2025/04/20
日本経済再生の起爆剤となるか?ロケットビジネス 「有人」ロケットの発射は果たして…
(写真 種子島宇宙センター JAXA HPより)
日本政府は2023年11月の「宇宙開発戦略本部」で「2030年代前半に年30回」という打ち上げ目標数を発表した。現状は、23年の2回から増えたものの24年の打ち上げ成功回数は5回に留まっている。一方、米国宇宙財団が発表した24年の世界におけるロケット打ち上げ回数は259回。その過半数の152回は米スペースXによるものだ。日本の打ち上げはあまりに少ない。その理由の1つには、漁業補償という大きな問題も横たわっている。もう1つの問題は、市場が拡大する宇宙市場で日本が存在感を示すために民間のロケットと発射場の確保が必要不可欠となっていることだ。日本の場合、民間によるロケット打ち上げはゼロだ。こうした現状を打開するため、24年から10年間、総額1兆円規模の支援によって、宇宙関連技術や産業の競争力強化を図ろうという宇宙航空研究開発機構(JAXA)による宇宙戦略基金もスタートしている。
打ち上げの高頻度化には、第一に衛星やロケットの開発から打ち上げに至るまで、その担い手となる企業の育成や「宇宙輸送力」全体の向上が欠かせない。次に打ち上げる「場所」となるインフラを整備することが重要だ。国内ではJAXAが所有する種子島宇宙センターと内之浦宇宙空間観測所の2カ所が日本の打ち上げを牽引してきたが、これらはH3やイプシロンなど国の基幹ロケット専用の射場である。「年間30回」という目標を達成するためには、民需の拡大と並行して、より多くのロケットを発射できる新たな拠点を拡充させなければならない。現在、民間や自治体主導でインフラを確保する動きがある。ロケットの発射台だけでなく、研究開発施設なども併設された宇宙へのアクセスの拠点としての「宇宙港(スペースポート)」の整備だ。検討段階のものも含めると北海道、福島、和歌山、大分、沖縄の各県と洋上を含めた6カ所。さらに今年2月には高知県も名乗りを上げた。
各地で「宇宙港」が芽吹こうとしているわけだが、こうした動きを止めないためには、民間任せにせず、国が前面に立つべきだが、それには2つのハードルを乗り越えなければならない。
1つ目は漁業者との調整だ。ある関係者は、現行制度では打ち上げ時に警戒区域への進入を禁止したり退去を命じたりする法的根拠がなく、漁業関係者には協力願いをするしかない。実際、昨年3月9日には、スペースポート紀伊(和歌山)から「カイロス」1号機の打ち上げが予定されていたが、ロケット発射直前に警戒区域への船舶の侵入が発覚、打ち上げが延期となっている。また漁業関係者への「補償金」の負担も小さくない。漁業権の問題があるからだ。水産政策実施上では海は国民共有の財産であると認識されているが、法律上、漁業権は「物権」だから、土地と同じ扱いで妨害行為排除権を有するため、実際に漁を行っていなくても補償を受けられる。
そしてもう1つは法律の整備だ。民間の宇宙港には、ロケットの打ち上げ以外にも一般人が宇宙に行く「宇宙旅行」ビジネスを目論む基地もある。日本の打ち上げに関する法律「宇宙活動法」の対象は無人ロケットや衛星であり「人」に関する記載はない。「有人」を意図する企業も出てきているなか、その拠り所を一刻も早く整備する必要がある。
日本ロケットの「有人」化は、掛け声だけは聞こえるが、その姿はまだ見えない。
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