政治•経済
熱烈中華食堂・日高屋を運営するハイデイ日高は、2025年2月期決算で、売上高556億円、純利益41億円と、共に過去最高を記録した。 同社の青野敬成社長は、メディア向け発表会の席上、好調な業績の理由に、コロナ禍が明けて客が戻ってきたことを挙げた。 また「女性同士が飲み会に利用したり、子供連れの家族が食事に訪れたり、客層が変わってきている」とコメントした。これは、かつての男性中心の顧客層から年齢、性別関係なく、より多様な層へと広がりを見せていることを示している。 いまや客全体の35%が女性だという。BS-TBSの人気番組「町中華で飲(や)ろうぜ」に登場する女性タレントが、真昼間からビールなどなんでもござれで、ガンガン飲ることへの影響が大なのだろう。 「女性客増の背景には、2020年のオリンピックを機に東京都内の喫煙ルールが変わり、店舗が完全禁煙化(一部喫煙ルーム設置)されたことが挙げられます。たばこの煙を気にして来店を控えていた女性客や家族層が新しく入ってくるようになったのです」(飲食業界ライター) 鉄板支持層の男性客のつなぎ止め策も実施する。7月4日から8月下旬にかけて「日高屋」全店で「生ビールvsハイボール祭」として両ドリンクを通常価格から20円値下げするキャンペーンや砂肝を使った期間限定メニュー「コリ旨!砂肝」を210円で販売するなどの「ちょい飲み」層へのサービスを打ち出したのだ。 関東に422店を展開する日高屋が、この夏のキャンペーンを通じて、どのような賑わいを見せるのか、今後の動向に要注目だ。
2020年6月30日、中国政府は香港国家安全維持法(国安法)を施行した。この法律は、国家分 裂、政権転覆、テロ活動、外国勢力との結託を禁じる内容で、香港の政治・社会状況を一変させ た。2019年から2020年にかけての激しい抗議デモや治安当局との衝突は記憶に新しいが、5年後 の2025年、香港は大きく変貌している。 抗議デモの終息と「中国化」の進行 2019年、逃亡犯条例改正案に端を発した大規模な抗議デモは、香港の若者や民主派を中心に自 由と自治を求める運動として世界の注目を集めた。しかし、国安法の施行により、これらの運動 は急速に沈静化した。国安法は曖昧な条文で広範な行為を規制対象とし、最高で終身刑を科す可 能性があるため、市民の言論や集会の自由は大きく制限された。デモ参加者や民主派の活動家は 逮捕され、著名な活動家やメディア関係者の多くが投獄または国外へ逃亡した。 現在、香港の街頭では反中国的なスローガンや抗議活動はほぼ見られなくなった。かつての「 光復香港、時代革命」の叫び声は過去のものとなり、公共の場での政治的発言は自己検閲される ようになった。香港政府は国安法を活用し、民主派の政治団体やメディアを解散させ、独立系の 新聞社「蘋果日報(Apple Daily)」も2021年に閉鎖に追い込まれた。これにより、香港の報道の 自由度は急落し、国際的な報道自由度ランキングでも大幅な後退が見られる。 さらに、教育現場でも「中国化」が進んでいる。学校のカリキュラムは中国の歴史や価値観を 強調する内容に改編され、愛国教育が強化されている。若者たちがかつて掲げた民主主義や自由 の理念は、公式な場ではタブー視されるようになり、香港のアイデンティティは中国本土のそれ に近づいている。 市民の海外移住と人口の変化 国安法の施行後、香港市民の海外移住が急増した。特に若者や高学歴層、専門職の人々が英国 、カナダ、オーストラリアなどへ移住するケースが目立つ。英国は2021年にBNO(英国国民海外 パスポート)保有者向けの特別ビザ制度を導入し、数十万人の香港市民がこれを利用して移住し た。 一方、香港への中国本土からの移住が増加している。中国政府は香港への経済的統合を進める ため、本土からの投資や人材流入を奨励している。香港の住宅市場やビジネス環境は本土出身者 にとって魅力的であり、新たな移民が香港社会に新たな影響を与えている。しかし、これにより 香港独自の文化や広東語の使用が希薄化し、市民の間でアイデンティティの喪失感が広がってい る。 経済と国際的地位の変容 香港はかつてアジアの金融ハブとして繁栄したが、国安法施行後の政治的抑圧は国際的な信頼 を揺らがせた。多くの外資系企業は香港での事業継続に慎重になり、一部はシンガポールや東京 へ拠点を移した。香港証券取引所は依然として重要な市場だが、投資家の間では地政学的リスク への懸念が高まっている。 それでも、中国政府は香港を「一帯一路」構想や大湾区計画の要として位置づけ、経済的な中 国化を推進している。本土企業による投資やインフラ開発が進む一方で、香港の経済構造はます ます中国依存を強めている。この結果、香港は国際的な金融都市としての独自性を一部失いつつ あるが、中国経済圏内での役割は強化されている。 社会の分断と沈黙の文化 香港社会は現在、深い分断を抱えている。国安法に反対する市民は声を上げることが難しくな り、沈黙を強いられている。一方で、中国政府を支持する層や現状を受け入れる市民も存在し、 意見の対立は家庭や職場での摩擦を生んでいる。ソーシャルメディア上でも、国安法違反を恐れ て政治的発言を控える傾向が強く、かつての活発な議論は影を潜めた。 若者たちの間では、将来への不安が広がっている。自由を求めて海外移住を考える者もいれば 、香港に残り現状に適応しようとする者もいる。しかし、共通するのは「香港らしさ」が失われ つつあるという感覚だ。広東語の使用が減り、中国本土の文化や価値観が浸透する中で、香港の 独自性が薄れていくことに、多くの市民が複雑な思いを抱いている。 香港の未来 国安法施行から5年、香港は中国化の道を突き進んでいる。かつての自由で多様な都市は、政治 的抑圧と人口流出により大きく変貌した。国際社会は香港の状況を注視し続けているが、中国政 府の影響力は揺るぎない。香港市民の多くは、新たな現実の中で生きる道を模索しているが、そ の過程で失われた自由とアイデンティティを取り戻すのは容易ではない。香港の未来は、中国と の関係性や国際社会の動向に大きく左右されるだろう。金融ハブとしての地位を維持しつつ、独 自の文化と自由をどの程度守れるのか。2025年の香港は、その岐路に立っている。
2025.07.12
2025.07.11
男女共同参画社会基本法の施行から25年が経過した今でも女性の社会参画や経済的自立 等で行政の努力が足りないという。何を根拠に足りないというのか不明であるが一度握っ た権益は絶対に手放さないのが世の常。女性の社会参画が足りないと訴える活動家達が今 回新たに欲しがっているのが男女共同参画の「ナショナルセンター」である。独立行政法 人男女共同参画機構を創設し総合的に施策を行うナショナルセンターを構築するとしてい る。ナショナルセンターの作ることが国の実施体制を強化になると主張する。同機構に「 センターオブセンターズ」としての機能を付与し、地域における諸課題への取り組みを強 力に支援することで女性に選ばれる地方づくりを後押しする。女性に選ばれる地方づくり とは何を意味するのか。それこそが性差ではないのか。日本の主要公共団体が既に男女共 同参画センターを設置済みである。国からの予算目当てであろうか、多くの自治体がたけ のこの如く開設した。地方自治体にとっては男女共同参画計画を策定し専門部署をつくる だけで国からの多額の予算が下りてくる有難い制度である。多くの男女共同参画センター では絵やポスターの展示や掲示、男性のためのお料理教室、思想的活動家のセミナー、外 国宗教の普及活動などが覆面を被った状態で実施されているような印象が強い。全国的に 展開済みの男女共同参画センターのボス的な存在を後付けで作ろうというのが今回の法案 。しかも、独立行政法人を設置する法律である。政府から独立して運営される法人である ことから「金を出しても口は出すな」的な発想だ。新たに設置される独立行政法人だけで なく各地の男女共同参画センターもそれに紐づいて法的に位置づけられることになる。行 政から独立して運営することで民間企業などの経済活動団体とも縛りなくかかわりを持つ ことができる。利権構造を強化するだけの法案になりはしないか。 独立行政法人男女共同参画機構は女性の中央官僚の天下りポスト、男女共同参画センタ ーは地方自治体の天下りポスト。例えば元横浜市経済局長の星崎雅代は横浜市男女共同参 画推進協会理事長になっている。国立女性教育会館、働く女性の家、女性相談センター、 日本女性財団、婦人相談所、女性SOS総合センター、女性まちなか保健室、女性活躍支援 センター、働く女性スクエアなど天下りではないが男子禁制のような施設や部署が際限な くでき続けている。本当にこれらは必要なのか。女性差別や不利益を強いられることはそ んなに多いのか。俄かに信じがたい。(参議院議員政策担当秘書 紅 良作)
金融庁に出向中の裁判官や東京証券取引所の職員らによる信じられないインサイダー事件が相次ぐ中、顧客情報を悪用した大手金融機関の元部長(54)にも有罪判決が下された。東京地方裁判所は7月4日、業務で知った顧客情報を基にインサイダー取引を行ったとして、三井住友信託銀行元部長の片山肇被告に対し、懲役2年、執行猶予4年、罰金200万円、追徴金約6140万円の有罪判決を言い渡した。 判決などによると、片山被告は2022年12月~2024年8月、顧客企業のTOB(株式公開買い付け)情報の管理などを担当する部署で次長や部長に就いていたが、業務で把握した3件のTOB情報について、公表前に計2万5900株(約3210万円)を買い付けた。不正に買い付けた株を公表後に売り抜け、約2930万円の利益を得たとされる。 片山被告は裁判を通じ、「老後資金を貯蓄したかった」などと不正の動機を述べたが、東京地裁は「銀行幹部の立場を悪用して自らの利益を追求し、史上の公正性や健全性を損なった」と糾弾した。 ■金融機関が失う大きな社会的信頼 金融機関は顧客の財産を管理・運用するため、高いコンプライアンス意識が求められるが、顧客の資金を着服するといった業務上横領事件は後を絶たない。もちろん、業務上横領も重大な罪であり、金融機関が行員らの犯罪によって失う社会的信頼は小さくないだろう。 ただ、今回のように金融機関の幹部によるインサイダー事件は異例で、事件を通じて三井住友グループが失った社会的信頼、受けたダメージは相当でかいはずだ。 単なるイチ若手行員による「魔が差した」といった犯罪ではなく、幹部職員による用意周到な計画犯罪で、長期間にわたり見逃してきた銀行側の責任も重いといえる。 三井住友グループは、再発防止策はもちろん、顧客や社会の信頼回復に向け、抜本的な組織改革が必要になるだろう。
男女共同参画事業にはおざなりにできない重要な事業も含まれている。ひとつは介護給付費国庫負担金であり、約2兆9千億円に上る。介護給費の国の負担は25%となっている。 これを無くすと介護保険料は高騰し自治体と国民の負担は跳ね上がってしまう。もうひとつは児童手当であり、約1兆3千5百億円となっている。また、教育保育給付金として約1兆1千8百億円が計上されている。こども関係で総額は約2兆4千3百億円となる。所得制限付きではあるが中学校卒業まで児童ひとりにつき1万円が支給される。教育保育給付金は教育保育給付認定を受けた保育所、地域型保育事業、認定こども園、新制度幼稚園が幼児教育や保育の無償化に伴う認定こども園等の預かり保育事業や認可外保育施設等の利用において利用料の支給を受けることができる給付金である。子供手当と保育給付金は日本の未来と国民生活に大きな影響を及ぼすことから維持継続が必要なのではないか。よって、男女共同参画事業の予算には2つの大きな重要事業の予算が含まれている。介護関係と子供関係を足すと約5兆3千3百億円となる。予算総額の9兆円からこれらを引くと残りは約3兆7千億円になる。この約3兆7千億円の予算措置の内容を再検討することが妥当ではないか。男女共同参画事業の膨張した予算の中から1.5兆円の削減を達成することが出来れば増税を封印できるであろう。もしくは外為特会の差益や税収の上振れ分で補うことも十分に可能な額だ。予算の再構築よりも増税を決めた与党税調は無能である。 男女共同参画法を廃止もしくは改正し、「男女がお互いを尊重し合い、職場、学校、家庭、地域などの社会のあらゆる分野で、性別にかかわらず個性と能力を十分に発揮し、喜びや責任を分かち合うことができる社会」を実現するための啓蒙活動のみに絞るとする。 そうするとこれまでの努力が水泡と帰すのか。そうではない。 2016年に成立した女性活躍推進法が女性の社会参加を後押しするべく役割の一部を引き継げば良い。女性活躍推進法は10年の時限立法ではあるが必要とあれば3年か5年程度の延長を行えば良い。女性活躍推進法の理念は「自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性の個性と能力が十分に発揮されることが一層重要。このため、以下を基本原則として、女性の職業生活における活躍を推進し、豊かで活力ある社会の実現を図る」というもの。国や公共団体、民間事業者(300人以上)に女性採用比率 、勤続年数男女差、労働時間の状況 、女性管理職比率等を把握し、女性の活躍に関する情報の公表することを義務付けた。女性の躍進は未だ物足りないという声も多くあるが一定の効果を上げているのも事実。男女の雇用機会や賃金格差の溝は徐々にではあるが埋まりつつある。一方で、雇用や昇進や出産を望まない女性もいることも念頭に置かなければならない。 男女共同参画事業には女性活躍推進法では拾えない活動も多い。それらは各省庁の帰属に戻せばよい。DVやストーカーの問題は警察に、パワハラに関しては裁判所に、雇用に関しては労働基準監督署に、求人に関してはハローワークに戻せば良い。警視庁も法務省も厚労省も男女共同参画の傘を取り払いより強い当事者意識を取り戻すことで補えるものだと確信する。 (国会議員政策担当秘書 紅 良作)
梅雨を置き去りにして連日の猛暑が続いている。コンクリートジャングルの東京では地 面からの照り返しもあり体感温度は40℃近くに及ぶこともある。そんな猛暑の真只中、参 議院選挙の東京選挙区でも熾烈な選挙戦が繰り広げられている。7議席をめぐり32人が立 候補しているが、主要候補と言えるのは、自民党の鈴木大地氏と武見敬三氏、立憲民主党 の塩村文夏氏と奥村政佳氏、国民民主党の牛田茉友氏と奥村祥大氏、公明党の川村雄大氏 、共産党の吉良佳子氏、日本維新の会の音喜多駿氏、参政党のさや氏の10人と言って良い だろう。 さて、候補者をよくよく見てみると奥村氏が二人いる。「奥村」という姓は決して珍し くはないことから偶然だと考えるのが妥当だろう。しかし、二人の奥村氏が同一選挙区で 立候補しているのには隠された理由があった。奥村政佳氏は立憲民主党の公認、奥村祥大 氏は国民民主党の公認、この二人の奥村氏を繋ぐ共通項は日本最大の労働組合組織の連合 の推薦を受けているということである。 連合はかねてより民主党を支持してきたが、民主党が解党し、立憲民主党と国民民主党 に分かれて以降も両党の支持を続けてきた。2019年の参院選は野党が各選挙区で候補者調 整を行い統一候補として共闘した。よって、立憲民主党と国民民主党の候補者同士が同一 選挙区で立候補することは無かった。ところが今回の参院選では野党共闘の為の統一候補 の公認の調整は行われていない。そこで両党間で悩ましい問題となっているのが連合の推 薦である。連合は立憲民主党の候補も国民民主党の候補も推薦はするものの連合の組合員 それぞれが持つ票は一人一票。二人の候補に対して上手に半分づつの組合員の投票を誘導 することは至難である。 連合幹部と政党幹部が協議して思いついたのが票の按分作戦である。連合組合員に選挙 区の投票時は「奥村」とだけ書くように要請する。比例代表には「民主党」とだけ書くよ うに伝える。そうすることによって「奥村」として投じられた票は立憲民主党の奥村政佳 氏と国民民主党の奥村祥大氏とそれぞれ按分されることになる。比例代表でも「民主党」 と書かれた票は立憲民主党と国民民主党で按分される。どちらとも判別のつかない「奥村 」票と「民主党」票とすることで連合は立憲民主党にも国民民主党にも引き続き強い影響 力を保持できる。このような稚拙な理由で擁立された二人の奥村氏の政治家としてのモチ ベーションや素養は大丈夫なのだろうか。特に国民民主党の奥村祥大氏は立憲民主党より も後から公認が決定されたという。要するに姓が「奥村」だからという理由で候補者とな ったのは国民民主党の奥村祥大氏である。国民民主党の奥村祥大氏は昨年の衆院選におい ても公認されて立候補した経験がある。とはいえ今回の擁立の理由が「奥村姓であること 」だったとすればその心境や如何に。連合と立憲民主党と国民民主党のふざけた選挙対策 を鑑みると未だ民主党の悪夢は拭いされない。 (※画像は奥村両氏のHPより)
2025.07.09
2025.07.08
近年、国際情勢の緊迫化に伴い、日本国内で核武装を主張する声が一部で高まっている。中国 やロシアの軍事力増強、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展を背景に、「日本も核武装して自国の 安全を確保すべきだ」との意見が散見される。しかし、安全保障研究の科学的知見に基づいて冷 静に分析すると、核武装は日本にとって逆効果となり得る。鍵となる概念は「安全保障のジレン マ」だ。この現象を踏まえ、日本が核武装を選択すべきでない理由を説明する。 安全保障のジレンマとは何か 安全保障のジレンマとは、国際関係論における基本概念の一つである。ある国が自国の安全を 高めるために軍事力を強化すると、周辺国がその行動を脅威と受け止め、対抗して自国の軍事力 を増強する。この結果、双方の軍事力がエスカレートし、かえって地域全体の緊張が高まり、誰 もが安全でなくなるというパラドックスだ。冷戦時代の米ソ間の軍拡競争は、その典型例と言え る。 日本の文脈で考えると、もし日本が核武装に踏み切れば、周辺国、特に中国や北朝鮮、さらに は韓国やロシアがこれを重大な脅威と認識する可能性が高い。これらの国々が対抗措置として軍 事力を増強したり、新たな同盟を模索したりすれば、東アジアの安全保障環境は一層不安定にな る。日本の核武装が、かえって自国の安全を損なう結果を招くのだ。 日本の核武装がもたらすリスク 第一に、中国や北朝鮮の軍事的反発が予想される。中国は既に核保有国であり、日本の核武装 は中国の軍事ドクトリンや予算配分に影響を与えるだろう。たとえば、核戦力の増強や新たなミ サイル配備、さらにはサイバー戦能力の強化など、対抗措置を講じる可能性が高い。北朝鮮も同 様に、核・ミサイル開発を加速させ、日本を標的とした挑発行動を増やすかもしれない。これに より、日本はより直接的な脅威に晒されることになる。 第二に、地域の同盟関係に亀裂が生じる危険がある。日本は現在、米国との安全保障条約を基 盤に防衛力を構築している。米国は日本に対し「核の傘」を提供しており、これが日本の安全保 障の柱となっている。しかし、日本が独自の核武装を進めれば、米国との信頼関係が揺らぎ、同 盟の結束力が弱まる可能性がある。また、韓国との関係も複雑化する恐れも排除できない。韓国 は日本の核武装を自国への潜在的脅威とみなす可能性があり、独自の核開発や中国との接近を模 索するかもしれない。これにより、日米韓の協力体制が崩れ、東アジアの安全保障環境はさらに 不安定化する。 第三に、国際的な孤立を招くリスクがある。日本は核不拡散条約(NPT)に加盟しており、核 兵器の保有を禁じられている。核武装はNPTからの脱退を意味し、国際社会からの強い反発を招 く。経済制裁や外交的孤立は、日本の経済や国際的地位に深刻な打撃を与えるだろう。特に、資 源に乏しく貿易に依存する日本にとって、国際的孤立は致命的な影響を及ぼす。 代替案 日米同盟と多国間外交の強化 核武装に頼らずとも、日本には安全保障を強化する道がある。まず、米国との同盟関係をさら に深化させることだ。日米安保条約に基づく米国の「核の傘」は、日本の防衛において依然とし て有効な抑止力である。また、ミサイル防衛システムの強化やサイバー防衛能力の向上など、非 核の防衛力強化も重要だ。これにより、周辺国に対する抑止力を維持しつつ、安全保障のジレン マを最小限に抑えることができる。 さらに、日本は21世紀に入って以降、オーストラリアやインド、英国やフランス、フィリピン やベトナムなど価値観や戦略を共有する国々との防衛協力を強化しているが、こういった多国間 協力は今後よりいっそう重要になる。日本としては安全保障協力の多角化を進めることで、核保 有に頼らない政策を強化するべきだろう。
2025.07.08
国が2013~15年に生活保護費を大幅に引き下げたのは違法だと認め、減額処分を取り 消した先月27日の最高裁判決を巡り、原告側と国側のせめぎ合いが続いている。最高裁は「 引き下げの判断の過程や手続きに過誤、欠落があった」として、減額処分を決める「過程」に瑕疵があったと判断したにすぎず、適正な基準額や3年間で減額された約670億円を遡って支給すべきといった点については言及していない。一方、受給者ら原告や弁護団は「遡って全額を支給すべき」などと主張しているが、現時点では最高裁判決の趣旨を「拡大解釈」する形で訴えているようにうつる。迅速な議論と根本的な解決に向け、弁護団の冷静な対応が求められそうだ。 ■厚労省が専門家の会議体設置へ 一連の生活保護訴訟を巡り、最高裁が初めて「違法」との統一判断を示したことを受け、生活保 護を所管する厚生労働省の福岡大臣は7月1日、今後の対応のあり方を検討するため、専門家で 審議する会議体を設置する意向を示した。 国が原告を含む全ての生活保護受給者に減額分を支払うかや、そもそも適正といえる基準額が どの程度になるかなどを見極めるため、まずは専門家で議論してもらおうという狙いだ。 最高裁判決は、違法とした減額処分について、専門家らによる適正な審議が尽くされていない 点などを重視。減額処分を決める過程や手続きに問題があったと結論付けているため、「専門家で会議」という厚労省の意図は合理的であり、原告側にも一定程度は配慮した対応ともいえるだろう。 ■原告弁護団は役所批判に注力 だが、原告弁護団らは最高裁判決が出て以降、ひたすら国の批判に注力している。「石破首相 や厚労大臣が謝罪もしていないのに、いきなり原告にも伝えずに専門家で会議を開いて検討するというのはあまりに酷い」などと国の動向に憤りを隠さず、各地で会見を開くなどし、ひたすらに「役所批判」に励んでいるのだ。 大事なのは、専門家で審議する会議体が早期に設置され、速やかに当時の基準についての議 論が進み、適正な基準額が決まることなのは言うまでもない。 弁護団が厚労省を批判すればするほど、担当幹部らはその対応に追われ、専門家の会議体の 運営にも支障が出かねない。迅速な見直しにつながれば、生活保護受給者にとってもメリットは大きいはずだ。原告弁護団は、最高裁判断を法律家として正確に受け止め、冷静な対応を取ることが必要だろう。










