2025/05/15
大都会の”盲点〟船通勤、このままだとなくなってしまうかも!?実は、捨てたもんじゃないんだぞ!
(写真 晴海の船通勤 ホームズより)
映画「釣りバカ日誌」の主人公・浜ちゃんのように地上の渋滞や電車の遅延を避けて、水面を八(中本賢)の操船する釣り船でスイスイとはいかない。都一押しの「船通勤」が普及しない。「豊洲~日本橋」「晴海フラッグ~日の出」の区間に通勤向けの定期航路が就航している2航路は、現状で「1便の利用者が数名~十数名」と通勤利用者をほとんど見かけないお寒い現状だ。
えっ!という話になるが、船通勤の弱点は「通勤時間帯に船がいない」ことだ。普段は遊覧船・チャーター船として航行しているの“スキマ時間”を活用して運航しているため、運航時間も短く就航も週3日程度。通勤向けというより、プロジェクト名に「通勤」と付いているだけのシロモノだ。また、船上は風が心地よいもののイコール冬場は寒い。船がたどり着くまでに強風で芯まで凍えるという普通の勤め人には耐えがたいものでもある。また、片道500円(天王洲~五反田航路は900円)という電車やバスより大幅に高い運賃が利用を阻む。水の抵抗を受けて進む小型船は、クルマ・バスよりはるかに燃料費が高く、着岸・接岸を行う船員も必要だから「ワンマン運転」が難しく、嵩んだコストを運賃に反映せざるを得ないからだ。これでも運行各社は都から「最大1日10万円(費用総額の1/2以内)の補助」を受け、何とか500円で踏みとどまっている。
都は船を鉄道・バスに次ぐ通勤手段に引き上げるという試みとしているが、以上の理由からこれは無理。しかし都には「防災体制の構築・維持」という別の目的がある。首都圏直下型地震(震源を都心南部と想定)が発生した場合、東京都の建物被害は約19万戸、死者は約6000人、避難者は約300万人と予測されている(東京消防庁資料より)。各地では道路の寸断・落橋で、避難できなくなり孤立する事態が起きるだろう。そのため都では、災害対策として30カ所以上の防災船着場を確保しており、通常は遊覧船の発着など民間の利用を認めている。大阪では「万博開催・アクセス航路の開設」という大義名分が加わり、災害対策の懸案であった「淀川本流の閘門新設」「船着場の整備」が実現したが、地方では、尾道市向島(広島県)、北九州市若松区・戸畑区(福岡県)、鹿児島市桜島などで「船通勤・通学」が盛んだ。ただ、各地域とも少子化や人口減少などで航路の利用者は減少、採算に苦しんでいる。いまだに利用は盛んとはいえ、各都市とも億単位の補助金や第3セクター化などで何とか維持させているのが実情だ。持ち耐えることができるか船通勤・通学!
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