政治•経済 社会•事件 「自爆営業」防げ 厚労省がパワハラ指針を改正し、規制強化
「自爆営業」防げ 厚労省がパワハラ指針を改正し、規制強化
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2024/11/27

「自爆営業」という単語をご存知だろうか。ノルマ達成のために会社員が自社製品を無理やり買わされたり、農協職員が自腹で共済掛け金を支払ったりして「自腹を切る」ことを指し、郵便局員が年賀状の大量購入を強いられるケースが有名だ。昔から問題視されながらも、企業発展につながる「必要悪」として放置されてきたが、ようやく国が規制強化に乗り出したのだ。

厚生労働省は11月26日、厚労相の諮問機関・労働政策審議会に対し、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)に基づく指針を改正して自爆営業について明記する方針を示し、了承を得た。厚労省関係者は「自爆営業がパワハラに該当しうる悪質な行為だということを明確に示すことで、根絶につなげる狙いがある」と強調する。

パワハラは一般的に、「優越的な関係を背景とした言動」「業務上必要かつ相当な範囲を超える」「労働者の就業環境を害している」――の3要素を満たせば認定される。自爆営業は、ノルマ達成のために自主的に行う場合もあるものの、上司や会社からの指示でノルマ未達成分の購入などを余儀なくされるケースが多いため、パワハラに該当するのは明白だ。そもそも、不要な商品の購入を強いるなどしていることから、「強要罪」にあたる可能性もある。また、バイク会社がディーラーに販売ノルマ未達分を自腹購入させたケースについては、公正取引委員会が独占禁止法違反(優越的地位の乱用)にあたるとして今夏から調査に乗り出すなど、自爆営業は法令違反にあたる悪質な行為で、許されないのは言うまでもないだろう。

 

◆多分野で問題に

政府の規制改革推進会議で示された資料などによると、近年だけでも被害が発覚している自爆営業のジャンルは相当幅広い。

▽大手コンビニで外国人労働者や社員らが恵方巻きやクリスマスケーキなどの季節商品を買わされる▽大手ファミレスの店長らが、アルバイトの注文ミスや作り間違えのあった料理の代金を食べたことにして負担させられる▽アパレル会社の社員が高級な制服の購入を強いられる▽回転寿司チェーンで食品破棄を減らすため余った料理を買わされる――など後を絶たない。コンビニの季節商品の購入強要については、問題を指摘したアルバイト店員がシフトを減らされたケースもあるというからたちが悪い。ネット上ではノルマをもじり、「ノルハラ」という単語が使われているくらいだ。

 

◆自殺者も

自爆営業が原因とされる自殺者も出ており、事態は深刻だ。さいたま市の郵便局に勤めていた男性が自殺したケースについては、年賀はがき7000~8000枚の販売ノルマを達成するために自腹営業をしたことなどでうつ病を発症したなどとされ、2020年に労災が認定された。

 近年はパワハラやセクハラに加えて、就職活動中の学生らが社員からセクハラを受ける「就活セクハラ」や、従業員らが顧客から過度の要求を受けるなどの「カスハラ(カスタマーハラスメント)」の対策強化が図られるなど、ハラスメントに対する社会の目は厳しくなっている。自爆営業について国が対策強化に乗り出すのは必然の流れだが、企業側の自主的な改善措置が求められる。必要悪で許されるはずがない。

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