時)も24年6月3日、シンガポールで記者団に対し、日本が自衛隊を一元的に管理する「統合作戦司令部」を設置するのに合わせて、在日米軍トップの司令官の階級を大将に格上げする案について検討していることを明らかにした。在日米空軍司令官は、第5空軍司令官とともに在日米軍全体の司令官をも兼務しているが、在日米空軍司令官には戦時の作戦指揮権はなく、在日米軍は、インド太平洋軍司令官(ハワイ在)から直接作戦指揮を受けることとなっている。従って、自衛隊の統合作戦司令部のカウンターパートはインド太平洋軍司令部だ。ただ日本とハワイでは時差や距離があり、円滑な意思決定が難しいことが指摘されている。そのため、米国は、在日米軍の機能強化で自衛隊との連携を高め、有事の際の対処力や抑止力を強化する方針だとされる。その1つが航空総隊司令部を横田に移転させ、米第5空軍司令部と併置されることにしたことだ。航空総隊司令部が米第5空軍司令部に併置されたことにより、対処可能時間が短い防空作戦及び弾道ミサイル防衛に関し、必要な情報を日米間においてより迅速に共有することが可能になる。 ところでここ数年、ロシアと中国、そして北朝鮮までもが迎撃が不可能といわれる極超音速滑空弾(HGV)の開発・導入を急いでいる。ロシアは、極超音速滑空弾「アバンガルド」を2019年12月に実戦配備し、中国は同年、極超音速滑空弾「DF-ZF」を搭載した「DF-17」(中距離弾道ミサイル)を実戦配備した。北朝鮮は24年4月2日、 極超音速滑空弾を搭載した「火星16型」中距離弾道ミサイルの初めての発射実験に成功したと発表した。この実験では、分離された弾頭が予定通りの変則軌道で飛行し、1000㌔先の日本海に正確に着弾したとしている。翌25年1月6日には、新型の極超音速弾道ミサイル発射実験を行い、成功したと発表。この発射実験では、弾頭が音速の12倍に達する速度で、予定された軌道に沿って1500㌔飛行し、公海上の目標水域に着弾したとしている。このように我が国に友好的でない近隣の国々が、現有のミサイル防衛システムを突破できるとされるHGVの開発・導入を進めており、安全保障上大きな脅威となっている。「統合作戦司令部」の発足により、自衛隊も軍としての「器」は整えた。戦争論の大家クラウゼヴィッツはその著『戦争論』でこう述べている。「戦争は政治の一部である。戦闘に負けるのは指揮官の問題だが、戦争に負けるのは政治の問題となる」と。 平和ボケ、カネぼけの日本の政治が、大局的な判断ができるかどうかがいま問われている。
2025.04.06
アメリカのトランプ政権が打ち出した「相互関税」で世界は大混乱、日本でも日経平均が3万4000円を割るなどしているが、こちらも今後、日本の株式市場になかなかの激震が走りそうな報道だ。同じ4月2日に、東京証券取引所が「新興企業向けのグロース市場での上場基準の厳格化を検討」しており、上場から5年を経過した企業は、時価総額100億円以上を求める可能性があるというのだ。翌日の日経新聞では「新基準に7割未達」とし、単純化すれば、現在615社あるグロース上場企業の400社以上が上場廃止となるからだ。 時価総額毎の上場維持基準では、プライムが100億円以上、スタンダードが10億円以上、グロースは5億円以上となっている。だから100億円以上と言い出すのは、プライム相当企業になれということ。「検討」の中身として、こう語られている。 「未来の日本経済の成長を牽引するスタートアップが1社でも多く生まれるためには、グロース市場上場企業が、機関投資家の投資対象となり得る規模(100億円以上)へと早く成長する必要」 事実このように検討会で語られてはいるのだが、東証は「厳格化」の報道を受け、あくまで検討しているところで、まだ決定をしたわけではないと、火消しのロ¥リリースを行ったが、風が立ったらそうは収まらない。 「実際、以前の新興市場で上場基準が5億円以上だったジャスダック時代を含め、IPO(新規株式公開)を果たした途端に創業者が大量に持ち株を処分する、いわゆる『上場ゴール』は後を絶ちませんでした。またアイデア1つで上場したは良いものの、その後に成長を果たせず、会社のピークがIPOとその前後までという新興企業は多い。東証としては、そういった企業は追い出して、再度、市場環境を改めたいということなのでしょうが」(経済誌記者) 抜け穴探しか、自然退場か だが兜町スズメの受け止め方は、「スタンダードに行けという事」といった声があれば、グロースの企業をスタンダードに移しても成長性に乏しい企業は残ることから、「上場維持基準を語る前に、上場基準を厳格化しろ」といった声なども。 また東証では、市場改革で上場維持基準を厳格化した際、時価総額のほか株式の流動化や株主数の増加で、未達には経過措置を適用していたが、それが年度末で終了した。そのため昨今は、一時は下火となっていた株主優待が復活。あのトヨタまでが優待を導入したのだが、そのため「QUOカード」や、流行に乗ったビットコインの優待導入など、極めて安易な資本政策も目立った。だがさすがに100億円となれば、付け焼刃は通用しなくなる。 となるとやはりスタンダードへの鞍替えか、銀行から大金を借りてのMBO(自社株買いによる非上場化)の道を選ばざるを得ないが、それでも上場ゴールで資産を築いたら「はい、それまでよ」と、とりわけて策を講じることなく自然退場を選択する企業が大量に生まれるのかもしれない。












