政治•経済 石破首相退陣の決定打:参院選大敗と党内圧力の高まり
石破首相退陣の決定打:参院選大敗と党内圧力の高まり
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2025/09/09

9月7日、石破茂首相が退陣を表明した。この突然の決断は、日本政界に大きな波紋を広げたが、その背景には複数の要因が絡み合い、特に参議院選挙での歴史的大敗と自民党内の退陣圧力の高まりが決定打となった。

石破首相は2024年10月に自民党総裁に選出され、首相に就任した。しかし、就任当初から厳しい政治環境に直面していた。特に2025年7月の参院選では、自民党・公明党の与党が過半数に達せず大敗を喫した。この選挙結果は、国民の自民党に対する不信感が頂点に達したことを示していた。物価高や安全保障環境の悪化、さらには過去の「裏金問題」などの負の遺産が、国民の支持を大きく損なった。石破首相は「比較第一党」としての責任を強調し、当初は続投の意向を示したが、党内や世論の風当たりは強まる一方だった。

参院選後、自民党内の地方組織から退陣要求が噴出した。茨城、栃木、愛媛など9つの県連が退陣を求める文書を提出し、若手議員や青年局も同様の動きを見せた。これらの声は、選挙での敗北が石破個人の責任ではなく、党全体の運営や政策の失敗に起因すると主張する一方で、党の信頼回復には執行部の刷新が必要だと訴えた。特に、若手議員の間では「党の分裂を避けつつ、新体制で再スタートを切るべき」との意見が強かった。この党内圧力は、石破首相の求心力を急速に低下させた。

さらに、日米間の関税交渉が一つの節目となった。石破首相は、米国との交渉を「辞められない理由」として続投を正当化してきたが、7月に合意が成立すると、その大義名分が失われた。交渉結果は日本にとって必ずしも満足できるものではなく、経済界や国民の不満をさらに増幅させた。これにより、首相の指導力に対する疑問が一層深まり、党内での「石破おろし」が加速した。

一方、野党側も石破政権への圧力を強めた。立憲民主党や国民民主党は、参院選での与党の過半数割れを背景に、内閣不信任案の提出や衆院選準備を加速。国民民主党の玉木代表は「民意を軽視している」と石破首相を批判し、政権の正当性に疑問を投げかけた。こうした野党の攻勢も、石破首相の政治的立場をさらに不安定にした。

最終的に、9月6日夜の小泉進次郎農林水産相と菅義偉元首相との会談が退陣の引き金を引いたとされる。この会談で、党の分裂を避ける必要性が強調され、石破首相は続投による党のさらなる混乱を回避する判断に至った。9月7日の緊急記者会見で、石破首相は「総裁の職を辞する」と表明し、自民党の「解党的な出直し」を訴えた。この決断は、党内での孤立と求心力の喪失、そして国民の信頼回復に向けた責任の取り方として、退陣が不可避であるとの認識に基づくものだった。

石破首相の退陣は、参院選での大敗が引き起こした党内と世論の不信の連鎖、また米国との関税交渉が合意したことなど、本人の政治的判断の結果と言える。後任の総裁選が注目される中、自民党は新たなリーダーシップのもとで信頼回復と政権運営の再構築を迫られている。日本の政治は、今後さらなる変動を迎えるだろう。

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