政治•経済 連載•小説 新連載 没後20年、戦争を危惧した後藤田正晴いまありせば  元官房長官秘書官 平沢勝栄が語る 第4回
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2025/05/28

官房機密費

香村 それと内閣官房長官の時に、官房機密費というものを扱うわけですね。それで今、石破内閣において、いわゆる商品券の配布問題を巡って、いろいろ政治と金の問題がスキャンダルになって、それはまだ尾を引いてるというわけですけど、当時、官房機密費なんかは、平沢さんは具体的に……

平沢 官房長官室の金庫に、現金が入っていたと思います。私は金庫の中まで見ていませんので詳しくは分かりません。官房長官はその金庫を管理していました。金曜日の夕方になると官邸の参事官、当時は厚生労働省から来ていましたが、その人が全部チェックしていました。足らない時は補充していたと思います。そのお金の使い道は官房長官の判断です。例えば、政治家だけでなく役所の人に対しても、海外に重要な仕事で行く時などは相応の額を出していたと思います。現金は法務省の関係者にもマスコミ関係者にも出ていたことがあったと思います。後藤田さん自身もいい情報を掴んだり、いい結果を出したりするにはある程度の金が必要だ。国のプラスになる場合には金も必要だ、という考えだったと思います。

香村 最近は、官房機密費は年間12億3000万とか言われてますけど、当時はどんなもんでした?

平沢 私は額は知りません。

香村 後藤田さん自身は自分で配らなくて、平沢さんとか他の人に“持ってけ”とかいう形で――

平沢 他の二人の秘書官は知りませんけども、少なくとも私には指示がありました。官房長官から「気をつけて持って行け、直接本人に渡せ」と言われて風呂敷包みを運んだことはあります。中味は知りませんが、あとで届いたか否かを電話で確認していましたから、大事なものだったと思います。

香村 役所の秘書官は全部で四人だったんじゃないですか?

平沢 いや、そのうちの一人は後藤田さんの政務秘書官です。後藤田さんの政務秘書官の他に役所の秘書官が三人いて、私はその中の一人です。ですから秘書官は合わせると四人になります。役人の秘書官三人のうち、当番の日は担当の秘書官が後藤田先生が行かれる全ての場所に同行します。三原山の噴火の時、あの時は、私しか官邸にいなかった。三原山が大爆発したということで、後藤田さんがまず言ったことは、「今日中に大島にいる人を全員島外に避難させろ」ということでした。役人はみんなぶつぶつ言ってたけども、後藤田さんから言われたら仕方がないとわかっている。その後藤田さんが最後に言ったのは「責任は全部俺が取る」。これを言うから、役人はみんな安心して一生懸命やったのです。

香村 その官房機密費っていうのは、衆議院議長にも渡すんですか。国対委員長に渡す時もあれば、野党政治家に渡したりとか――

平沢 これはわかりません。私はそれがお金かどうかも、中を見てないのでわかりません。金庫にいくらあるかもわかりません。ともかく国会でもし資金が必要となれば金は党から出るのでないですか。使途はね、例えば昔の官邸はものすごく開けっぴろげで、官房長官の秘書官室にマスコミが平気で入ってきて、自分の机のように電話をかけまくったりしてました。だから、マスコミは官房長官や秘書官が今、何をしているか、おおむね分かっていたと思います。

香村 官房機密費の原資は、外務省からも流れてきているということですね。

平沢 そのお金はどこかから持ってこなきゃならないわけです。どこから持ってきたか、それは私にはわかりません。

香村 田中角栄なんかは自前の金で配ってたということですね。

平沢 田中元総理は、いっぱい持ってますからね。

香村 結構、裏金も作って――(つづく)

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