連載•小説 スマッシュヒットの予感 映画『ソーゾク』 これを観ないで死ねるか ライバルは『国宝』④ 月刊タイムスon-line独占企画
スマッシュヒットの予感 映画『ソーゾク』 これを観ないで死ねるか ライバルは『国宝』④ 月刊タイムスon-line独占企画
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2025/10/02

映画『ソーゾク』は〝女性の映画〟、監督の藤村磨実也は試写会の舞台挨拶でそう言ったが、その通りで劇中出てくる女性はみんな威勢がいいうえに自信にあふれている。

〝相続〟は女性が主役、ということをイヤというほど知らされる。これは藤村の目論見通りであろう。現実問題、そこここで起きている相続問題にしても99.9%は女性が対処し、結局はなんとかしているのであろう。私たちはそこで女性の持つ〝底力〟を思い知らされるのだ。

翻って男性はといえば、これは見事に情けない。日頃はやれ主人だ、一家の主だなどと威張ってはいても相続問題ともなると、いるだけで迷惑、邪魔だから出ていっていて、てなもんである。それはまるで産婆さん(古いか 汗)を呼んで、いざ分娩という時と同じなのである。男はいるだけで迷惑、何もできない、させられない、手も口も出すな、これと同じなのある。強い女性とでくの坊の男性、この構図を『ソーゾク』は巧みに描いている。

出てくる男性陣は、長女役の大塚寧々や大塚の義姉(ぎし)を演じた中山忍、大塚の妹役である有森也実、同じく義妹(ぎまい)役の真木恵未(まき えみ)に比べてあまりにもなさけなく憐れみさえ感じるくらいなのだ。覇気も元気もない。勘違いしてもらっては困るのだが、これは男性俳優陣の演技がそうだといっているのではない。相続問題において男っていうのはあまりにそのレーゾンデートルがない、ということいっているのだ。映画に出てくる男性俳優陣はそこのところを実にうまくかつ巧みに演じている。役者としてはすこぶるうまい。抜群の演技力といっても差し支えない。それほどなさけない男であり夫であり父親を見事に演じ切っている。

特に次男役のたつなりは、観ているこちらが歯がゆくなるくらいなさけない。〝あんた、夫であり、父親だろ、しっかりしろよ〟と肩のひとつでも張り倒したくなるのだ。この役者誰だろう、観た人はそう思うこと必至である。たつなり、っていわれても、誰だっけ?である。それもそのはず、たつなり、これは初の映画出演なのだ。

エグゼブティブプロデューサーの関顕嗣がいう。

「たつなりはお笑い芸人なんです。これが映画初出演だけれど藤村監督が出演に踏み切った。あたりでしたね」。

大塚の夫役を演じた川瀬良太もこれまた情けない男を演じて印象を残す。大塚と一緒にお昼の素麺を食べるシーンは出色。頼りない男はかくある、というところを見せつける。さすがはベテランである。

この映画撮影はごくごく短期間だったという。

「諸般の事情で撮影は短い撮影でしたが、その分短期集中というか、濃縮された映画になったと思います」(前出 関)。

その通り。出演者の濃い演技が醸し出すいい映画になった。どうですか?観たくなってきたでしょう。公開はもうじきです。(敬称略 つづく)

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