2025/07/11
共同通信社が発表した最新の世論調査によると、今回の参院選における比例代表党の投票先で
は、自民党が18.2%と最も支持を集めた一方、参政党が2.3ポイント伸ばして8.1%で2位に浮上し
、国民民主党と立憲民主党を上回った。今回の選挙戦で、参政党は日本人ファーストという言葉
を繰り返し使っているが、近年日本国内では保守勢力が支持を伸ばす傾向が見られる。この現象
の背景には、日本を取り巻く安全保障環境の悪化と、国際情勢の変化に対する国民の危機意識の
高まりがある。
米中対立と日本の安全保障環境
米中対立は、現在の国際秩序における最も重要な対立軸の一つである。米国は中国の経済的・
軍事的台頭を牽制するため、貿易制限や技術輸出規制を強化し、軍事的にはインド太平洋地域で
の同盟強化を図っている。一方、中国は南シナ海での人工島建設や東シナ海での尖閣諸島周辺で
の活動活発化など、海洋進出を加速させている。2023年の中国海警局による尖閣諸島周辺での領
海侵入は過去最高水準に達し、日本の安全保障に対する直接的な脅威となっている。
このような状況下で、日本国民の間では、中国の覇権拡大に対する警戒感が強まっている。特
に、保守勢力は「強い日本」を掲げ、自主防衛力の強化や日米同盟の再評価を訴えることで、こ
うした危機意識に訴求している。参政党などは、中国の影響力拡大に対抗するため、経済的依存
の見直しや軍事力強化を主張し、支持を集めている。
台湾有事と日本の地政学的リスク
台湾海峡の緊張も、日本の安全保障環境に大きな影響を与えている。中国は台湾を「不可分の
領土」とみなし、近年、台湾周辺での軍事演習を頻繁化させている。米国のシンクタンクや日本
の防衛省は、台湾有事が日本の安全保障に直接影響を及ぼす可能性を指摘している。台湾海峡は
日本のシーレーン(海上交通路)の要衝であり、有事の際には日本のエネルギー供給や貿易が深
刻な打撃を受ける。保守勢力は、台湾有事を日本存亡の危機と位置づけ、防衛力の抜本的強化や
自衛隊の役割拡大を主張する。また、憲法改正による自衛隊の「国防軍」化を訴え、国民の間に
「自国を守る覚悟」を求める姿勢が支持を集めている。
北朝鮮の核ミサイルとロシアとの軍事結束
北朝鮮の核ミサイル開発は、日本にとって直接的な脅威である。2022年以降、北朝鮮は弾道ミ
サイルの発射実験を繰り返し、2024年には日本列島上空を通過するミサイル発射も確認された。
さらに、近年ロシアと北朝鮮が軍事協力を強化し、共同軍事演習や武器供与の動きが報じられて
いる。このようなロシア・北朝鮮の結束は、北東アジアの安全保障環境を一層不安定化させてい
る。保守勢力は、北朝鮮の脅威に対し、ミサイル防衛システムの強化や敵基地攻撃能力の保有を
強く主張している。特に核抑止力の議論も提起され、国民の危機意識を喚起している。こうした
強硬な安全保障政策は、従来の「専守防衛」路線に不満を持つ層に支持され、保守勢力の勢いに
つながっている。
トランプ政権の孤立主義と日本の自立意識
そして、トランプ政権の再来により、米国の外交政策は孤立主義的な色彩を強めている。トラ
ンプ氏は「アメリカ第一」を掲げ、同盟国への軍事的関与を縮小する姿勢を示している。NATOを軽視する発言や、日米同盟における米軍駐留費の負担増要求は、日本の安全保障政策に大きな影響を与えている。米国がアジアでの軍事プレゼンスを縮小する可能性が浮上する中、日本国内では「自力で国を守る」意識が高まっている。
保守勢力は、この状況を「日米同盟の限界」と捉え、自主防衛力の強化を訴え、防衛費のGDP
比2%超への引き上げや、国産兵器の開発促進を主張する。また、米国依存からの脱却と、独自の
外交・防衛戦略の構築を掲げ、国民の自立意識に訴える声すらある。
保守勢力の訴求力と国民の危機意識
保守勢力の支持拡大の背景には、国民の危機意識の高まりがある。日本の安全保障環境が悪化
していると感じる国民は年々増え続けており、この危機意識は、保守勢力が掲げる「強い国家
」「自主防衛」のメッセージに共鳴する土壌を提供している。また、保守勢力はソーシャルメデ
ィアやネット配信を活用し、若年層や保守層に直接訴求する戦略を取っている。特に、参政党な
どはYouTubeやXでの情報発信を強化し、従来の政治勢力とは異なる「草の根」的なアプローチで
支持を拡大しており、今後保守勢力はいっそう拡大することが考えられる。
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