2025/10/16
公明党の自公連立解消で、船出から前途多難が予想される高市早苗自民党新総裁だが、彼女の積極財政論が、一部国民に支持されたことは事実だ。だが、積極財政で30年間停滞している日本経済を成長軌道に乗せることが出来るのか。
失われた30年の原因は何か? 消費税が悪いという人もいる。だが、外国にも消費税はある。主要国ではアメリカに消費税はないが、州別の売上税はある。EU諸国は20%前後の付加価値税(消費税)があっても、日本のように30年間も経済が停滞している国はない。
積極財政で公共投資をしても、今の日本では、経済に与える効果が小さいとされる。高度成長の頃の日本は、生産性の向上によって、投資した資本以上に経済の拡大が見込めた。東海道新幹線の開通や高速道路建設は、それまでよりも利便性が良くなったばかりか、生産性も向上させている。積極財政を成功させるには、イノベーションによる生産性の向上と、価値の創造を生み出す分野に投資する必要がある。
また、官僚の利権ビジネスや、中抜きピンハネが横行する社会では、ケインズ的政策は効果が減殺されてしまう。
このことに最初に気づいた政治家は、石井紘基(1940年- 2002年10月25日)だった。
石井議員は、特別会計・特殊法人・補助金制度への調査を通じて、日本経済の長期低迷を「官制経済」化にあると考え、官僚が、何度も高額の退職金を受け取れる多数の天下り先の官企業(特殊法人)を作り、民間経済の富を、官僚が支配下に入れていったことが諸悪の根源と指摘するが、暗殺されることになる。
石井の死後、小泉内閣(2004年)で労働者派遣法が改正され、派遣業界が異常な隆盛を迎えることになった。かつては、闇献金を含め、政治家個人への献金が多い業界は、土木建築、パチンコ、サラ金等だったが、近頃は派遣業界が目立っている。
派遣業のマージンに上限が設定されていない主要国は、日本ぐらいと言えよう。このことを指摘すると、派遣労働者なんて労働人口の3%ぐらいしかいない、と言われる。
だが、6957万人の日本の労働人口の3%は約200万人、けっして少なくない数値だ。ちなみにトヨタ自工の正社員は7万人余、グループ全体でも38万人余である。
派遣業者のマージンは、利息制限法があるサラ金並(18%程度)に制限すべきだろう。
積極財政政策を成功させるには、イノベーションを起こす成長分野への投資に加え、中抜きピンハネや、官僚の利権ビジネスに対する規制が必要になる。
高市早苗自民党新総裁が総理になれるか、混沌とした政治情勢だが、誰が総理になっても同じことだ。
(青山みつお)
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