社会•事件 野球バカはいらない 明治大学に見る今どきの東京六大学野球事情
野球バカはいらない 明治大学に見る今どきの東京六大学野球事情
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2025/04/07

もう昔ながらの〝野球学部〟じゃ、どこにもだれにも通用しない。明治大学硬式野球部が目指すこれまでにない〝目標〟

(写真 明治大学硬式野球部公式HPより)

 15年連続でプロ野球(NLB)ドラフト指名選手を輩出している明治大学硬式野球部は、今年も分厚い戦力で16年連続は確実な情勢だ。しかも昨年ドラフトまでの過去15年で、昨年の楽天・宗山塁内野手をはじめ10人のドラフト1位指名選手を輩出している。今、日本のアマチュア野球界で、最も有望選手が集まるチームが明治大学だろう。これまでの15年間での指名は計26選手もいる。まさに「プロ生産工場」であるとはいえNPBは華やかな世界だが、成功しているのはほんのひと握り。毎年、年末になれば「戦力外通告」なる報道が出る。引退してからも球団に残れる人はほんのわずか。まだ20代前半で社会に放り出されるのだ。だったら野球生活が終わってもクビにならない企業に就職したほうがいいのではないかと他人事ながら思ってしまう。

 実際社会人野球チーム(ノンプロ)を持っているのは、日本を代表するようなトヨタやNTT、JRなど大企業がほとんどで、東大や京大など旧帝大、早慶など一流大学出身が社員にゾロゾロいる。明治大学レベルの一般学生が希望してもなかなか入れるものではない。それが「野球」が付いているだけで入社できるのだ。したがって東京六大学で野球をしたいと願う高校球児は多い。だが野球道はつらく厳しいのも確かである。明治大では、神宮球場で公式戦がある日、ベンチ入りするメンバーは球場までチームバスでの移動だが、メンバー外の部員は自転車で駅まで出て、電車を乗り継いで球場に向かう。そこでは必ず大学のブレザーかポロシャツを着用するので、何かあれば「明大の野球部員だ」とすぐにわかる。下手なことや常識のない行動は取れない。明治大学野球部は「スター軍団」と持て囃されるが、ただがむしゃらにかき集めているわけではない。毎年スポーツ推薦で15人の新入部員が入学してくる。そこには大学が設定した明確な基準がある。

 野球レベルがプロに近いというだけでは合格しない。スポーツ推薦の基準は、1つは全国大会への出場実績だ。また甲子園未出場でも高校3年生の段階でプロから高い評価をされていたり、アンダー18日本代表に選抜されたことがあることも条件となる。したがって自ずと甲子園で活躍した強豪校の中心選手やドラフト候補の逸材が集まっては来るが、入学後の学業についての基準も明確に設定されている。4年間で単位を取得して卒業することが最低ノルマで、そこに漏れてしまうと、その選手以降の出身校の推薦枠に影響を及ぼしかねない。だから定期試験が近づくと練習は早く終わる。勉強の時間を確保し、しっかり単位を取らせる。学部によってはかなり厳しいところもあるので、微妙な状況(単位落ち)にある部員は練習を休ませて、提出物などを作らせたりすることもよくあるそうだ。立教大出身で日本ハムなどの監督経験者である大沢啓二氏は、「俺も長嶋(茂、ミスタージャイアンツ)も“野球学部”出身だからよ」などと半分冗談とも本当とも取れるセリフを述べていたが、現在は野球部であろうが、大学生は授業優先というのは当たり前の時代になっている。スポーツ推薦以外にも付属校、指定校推薦、一般入試組とスポーツ推薦以外からの入部希望者もいるが、こうした選手たちは事前に練習会を行い、レベル的に付いてこられないと判断される選手については「入部はやめたほうがいいのではないか」とはっきり伝えられる。

 東京六大学には、東大も加入しているが、6大学すべてが学業も野球も厳しいというのが現実なのである。

 

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