連載•小説 “江戸のメディア王”蔦屋重三郎の原点は大遊郭・吉原
“江戸のメディア王”蔦屋重三郎の原点は大遊郭・吉原
連載•小説

2025/01/06

 2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺』の初回が1月5日㈰に総合テレビ地上波でオンエアされた。平安時代中期の貴族を扱った2024年『光る君へ』に続き、歴史上の大きな戦とは無縁の江戸中期から後期治世者が老中・田沼意次から老中筆頭・松平定信へと入れ替わる前後の時代を扱ってい

主人公は戯作・狂歌・浮世絵など様々なヒット作のプロデュースで名を成した‶江戸の出版蔦屋重三郎(以下、蔦重)過去の大河ドラマの主役級のような誰もが知る英雄・武将ではないが、その墓碑銘に「士気英邁にして、細節を修めず、人と接するに信を以てす」とある細部にこだわらぬの大きな人物だったことが推察できる

このドラマの主要な舞台の一つが江戸の大遊郭・吉原1750(寛延3)年に吉原で生まれた蔦重(本名柯理(からまる)くして両親が離婚、7歳のとき吉原の商家・喜多川氏に養子入りする(の屋号が「蔦屋」。現在、蔦屋書店を経営するCCC=カルチャーコンビニエンスクラブ創業者との血縁関係はない)

この特殊な環境下育った蔦重20歳を過ぎた頃に吉原大門の入り口付近に耕書堂という書店を出店する。そこで販売したのが『吉原細見』。妓楼や揚屋(ともに置屋に属する遊女たちを呼んで遊ぶ場所)、引手茶屋(遊女を呼ぶ客が待機する場)、遊女の名を詳しく記した小冊子。要はガイドブックだった。これが出版ビジネスにおける蔦重のスタートラインである

『細見』の版元は、江戸ナンバーワンの地本問屋・鱗形屋孫兵衛。蔦重はやがて孫兵衛の下で『細見』の編集にも携わるようになり、出版ビジネスを学んでゆく。(つづく)

✴︎主な参考文献:

松木寛著『蔦屋重三郎 江戸芸術の演出者』日本経済新聞社

安藤優一郎監修『江戸の色町 遊女と吉原の歴史』カンゼン

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