政治•経済 社会•事件 イスラエルとイランの軍事衝突:核能力破壊と体制崩壊の意図
イスラエルとイランの軍事衝突:核能力破壊と体制崩壊の意図
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2025/06/21

6月13日以降、イスラエルとイラン間で激化する軍事的応酬が中東情勢を一層不安定化させてい
る。イスラエル軍はイランの核関連施設を中心に100以上の標的を空爆し、ネタニヤフ首相は「イ
ランの核濃縮プログラムの核心を攻撃した」と宣言した。この攻撃は、従来の軍事作戦を超え、
イランの政府機関やエネルギー施設を意図的に標的にし、多くの民間人犠牲者を出すに至ってい
る。こうした攻撃の背後には、イランの核能力を無力化するだけでなく、同国の体制そのものを
崩壊させようとするイスラエルの戦略的意図が垣間見える。

攻撃の背景とエスカレーション

 イスラエルによる6月13日の空爆は、イランの核開発計画に対する長年の懸念が頂点に達した結
果である。ネタニヤフ首相は過去にわたり、イランの核兵器開発がイスラエルの存続にとって最
大の脅威であると主張してきた。この立場は、2023年10月のハマスによる攻撃以降、イランがハ
マスやヒズボラなど反イスラエル勢力を支援しているとの認識と相まって、イスラエルの強硬姿
勢を加速させた。今回の攻撃では、中部ナタンズのウラン濃縮施設などが標的となり、イラン革
命防衛隊のサラミ総司令官を含む高官が殺害された。さらに、テヘランでの爆発音や民間人死傷
者の報告がイラン国営メディアを通じて伝えられている。
 イラン側は報復として、6月14日から15日にかけ、イスラエルに対し弾道ミサイルやドローンに
よる反撃を実施した。テルアビブ近郊で死傷者が出るなど、イスラエル国内にも被害が及んでい
る。イランの最高指導者ハメネイ師は「イスラエルは報いを受ける」と報復を宣言し、革命防衛
隊は軍事施設への攻撃成功を主張している。しかし、双方の攻撃は軍事目標に留まらず、エネル
ギー施設や政府機関にまで拡大し、従来の「限定的応酬」を超えた様相を呈している。

 

民間人犠牲と国際的批判

 特に注目すべきは、イスラエルの攻撃がイランの民間人にも深刻な被害をもたらしている点で
ある。エネルギー施設の破壊はイラン国民の生活基盤を直撃し、電力供給や燃料供給の混乱が報
告されている。また、政府機関への攻撃はイラン当局の統治能力を弱体化させ、国内の不安定化
を誘発する可能性がある。
 国際社会からは、こうした攻撃の拡大に対する懸念が高まっている。国連は民間人保護の原則
違反を指摘し、欧米諸国も紛争のエスカレーションを回避するよう双方に自制を求めている。し
かし、米国はイスラエル防衛のために軍事支援を強化する姿勢を示しており、トランプ政権下で
の核協議の停滞がさらなる火種となっている。一方で、イランのホルムズ海峡封鎖の示唆は、原
油価格高騰や世界経済への影響を招き、欧米の空母打撃群派遣を正当化する口実を与えている。
イスラエルの戦略:体制崩壊の意図
 イスラエルの攻撃は、イランの核能力を破壊するにとどまらず、同国の体制を動揺させる意図
を帯びている。エネルギー施設や政府機関への攻撃は、イラン政府の国民統治能力を直接的に損
なうものであり、国内の反政府勢力や経済的困窮を背景とした不満を増幅させる可能性がある。
ネタニヤフ首相は、今回の作戦を中東の新秩序を構築する一歩と位置づけ、イランを弱体化させ
ることで地域のパワーバランスをイスラエルに有利に再構築しようとしている。
 しかし、この戦略は極めてリスクが高い。イランの体制崩壊が仮に実現したとしても、その後
の権力の空白は新たな過激派の台頭や地域のさらなる混乱を招く可能性がある。また、イランの
核開発意欲は一層強まる可能性があり、核ドミノとして周辺国での核武装競争が激化する恐れも
あろう。

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