連載•小説 就職氷河期世代〝票田獲得合戦〟に見る、場当たり政治の無節操ぶり
就職氷河期世代〝票田獲得合戦〟に見る、場当たり政治の無節操ぶり
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2025/05/15

「夏の参院選に向け、にわかに就職氷河期世代に脚光」といった報道がこのところ相次ぎ、実際、与野党で支援策のアピール合戦が繰り広げられている。4月25日に政府・与党が、関係閣僚会議で初会合を開き、同じ日に立憲民主も政策提言を公表した。

 途に就けたのは国民民主とされる。確かに24年9月にこの世代の先行きを見通して、「最低年金保障制度」の創設に加え、官民での採用拡充を政府に提言していた。ところが同党が4月10日に提出した「若者減税法案」では、30歳未満を対象に所得税を軽減する法案だったために、逆にSNSでは「氷河期世代は後回しか」と怒りを買った。だがそうして怒りを買うくらい、この世代への支援に注目が集まっているということでもある。

 改めて氷河期世代について言えば、91年ごろのバブル崩壊から97年の金融危機などがあって就職率が落ち込んだ「就職氷河期」(93~04年)に新卒を迎えた40~50代前半の世代のこと。この世代は08年のリーマン・ショックも加わり、つまりは新卒から3現在までが「失われた30年」にまるまる相当する。苦しくないはずがない。この世代の高齢化が現実味を帯びてきた以上、対策は待ったなし。そこで注目が集まっているというわけだ。

 そしてこの世代は、現在70代半ばくらいの第1次ベビーブーマーの子ども世代。なので当然、人口も多く、約1700万人。有権者の6分の1を占めるため、「大票田」につながる。そこで夏の参院選を前に、この世代対策が問われている、というのが多くの報道の趣旨だ。では果たして本当にこの世代へのアピールが、国政を動かすことになるのだろうか。

極めて「今さら」な無責任ぶり

 総務相が公表している世代ごとの投票コードを見ると、令和6年10月に行われた参院選挙の投票率は、10代39.43%、20代34.62%、30代45.66%、40代52.66%、50代59.16%、60代68.02%、70代以上60.42%で、全体53.85%と比べると、やはり「シルバー民主主義」の実態が垣間見える。そこで10年ごとの国政選挙での世代別投票率を見ると、平成26年12月の衆院選では世代別投票率はほぼ世代ごとで数字があまり変わらない。さらに50年ほど前の昭和47年の衆院選で見ても、高齢者ほど投票に熱心なのは同じ。ただ当時は全体の投票率が71.76%で今よりもグッと高いこと、また世代ごとの投票率の左は今よりもだいぶ拮抗していて、40~60代の投票率がいずれも80%を超えて高かったことが異なるが、この数字から見ても、今後もやはり就職氷河期世代が今後の大きな「大票田」となることは歴史が証明している。

 前述のように、直近では国民民主がこの世代をターゲットに政策を打ち出したことから、与野党含めにわかにアピール合戦が始まったわけだが、もちろん支援の必要性は今に始まったわけではない。

「安倍政権時代のアベノミクス時代にも、この世代がトリクルダウンの恩恵に預かれずに、全体的な底上げの足かせになっていました。そこで安倍政権では19年に既にこの世代への集中支援策で3年間の『集中プログラム』を策定していました。そして岸田政権を経る中、賃金上昇も加わってリスキリングの必要性がなども謳われるようになりました。なので流れとしては、やっと支援の本格化の機が熟したということでしょうか」(政治部記者)

 かねてから課題として指摘されつつ、長年、放置されてきたこの問題。ようやくこの世代が高齢化して、大票田として見込めるようになると政治課題として本格的に顧みられるようになるというのは、「何を今さら」というこの世代の声が聞こえてくるようで、なんとも情けない話ではないか。 

 

 

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