政治•経済 マレーシアのアンワル首相
マレーシアのアンワル首相
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2025/10/27

高市早苗首相が10月25日、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議に出席するためマレーシアに向けて出発した。総理就任後初となる外国訪問だ。

マレーシアはASEANの議長国。我が国はこれまでマレーシアに対して、政府安全保障能力強化支援(OSA)の枠組みを通じて、警戒監視活動用機材として救難艇(レスキューボートJE-470)7隻や無人航空機(UAV:ドローン)14機を提供している。マレーシアは中国との間で領有権問題を抱えている。マラッカ海峡という地政学上のチョークポイント(要衝)を抱えるマレーシアとの関係深化は、日本にとって重要な課題だ。

そのマレーシアで高市首相と会談を持つのがアンワル・イブラヒム首相。生き馬の目を抜く過酷さで知られるマレーシア政界にあって人一倍辛酸を舐め、権力闘争の過程でソドミー(同性愛)行為嫌疑で逮捕・収監されるも、復権を果たし、2022年11月に遂に首相の座をつかんだ。

マレーシアのアンワル・イブラヒム首相

出典:マレーシア首相府公式サイト

穏健なイスラム中道保守として、多様な市民を包摂する社会「シビル・マレーシア」構築を標榜するが、マレーシア社会の統合に苦労している。2023年8月にはスウォッチ販売店がいきなり家宅捜査を受け、「LGBTQを暗示しており有害だ」としてレインボーカラーの時計が押収された。

スウォッチのレインボカラー時計コレクション

出典:swatch公式サイト

スウォッチ側の異議申し立てで、押収を無効とする司法判断が下りたが、マレーシア政府はその後、スウォッチ製レインボカラー時計は、印刷機・出版物法(PPPA:Printing Presses and Publications Act)違反として、販売・所持が禁止される見解を公表した。マレーシアでは今、この時計を着用しているだけで、最高で懲役3年・罰金2万リンギット(約72.5万円)が科せられる。

(北島純・社会構想大学院大学教授)

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