政治•経済 中露関係
中露関係
政治•経済

2025/09/05

 2025年9月3日、北京で開催された「抗日戦争勝利80年」記念パレードに、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が出席した。この軍事パレードは、中国が第二次世界大戦での対日勝利を祝う重要な式典であり、プーチン大統領の参加は中露の緊密な関係を象徴するものとして注目される。しかし、両国が「蜜月関係」とは言い難い理由がいくつか存在する。

 プーチン大統領の北京訪問は、2025年5月のロシア戦勝記念日式典に中国の習近平国家主席が参加したことへの返礼的な意味合いを持つ。両国は近年、「無制限のパートナーシップ」を掲げ、経済や軍事面での協力を深めている。2024年の貿易データによると、中国はロシアの最大の貿易相手国となり、貿易総額の約33%を占めるなど、経済的結びつきは顕著である。パレードでの共演は、欧米の制裁下でも両国が国際社会で孤立していないことをアピールする狙いがある。実際、2022年のウクライナ侵攻以降、ロシアは中国からの経済支援に依存を強めており、エネルギー輸出や人民元建て決済の拡大はその象徴である。

 しかし、中露関係は表面的な友好ムードとは裏腹に、複雑な要因が絡む。歴史的には、19世紀の清朝時代に中国がロシアにアムール川流域などの領土を割譲した経緯があり、ロシア側には中国の極東地域への潜在的な領土的野心への警戒感が根強い。ロシア連邦保安局(FSB)の内部文書では、プーチン大統領が中国の領土的意図を懸念していると報じられている。また、中国国内でも、歴史教育を通じてロシアへの不信感が醸成されており、国民感情のレベルでも完全な信頼関係は築かれていない。

 旧ソ連諸国を巡る主導権争いも、両国の間に不協和音を生む要因である。中央アジアでは、中国の「一帯一路」構想がロシアの伝統的な影響圏に食い込む形で進展している。2022年のカザフスタンでの暴動鎮圧にロシアが集団安保条約機構(CSTO)を通じて介入した際、中国はカザフの主権尊重を強調し、ロシアの影響力拡大に不満を示した。さらに、中国はウクライナとも経済関係を維持しており、ロシアのウクライナ侵攻を全面的に支持しているわけではない。2024年のデータでは、中国の対ウクライナ輸出は依然として一定規模を維持しており、ロシアの立場とは微妙な距離感が見られる。

 中露は「包括的戦略的パートナーシップ」を謳うが、幅は広いが深さは浅い。両国は米国への対抗意識から連携を強化するものの、相互不信や利害の対立が根底にある。中国の経済力とロシアの資源依存の非対称性も、関係の均衡を難しくしている。中国はロシア産エネルギーを低価格で輸入する一方、ロシアは中国の技術や資本に依存する構図が顕著だ。2024年の統計では、ロシアの対中エネルギー輸出は全体の約60%を占めるが、中国側は価格交渉で優位に立つケースが多い。

 プーチン大統領のパレード参加は、中露の連携を世界に示す機会である。しかし、歴史的確執、地政学的な競争、経済的非対称性により、真の蜜月関係には程遠い。両国は戦略的必要性から協力を続けるが、深い信頼に基づく同盟とは言い難い。今後の動向は、国際社会の力学を左右する重要な要素となるだろう

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