2025/01/14
2025年元旦早々、日本が世界的に高い実績を誇る政府開発援助(ODA)事業での大不祥事が発覚した。昨年にODAの実施機関である独立行政法人「国際協力機構(JICA)」の職員が、フィリピンでの改修事業を巡る入札で業務の見積額など秘密情報を漏えいしたとして停職1か月の懲戒処分を受けていたことが読売新聞のスクープで発覚したが、実はJICAがこの処分を1年2か月にわたり公表していなかったというのだ。秘密情報の漏えいに続き、処分の長期間にわたる「隠蔽」が、再び読売新聞の元旦スクープで明らかになったが、JICAに反省の姿勢はみられない。
▼行政省庁は処分をその都度公表
読売の報道や外務省関係者によると、日本の円借款で実施されたマニラ首都圏内の都市鉄道「MRT3号線」の改修工事事業を巡り、JICAの男性職員が2018年、業務の見積額などの秘密情報を東京都内の建設コンサルティング会社の社員に漏らした。漏えいの疑いについて調査を進めていたJICAは、職員による情報漏えい行為が、JICAの就業規則違反にあたると認定。2023年5月には、この職員を
停職1か月の懲戒処分とした。
だが、JICAがこの処分を公表したのは、それから1年2か月近く経過した2024年7月8日。一般的に行政省庁は停職以上の懲戒処分があれば、処分日に随時公表しており、JICAもJICAはみなし公務員である職員の懲戒処分について、就業規則で「原則として、処分の都度、公表する」と規定している。
JICAは①処分時は漏えい先企業への照会が完了していなかった②調査内容の取りまとめや外務省への報告などに時間を要した――と釈明しているようだが、そもそも民間企業への照会や、調査内容の取りまとめなどに「1年2か月」もの期間を要するのには大きな疑問で、一体どんな調査をしていたのかも不透明なままだ。
ODA事業に参入しているある都内のコンサルタント会社幹部は「ODAで秘密情報の漏えいは前代未聞。日本で言えば官製談合のようなものであり、JICAとしては、処分を公にしたくなかっただけではないか」と指摘する。
さらに、「漏えい先企業への照会が完了していない」ということは、まだ漏えい問題に関する調査が継続中であり、その時点で処分したJICAの対応も不可解だ。
▼説明責任果たせ
そもそも、JICAは昨年7月8日に処分を公表はしたものの、職員の所属部署や年齢、性別すらも明かさず、ホームページ上で短く「調達手続きに関する秘密情報を漏えいした」と説明するのみにとどまり、情報公開に後ろ向きな姿勢が顕著だ。
JICAのホームページをまめにチェックしているメディアもないのか、この処分は報じられないまま、昨年10月に読売の報道でフィリピンのODA事業を巡る漏えいだったことなど詳細が明らかとなり、政府は釈明会見に追われた。
JICAはこれだけお粗末な対応を続きながら、1年2か月にもわたる処分の「隠蔽」疑惑についても一切詳細な説明をせず、苦しい言い訳に終始している。発展途上国の支援が目的で、日本が参入してから昨年で70年の節目を迎えたODA。実施機関であるJICAは、改めてその責務を自覚し、理事長自ら表に出て謝罪会見を開くなど説明責任を果たすべきだ。
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