連載•小説 『大阪ロマンボーイズ』第2回 坂本雅彦 
『大阪ロマンボーイズ』第2回 坂本雅彦 
連載•小説

2024/11/11

俺を取り巻く陽気な面々

 

俺は相変わらずコンビニバイトを続けながら大学での授業はサボりがちで、野球に興じたり、2年先輩の藤田さんや1年先輩の椎野さんや高野さんや若狭さんといういつものメンバーで酒盛りや麻雀にふける毎日だった。同級生の坂田は野球同好会の仲間でいかつ過ぎる強面をキャッチャーマスクで隠していた。岡崎と駒井も同級生で同じ野球同好会の仲間であったが、とにかく野球が下手過ぎる。この二人の役目は部員のアッシーであった。車を試合の都度に出してくれるのはありがたい存在である。大学から目と鼻の先に下宿している若狭さんの部屋が俺たちの溜まり場だった。

藤田さんは愛媛の有名企業の御曹司だった。お金には苦労しないボンボンであるが、その反動かどうかはわからないが苦学生にあこがれていたようで、ジャージにどてらを羽織って下駄を鳴らしながら三宮を歩きまわる変人だった。

「おい坂本、親に金をせびる方法を教えてやろうか」

「是非とも」

「親に適当な資格試験の講座を申し込みたいから金をくれって言うんじゃ」

「え、でもそんなこと言ったら資格を取らないといけなくなるじゃないっすか」

「別に取らんでもええんよ」

「え、なんでっすか」

「なんでももくそもない、落ちたことすればええんやから」

「そんなんで許されるんすか」

「諦めんかったことにしたらええんじゃ、来年も頑張るから受講料をよろしくって言っておけば上等じゃあ」

「え、同じネタで2年もせびるんすか」

「同じネタなのがええんよ、諦めずに頑張っとる風になるんよ、評価がむしろ上がるわい」

藤田さんは毎月家賃とは別に20万円の仕送りを実家から受け取っている。なのに、毎月会計士などの資格試験の講座の受講料と称して更に数万円を実家からせびっていた。藤田さんからよく酒をご馳走になっていた俺はその恩恵を享受していた一人である。

椎野さんは1年先輩であるが2浪しているらしく藤田さんと同い年である。この男は深入りしてはいけない。酒に酔うと妙な国家論をぶち始める。右翼なのか左翼なのかもわからないが、オタクっぽい風体からは想像できないような攻撃的な主張を始める。

TIMES

連載•小説