連載•小説 没後20年、戦争を危惧した後藤田正晴いまありせば 元官房長官秘書官 平沢勝栄が語る 第5回
没後20年、戦争を危惧した後藤田正晴いまありせば 元官房長官秘書官 平沢勝栄が語る 第5回
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2025/06/09

渡辺恒雄と後藤田さんの軋轢

香村 この間亡くなった、読売の渡辺恒雄ね。渡辺氏と中曽根氏は60年以上の刎頸の交わりだということだったんですけどね。後藤田さんとレフチェンコ事件をめぐって、ちょっといざこざがあったというような記事が出ているわけですけど。あの事件でレフチェンコがCIAとかいろんなところで喋ったものが文書にでて、そこに読売の記者や、あるいは野党の政治家の名前も出ている。後藤田氏が渡辺恒雄に「お前のところの記者はスパイみたいなものだから首切れ」と文句言ったところ、渡辺恒雄が「そんなことないよ。なんでうちの社員のことを勝手にそんなこと言うんだ」と。渡辺恒雄が怒って中曽根康弘の所に行った。そしたら中曽根康弘が「後藤田の言うことが正しいよ」と。CIAからリストが出てて、そこに全部名前が出ている。読売の記者も政治家も名前が出てると。それで結局、渡辺恒雄が「俺が負けた」というようなこと言ったらしいんですよね。渡辺恒雄と後藤田さんとはそんなに交流はなかったということですか?

平沢 わかりません。ただ私が秘書官の時に後藤田さんと渡辺恒雄さんが一緒に食事をしたことはなかったといえると思います。

香村 1986年の衆参同日選の時にですね、定数是正問題をめぐって、最高裁の判決が出て、それで八増七減の衆院の定数是正をしなければだめだと。その時に「寝たふり解散」というかね、これは渡辺恒雄のアイデアだと本人は著書で自慢してるわけです。

平沢 渡辺恒雄さんが? へー。

香村 そういう意味からいうと、渡辺恒雄は政権のブレーンというか知恵袋みたいなとこもあったのかなと。そうすると、後藤田さんがそれを知らないというのもまたどうかなと、私は思ったりもするんですけどね。

平沢 そうですね。そうなりますけど。ともかくあの時の選挙について後藤田さんはたとえ知っていても秘書官に漏れるような隠し方はしなかったでしょう。

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