2025/07/16
今年度の最低賃金(時給)の改定額の目安を決める中央最低賃金審議会(通称・中賃=厚生労働相の諮問機関)の議論が今月11日、始まった。現在、最低賃金が1000円を超える都道府県は16に上っており、全国平均は1055円。政府は「2020年代に全国平均1500円」との目標を掲げており、過去最大の引き上げが実現するかや、全国一律で1000円超となるかに注目が集まる。
▼毎年夏に決定
最低賃金は、都道府県ごとに決められている時給の下限額だ。毎年7月に開かれる中賃の議論で、労使の代表と大学教授ら公益委員が、物価や賃金の上昇率、企業の業況などを考慮し、引き上げ額の目安を示す。その後、各都道府県の審議会がこの目安を参考に実際の引き上げ額を8月中をめどに決め、新たな最低賃金が10月以降に適用されることになっている。
物価高を背景に、賃上げを求める声は全国各地に広がっており、参院選でも各党が重要な公約に掲げている。ただ、石破政権の「2020年代に全国平均1500円」との目標は高く、達成するのは容易ではない。2025~29年度の改定で毎年、全国平均で7%程度の高い引き上げが不可欠となるためだ。過去最大級の引き上げとなった昨年度が5・1%のため、7%がいかに高い数字化は明白であり、毎年のようにそれを実現するハードルは低くないはずだ。
それでも政府が「物価高を上回る賃上げ」と銘打って大幅賃上げを目指すのは、最低賃金の水準が海外と比べて低いことも影響している。経済協力開発機構(OECD)のデータでは、フルタイムで働く正社員ら一般労働者の賃金中央値に対する最低賃金の比率で、2023年は日本が46%に対し、ドイツは51・7%、英国は59・6%などで、海外との開きは大きい。
▼中小企業支援を
現在の経済事情などを踏まえれば、今年度の中賃で過去最大級の引き上げが実現する公算は高いだろう。ただ、7%を超える急速な引き上げが進んでいけば、特に中小企業への影響が大きくなるのは必須で、配慮が必要となる。最低賃金を確保するために従業員の値上げに迫られ、廃業に追い込まれる中小企業も出てきかねない。
労働者側からも懸念の声は根強い。ある連合関係者は「大幅の賃上げは絶対に必要」としながらも、急速な引き上げによって中小企業が追い込まれて廃業してしまえば、従業員が食を失うことになるとの危機感を示す。この関係者は「大幅賃上げの影響で会社が倒産したら従業員も守られず、本末転倒だ」と強調しており、慎重かつ丁寧な議論を求めている。
政府は賃上げに加え、中小企業の支援も含めた総合的な経済対策に取り組むべきだろう。
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