2025/04/10
大河『べらぼう』劇中では西村まさ彦が演じる西村屋与八も、地本問屋の大手。実は、鱗形屋孫兵衛――片岡愛之助演じる孫兵衛本人か先代かは不明――の次男であり、西村屋に婿養子として入ったとされる。宝暦年間(1751年~1764年)から錦絵を手掛け始め、美人画の名手で錦絵の先駆者・鈴木春信ら著名な絵師を抱えて活躍した。
蔦重とは当初は足並みをそろえ、正月に初めて着用する着物を吉原の遊女に着せるという趣向で『雛形若菜初模様』を出版。いわばファッションカタログの先駆とも言うべきこの作品はすでに劇中でも登場したが、以後6年間、150点以上が制作された。
その後、蔦重と決別した西村屋は、後世に残るスター絵師・鳥居清長の美人画を手掛け、後に喜多川歌麿、東洲斎写楽らを手掛けた蔦重とはライバル関係となっている。扱うジャンルは重複するが、ベンチャー気質の蔦重と比べるとその商法はオーソドックスで伝統的だったとされている。
すでに述べた鱗形屋孫兵衛についても触れておく。万治年間から浄瑠璃本を刊行していた地本問屋の草分け的存在。安永年間(1772年~1781年)頃までは江戸の地本問屋のトップを張っていた。『吉原細見』や往来物、錦絵や草双紙で一時代を築いたとされている。黄表紙の先駆けとなった『金々先生栄花夢』についてはすでに触れた。
しかしその後はすでに記した通り、上方の出版物の無断コピーなどの事件に連座し、次第に衰亡していった。(つづく)
主な参考書籍:鈴木俊幸『絵草子屋 江戸の浮世絵ショップ』平凡社
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