好評連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.53『無人本屋ほんたす』
連載•小説
2025/10/15
無人本屋、というものに初めて入った。『ほんたす』という店である。
ガラス張りの店内は外からよく見え、店員の姿はない。近未来的空間だが、置いてあるのは紙の本しか見えず、不思議な違和感を感じる。客は中年の男一人だけだ。一瞬、彼はロボットではないか?と本屋そのものがSF小説の一場面に見える。
ワクワクしてきた俺は入口へ向かった。んっ?自動ドアが開かない。見ると、QRコードから登録完了で入店可能のようだ。
急に面倒くさい。おいおい、ここまでSF感にひたっているのだから、歩くだけでピッ!にしてくれ。SFでよくあるピッ!仕組は分からないけどピッ!
だが、考えてみたら、このQRコード自体も少し前まではSFの世界だった。日常は既に未来になっているのだ。
そのあと俺は本を一冊買った。最高の居心地でまた来ようと思った。
そういえば、俺の近所に無人本屋ならぬ、無人の本屋がある。客の姿はなく、ロボットみたいな店主だけがいる。
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