エンタメ「TIGER」 究極の“強がり”故に「できないこと」を嘆かない。病気で利き腕を失った元投手の現在【4】
究極の“強がり”故に「できないこと」を嘆かない。病気で利き腕を失った元投手の現在【4】
エンタメ「TIGER」

2024/11/05

 糖尿病に起因する感染症により2024年5月に利き腕である右腕の切断手術を受けた元プロ野球選手の佐野慈紀氏(56)。
 現役時代は近鉄や中日で活躍し、中継ぎ投手としてはNPBで初の「1億円プレイヤー」にもなった。
 「究極の強がり」と公言し、退院後の現在、左腕だけでは「できないこと」を嘆くことなく、左腕だけで「できること」を見つけるのが楽しみでさえあるという。

ーーブログやX(旧Twitter)を拝見すると、ポジティブな内容の投稿が多い気がします。

佐野 こうやって、障がいを持つことにはなったんですけど、引っ込み思案になったり、ネガティブな言動も、ネガティブな姿も、他人(ひと)に見せる必要はないと思ったんですね。僕は、子どもの頃から究極の“強がり”で、ここまで来たら最後まで強がってやろうと。だから、ネガティブに考えるのも、ネガティブな発信をするのも、絶対にやらんでおこうって思いました。

ーーだからこその投稿内容だったわけですね。

佐野 障がいを持ったことで「大変やねん」、「しんどいねん」って言ったって、どうにもならないじゃないですか。だったら、「こんなこともできるんだぜ」とか、「こんなこともやってるんだぜ」っていう風に言えるのが楽しみなんですね。左投げへのチャレンジもそうですけど、この歳になって改めてチャレンジする(できる)ことが増えていくのは楽しみでしかないんです。

ーーそれでも実際、不便なことはありますよね?

佐野 例えば、左手の爪を切れないだとか、シャツの左袖のカフスボタンが留められないとか。あとは、ズボンのベルトって、右手で引っ張って、左手でバックルを留めるじゃないですか。それができないんですよ。でもね、「できないこと」を嘆くんじゃなくて、「こんなこともできないんや」って気付いた時には笑って、ある意味で楽しんでますね。

ーー佐野さんのことを案じている人たちも多いですが、その人たちに向けて何かあれば。

佐野 まぁ、元気です(笑)。まずは、「元気だ」っていうところを見せるのが大事だと思ってます。僕の場合は、根っからの「野球人」なんで、皆さんには野球で返していくしかないと思っているんですね。これから先に、元気に野球に携わっている姿を見せることをお約束します。「コイツ元気なんやなぁ」とか、「相変わらずアホやなぁ」って言われる存在でありたいと思ってます。もし、誰かが僕の姿を見て、「よし! 頑張ろう!」っていう人が一人でも二人でもいるんであれば、それがすごく嬉しいです。

==次回に続く==

佐野慈紀(さの・しげき)
1968年生まれ。愛媛県松山市出身。第68回全国高校野球選手権大会にて準優勝。近畿大学に進学して同大のエースとしてリーグ10連勝に貢献。1990年、ドラフト3位に指名され翌年に近鉄へ入団。中継ぎ投手としてはNPB(日本プロ野球連盟)で初の「1億円プレイヤー」となる。2003年に現役を引退。

 

≪Tiger編集部≫

TIMES

エンタメ「TIGER」