社会•事件 ヨーカ堂撤退に地元は怨嗟の声“反社?”と化したセブン&アイに明日は来るのか
ヨーカ堂撤退に地元は怨嗟の声“反社?”と化したセブン&アイに明日は来るのか
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2025/03/29

いまや〝反社〟あつかいとなってしまった、イトーヨーカ堂、そして、セブン&アイ 今そこにある危機をどのように乗り越えるか

(写真 アリマンタシォン・クシュタール社 Wikipediaより)

 カナダのコンビニ大手「アリマンタシォン・クシュタール(ACT)」からの買収提案(24年8月)に揺れるセブン&アイホールディングス(以下:セブン)は3月6日、井阪隆一社長が退任し、後任にスティーブン・デイカス氏が就任すると発表した。セブンは、米国のコンビニ事業の大幅減益などを受け、2024年8月初旬に株価は一時1600円台まで急落した。こうした中1株あたり18.19ドル(約2700円)、総額7兆円規模の買収提案を持ちかけたのがACT社だったが、この買収提案に対抗するため、井阪氏はセブンの大株主である創業家と連携してMBO(経営陣等による自社買収)による非公開化を模索した。総額8~9兆円規模になる日本最大のM&A案だったが、2月末にMBOへの約1兆円の出資を検討していた伊藤忠商事が中止を表明し、これを合図に構想は瓦解した。デイカス次期社長は、ファーストリテイリングやウォルマートを経て、西友のCEOを務めてきた“プロ経営者”。海外事業の経営や財務に詳しいデイカス氏を社長に据えたことで、セブンの将来は海外展開の強化を図るという構図が見えてくる。ただし新社長となるデイカス氏は、指名委員会(セブン取締役会の諮問機関、委員長および過半数の委員を独立社外取締役としている)委員長から退いたものの委員会のメンバーとして残った。これは経産省が23年に公表した「М&Aのガイドラインの趣旨から逸脱している」との指摘も出ており、ACT社や5月の株主総会で問題視される可能性がある。

 ACT社は日本でも馴染みがあった「サークルK」や「クシュタール」などを展開し、29カ国に約1万7000店舗を持つグローバル企業だが、店舗の7割以上がガソリンスタンド併設型で、売上の大部分も燃料関連が占めるという日本のコンビニとは似て非なる存在だ。したがって日本のコンビニの持つ“社会インフラ”としての機能が棄損されないかという疑問やまた店ごとにオーナーがおり、店ごとの雇用・生活が守られるのかという問題も残る。3月6日の社長交代会見では、セブンの企業価値を高めるための新たな施策も発表された。そのポイントは3つ。まずコンビニ事業を強化するため、事業の整理を行う方針が示された。北米でセブンイレブンを運営する「セブン-イレブン・インク」を26年下半期までに米国の株式市場に上場させること。その場合、少なくとも兆円単位の資金調達が可能ともいわれている。ただし米セブン社長のジョゼフ・デピント氏がセブンの取締役を突如、辞任し、「ACT社に寝返るのではないか」という衝撃も走っている。また日米をまたぐ親子上場を米金融当局がすんなりと認めるかどうか。

 次に傘下のイトーヨーカ堂やデニーズ、ロフトなどの事業を束ねる中間持ち株会社「ヨーク・ホールディングス」の株式を米国の投資ファンド「ベインキャピタル」に約8000億円で売却することも発表された。さらにセブン銀行も、株式の保有比率を40%未満に引き下げるなどコンビニ事業へ集中する姿勢を明確にした。問題は米国ではセブンイレブンとクシュタールが、コンビニ店舗数1位と2位企業であり、もし両社が統合すれば日本の独占禁止法にあたる「反トラスト法」に抵触する可能性が高い。「セブン-イレブン・インク」の上場と同じく米金融当局が認めるかどうか。ACT社は売上や利益はセブンと同規模ながら時価総額はセブンを上回る。すでに一部報道では、セブンがACT社ら買い手候補と秘密保持契約(NDA)を締結したとも伝えられている。ただし、広報担当者は「M&Aを受け入れたわけではない」として、協議の余地を示しているとしている。

 すでにイトーヨーカ堂が突如撤退した地域では、消費者から「反社会的行為だ」だとの怨嗟の声が上がっており、姿を消した場所や近隣にイオンが消費者の“白馬の騎士”として登場した地域がいくつかある。またローソンがコンビニ王者、セブンイレブンに迫っており、セブンの前途は洋々とはいかないようだ。

 

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