社会•事件 核抑止力の願いは絶たれたか
核抑止力の願いは絶たれたか
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2024/12/17

ノーベル平和賞受賞で「核の傘」は封印?

 被団協(日本原水爆被害者団体協議会)がノーベル平和賞を受賞した。平和賞を決めるのはノルウエーで、同国は「第2次大戦の連合国共同宣言に署名した国」だ。
 共同宣言は、第2次大戦の連合国を正式に結成する主要な条約だが、ノルウエーは、アメリカの広島・長崎への原爆投下に対し、否定のコメントを何らしていない。平和賞の政治性の強さは衆知の事実で、2009年には米国の現職大統領だったオバマが、単に「核なき世界」という演説をしただけで、それ以外何の平和実績もないのに平和賞を受賞したことでも明らかだ。

「それから半世紀前の1974年には、日本の佐藤栄作元首相が受賞しています。授賞理由は、元首相が首相在任中の1967年に『核兵器を持たず、作らず、持ち込ませない』という非核3原則を提唱したことでした。1960年代というのは、中国が核武装を本格化した時期で、日本もそれに対応して核武装をすべきとの議論が内外に沸き起こっていました。佐藤元首相は中国の核武装を否定したかったのですが、当時、米国の核兵器が日本に持ち込まれていたのは衆知だったのです。が、米ソ冷戦が終了で、米軍は日本に核を持ち込む必要はなくなり、非核3原則は文字通り忠実に守られるようになったのです。以後中国は核大国化し、東アジアに深刻な脅威をもたらしています」(外交関係者)
 現在日本に米国の核兵器を配備すべきという核共有の議論が起きている。その最中に被団協が受賞したのは、国際政治上の巨大なグローバル勢力が影響しているとみて間違いない。
 「石破新首相は総理就任直前に米国のハドソン研究所に論文を寄稿して、核共有を検討すべしとの考えを明らかにしていたのですが、総理就任が決まってからはトーンダウンし、今回の受賞で事実上、封印せざるを得なくなったでしょう」(同)

 中国、ロシア、北朝鮮が核軍拡を進める中で、東アジアの核抑止力を維持する唯一の方策が封印されたわけで、石破政権が仮に短命に終わったとしても、次の政権がノーベル平和賞の威光を無視して核共有の議論を進めることは困難になった。

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