社会•事件 東京地検はどうして不起訴にしたのか?新たにわかった検察の〝闇〟
東京地検はどうして不起訴にしたのか?新たにわかった検察の〝闇〟
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2024/11/05

明々白々な詐欺事件

 その連中は、昨年7月12日に警視庁捜査二課に詐欺容疑で逮捕された。
 新聞では事件を次のように報じている。

仮想通貨発行巡り詐欺容疑 全日本プロレスの元オーナーら逮捕

 新規の暗号資産(仮想通貨)発行への出資名目で、美術品販売会社から1億5000万円を詐取したとして、警視庁捜査2課は12日、詐欺容疑で、職業不詳野崎勝弘容疑者(59)=東京都港区=と、職業不詳白石伸生容疑者(50)=東京都千代田区=ら男3人を逮捕した。捜査関係者らによると、白石容疑者は、全日本プロレスの元オーナー。他に逮捕されたのは、職業不詳竹本誠容疑者(57)=横浜市磯子区。捜査2課は、野崎容疑者と白石容疑者が主導し、白石容疑者が実質的に経営する仮想通貨交換業者が事業を担うとうそを言って、出資を持ちかけたとみている。
 捜査2課によると、事業は実体がなく、金は借金の返済などに使われたとみられる。野崎容疑者らは「300億円規模の資金調達をする。流通すれば利益が出る」などと説明していたという。
 逮捕容疑は2018年3~4月ごろ、共謀して東京都中央区の美術品販売会社に新規の仮想通貨を発行すると持ちかけ、現金を詐取した疑い。捜査2課は認否を明らかにしていない。
 事業に進展がなく、野崎容疑者らと連絡が取れなくなったため、美術品販売会社が20年5月に告訴していた。(サンケイスポーツ2023年7月12日付記事)

 容疑者の中に全日本プロレスの元オーナーがいたことでスポーツ紙がいの一番に採り上げたのだろう。実際一般紙ではこの事件の扱いはいわゆるベタ扱いだった。
 同事件の告訴状がここにある。そこではきわめて精緻に事件の全容が綴られている。ここにその一部始終を記しはしないが、Ⅰ億5千万円を首尾よく詐取した経緯は正に手慣れたもので事件の白眉だけにざっと引用しよう。これはとりもなおさず被疑者らの明白な犯意を証明するものなのだ。
 例えばこんなくだり。いよいよウソの仮想通貨交換業者に両者(告訴人と被告訴人)が等分に出資を実行しようとする場面。詐欺漢にとっては実際に金を引っ張る最も重要なシーンである。
 『~前略~告訴人側と被告訴人野崎らとで面談を行った際、告訴人側から被告訴人に対し、告訴人、被告訴人側それぞれ半額ずつ出資する方法を提案した。
 これは、告訴人において、事業立ち上げん移載しての出資金を告訴人が全額負担するとなると、告訴人が単独で事業を行うに等しいこと、被告訴人側それぞれ半額ずつイン側が何らのリスクも負わないのは不安であったことによる。
 具体的には、告訴人から被告訴人野崎に対し、告訴人が7500万円、BMI Japan社(※被告訴人側の会社)が7500万円をそれぞれ出資し、出資金の合計額をⅠ億5000万円とするのはどうかと提案したものである。
 そうしたところ、被告人野崎より、出資額をⅠ億5000万円に拡大し、それぞれⅠ億5000万円を出資し、出資金の合計を3億円とする旨の提案を受けた。~後略~』。
 元々出資する気もない、いや、実際に出資する原資も持たない〝詐欺漢〟たちにとってここは一世一代のパフォーマンスを演じなければならないシーンなのである。相互の出資額をドーンと引き上げる提案をすることで相手(告訴人)の不安を解消しようとしているのである。告訴人にしてみれば、『よもやこの連中(被告訴人)は(出資する)カネがないのでは?。すると共同出資といいながらすべて私(告訴人)が出資する羽目になるのでは?』、という不安に戦いているところ、いきなり倍額などと提示されたらすっかり安心するのである。
 このあたりの巧みな展開などを見ても被疑者どもの犯意は明確である。
 ちなみに告訴状は令和2年の5月に出されている。捜査に3年あまりが費やされたのだ。それでも告訴を受けた警視庁は捜査を投げ出さなかった。それだけ被疑者の悪意を捜査員らが如実に感じられたのだろう。ついに逮捕にこぎ着けた。
 この時の警視庁捜査二課の達成感というのは察して余りある。天晴れと言うしかない。

警視庁は自信を持って送検した。しかし…

 告訴人はいう。
 「長い時間がかかりましたが、それでも詐欺漢どもが逮捕されて、ああ、ようやく報われた、と思ったものです。警視庁の捜査官たちには思わずねぎらいの言葉を掛けたくなったほどです」。
 これは詐欺の被害者としてまったく正直な思いであろう。Ⅰ億5千万円もの大金を詐取されたのである。長きに渡って喪心せずがんばってくれた捜査員一人一人の肩でも叩きたくなったというのは人として真意そのものといっていい。
 ここで終わってしまったらまあ凡庸なストーリーに過ぎないが、ことはそうそう単純じゃない。本題はここからにある。
 送検された被疑者どものは半年近い(!)時間を経過してある処分となった。
 なんと不起訴処分なのである。
 送検後半年という時間をかけたというのも異例だが、東京地検刑事部が出した結論が不起訴処分とは誰もが予想だにしなかったまさしく奇想天外な結末である。
 「絶句しました」(被害者)。
 当然であろう。
 まさしく前代未聞の顛末となった詐欺事件。本誌ではこの経緯をこれから深掘りしていく。
 東京地検刑事部で何があったのか。

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