2025/01/15
「過労死等防止対策推進法」の施行から10年が過ぎた。防止策を国の責務と定め、法律で「過労死」という単語を初めて使った同法。2014年11月に施行されて以降、長時間労働の規制など労働環境の改善化は進みつつあるが、激務による悲劇は後を絶たない。実効性のある対策強化が必至で、遺族も過労死の撲滅を訴えている。
■過労での精神疾患が増加
「今年は過労死防止法が施行されて10年になりました。娘が亡くなる前年の2014年11月1日、大切な家族を過労で失くした遺族の方々のたゆまぬ努力によって過労死防止法が施行されました。その後、働き方改革が叫ばれる中、残業時間の上限が定められ、労働環境の改善が進んだかのように言われますが、今でも仕事が原因で病気になる人や、過労死する人がいます」
昨年12月25日、大手広告会社・電通の新入社員だった高橋まつりさんが24歳で過労自殺してから9年となったことを受け、母親の幸美さん(61)は公表した手記でこう思いをつづった。幸美さんは最愛の娘を亡くしながら、過労死の撲滅を願い、対策を議論する国の協議会委員も務め、各地で啓発に向けた講演会も開いている。
国の対策は進むものの、過労によるストレスなどで精神疾患を発症する人は後を絶たず、2023年度は過去最多の883人(うち自殺・自殺未遂が79人)が労災認定を受けているという。
幸美さんは手記でこうした実態にも触れ、「特に精神疾患の労災請求は毎年増えて、娘が亡くなった年の2倍以上になっています。国は過労死対策に何がたりないのか。どうしたら過労死がなくせるのか。私たち遺族の意見を本気で聞いて、対策を見直してほしいです」と強調した。
■生きていれば「入社10年目」の高橋まつりさん
24歳という若さでこの世を去ったまつりさん。生きていれば、今年度は「入社10年目」だったという。幸美さんは手記で愛娘への思いを巡らせ、こう述べた。
「同期入社のみんなは『入社10周年同期会』をしたそうです。在職中の人も退職した人も一緒でした。 もしまつりが生きていたら、参加していたかもしれません。10年目の社員として、後輩社員のロールモデルになれるように頑張っていたかもしれません。やりがいをもって生き生きと働いて、休日には大好きな人たちと過ごして、充実した人生を生き、将来に夢を描いていたかもしれません。『あんなに頑張って生きていたんだから、絶対に幸せになってほしかった』そう思うと悔しくてたまりません」
何年経過しようが、遺族の悲しみや悔しさは晴れることがない。企業や国、自治体は、効果的な対策を推進していき、国民の意識改革も図っていく必要がある。
「まつりと同じように苦しんで亡くなる若者がいなくなるように。働く人のいのち。若者のいのち。未来の子どもたちを守りたい。それが今の私の願いです。まつりのいない9年もまつりと共に歩んだ9年でした。誰もが安心して働き、誰もが希望を持って人生をおくれる国になるように願い、まつりと共に力を尽くして参りたいと思います」
幸美さんの切実な思いだ。悲劇を繰り返してはならない。
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