2025/06/11
去る5月18日に国立競技場でセイコーゴールデングランプリ陸上が開催された。9月に東
京で開催予定の世界陸上の大切な前哨戦。オリンピック以外に陸上を見る機会は皆無と言
って良い小生にとって出場選手の中で知っているのは女子やり投げの北口榛花選手と男子
100メートルのサニブラウン・ハキーム選手くらいだろうか、敢えて言うとその他に桐生
祥秀選手や飯塚翔太選手や田中希実選手。
大会は午前10時30分から午後3時くらいまでの長丁場。バックスタンド1階の中段あたり
から目前で行われている跳躍競技を見続ける。女子の三段跳びに続いて男子の走り幅跳び
。さぞかし退屈だろうと思っていたがこれがなかなか面白い。男子の走り幅跳びは8.2メー
トルを跳んだオーストラリアのリアル・アドコックが、女子の三段跳びは13.66メートル
を跳んだ高島真織子選手が勝った。たった1歩で8メートル以上、僅か3歩で13メートル以
上に達するのだから冷静に考えると凄いことだ。一見の価値はあるが難点もある。出場選
手の多くが跳躍時にスタンドに向かって手拍子を要求する。出場選手の男女19名で100回
ほどの跳躍に際してその半数以上に手拍子を求められる。これには流石に辟易する。“今か
ら跳ぶからこっちを見て”というアピールの一種なのかもしれないが度重なると意外と面倒
になってくる。選手が手拍子を求めることができる回数を制限して欲しいものだ。
跳躍競技の向こうでは並行して槍投げが行われていた。観衆の期待を一身に背負って出
場しているのが金メダリストの北口榛花選手。合計6回を投じるのだが、北口選手は1回目
から6回目まで一度も首位を譲らず64.16メートルで優勝。圧巻の強さを見せつけた。ただ
残念だったのは女子の槍投げの前に男子の槍投げが行われ70メートル後半から80メートル
越えの投擲を見続けていた為に女子の投擲がショボく感じてしまったこと。テレビ中継の
時間の加減で競技の進行が決められたのであろうが、演出としての競技順は重要である。
クライマックスの競技は男子100メートル走。USA勢に混じって日本の5選手が出場する
。最終種目とあって演出も少しだけ凝っている。メインスタンド下の中央あたりからジェ
ットスモークが噴射される中から選手が一人ひとり登場する。ここまで会場で進行MCを
務めてきたのはパトリックユウ氏、ヤクルトスワローズのスタジアムDJも務める人気スポ
ーツMCである。男子100メートルのファイナルにあたりパトリックユウ氏が最初に紹介し
たのはなんと選手ではなく織田裕二氏だった。「きたー!」と一斉に大歓声。出場選手の
呼び込みはパトリックユウ氏ではなく織田裕二氏が行うというサプライズ。織田裕二氏に
よって紹介された選手たちが次々とジェット噴射の中から登場する。織田氏「あれ、これ
で終わり?足りなくない?あの選手は?どうしたの?」パトリックユウ氏「お察しだとは
思いますが・・・」織田氏「えー、サニブラウンは欠場なのか」というやり取りと同時に
会場全体が一気に落胆。レースは東洋大の栁田大輝選手がUSA勢と霧生選手を抑えて勝っ
た。
この日、一番盛り上がったのは織田裕二氏の登場時、この日、一番盛り下がったは織田
裕二氏がサニブラウン選手の欠場を告げた時、良いも悪いも掻っ攫った織田裕二氏が真の
勝者なのだろう。アスリートにとっては鳶に油揚げをさらわれた思いがしたに違いない
。(世良 直)
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