2024/11/15
外務省アジア大洋州局からの突然の電話
季節外れの幽霊が出た。そんな思いである。川島正次郎自民党副総裁(ご記憶の方はおいでかな?)の口癖じゃないが、まさにこの世は、〝一寸先は闇〟、何が起こるかわかったものじゃない。
先日、ある人を通して外務省アジア大洋州局南部アジア部南東アジア第二課から筆者に問い合わせがあった。この一本の電話が、本稿のプロローグとなる。
「ええと、古い話で恐縮ですが、かれこれ10数年前になるんですがね、『月刊タイムス』という月刊誌にですね、ブルネイの王族の記事をお書きになったのは、○○さん(筆者)、ですか?」。
藪から棒になんだろうか?記憶の底をサルベージする。すると、思い出した、思い出した。それは確かに筆者による記事である。
「ああ、そうですよ」。
「その記事の件ですが、今、どうなっているのか、ご存じだったら少しばかり教えて戴きたいのですが」。
正直なところ、確かに記事は書いたが、その一件について、その後、しかも、今、に至ってはフォローしていない。なにし10数年前のことである。
「今、ですか、ちょっとわかりかねますね、残念ですが…」。
「そうですか、わかりました。何かあればこちらの方から改めて連絡致します。お騒がせ致しました」。そこで、電話は切れた。
硬直していた直感がいきなり働き出した。〝なにかある!〟。早速、8年前の本誌を納戸の奥深くからほこりまみれになりながら引きずり出す。
「これか!」。思わず声が出る。
土地売却と住宅建設をエサに ブルネイ王族が仕組んだ詐欺の実態 : おいしい話を持ちかける日本人兄弟の背後には反社会的勢力が(本誌2014年10月号)
その当時会った大阪のニュースソース(事件の被害者だが)の連絡先を検索する。いても立ってもたまらず、間髪を入れずにその人物に架電した。
「ご無沙汰してます…ところで…」。外務省からの電話のことを話し出す。
ブルネイ王国王族によるとんでもない〝詐欺話〟
案の定、その人物、~つまりは事件の被害者という当事者だが~、にも新しい動きが出ていたのだ。外務省からの筆者への唐突な問い合わせは、決してなんの連携のない動きなどではなかったのである。外務省南東アジア二課はブルネイを管轄している。
この記事に関わる事件が新たに動き始めている。それまでの予感が確信に変わりつつある。8年前の記事にしても事件はその時完結していないのだ。
一体、何が起き始めているのだろうか。
まずは、ブルネイ王族が絡む巨額詐欺事件について、当該の記事をなぞりながら、ここで時系列的におさらいしていかなくてはなるまい。
ことの始まりは、2008年の夏までさかのぼる。被害者(前出のニュースソース)が、ある人物の紹介で、ブルネイ王族であるPGバーリンなる男が役員を務めるS社という会社の代表、Tという人物と知り合いになる。このPGバーリンなる男こそ、この巨額詐欺事件の主役なのである。
ところで、Tは、S社の代表の前は、毎日新聞の記者というふれこみだった。(※毎日新聞社では確認が取れなかったが、筆者はTへの取材をした際、ハッキリ、〝自分は毎日なんだよ〟などと言い放っていた)
Tは、「私はブルネイという国で仕事をしているんだが、一緒にやりませんか?」、と切り出し、その3ヶ月後に被害者は、もうTとブルネイ国に行くことになった。なんとも早いアクションと言わざるを得ない。
さて、ブルネイの空港に着くとそこには件のPGバーリンが迎えに来ている。そのときは、被害者から見ても、なかなか颯爽とした青年紳士に見えた。PGバーリン曰く、「私はブルネイ国のロイヤルの血筋を引継ぎ、日本から人と金を持ってくれば仕事はいくらでもありますよ」と自信をもって話したという。端からカウンター、この初対面である意味勝負はついていたのかもしれない。
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