2025/03/28
体の細胞を患者の脂肪などから採取し、点滴や注射器を使って患者の体内に戻す「再生医療」。病気やけがで損なわれた組織や臓器を修復する治療で、糖尿病や腎臓病などの病気改善のほか、健康や美容に効果があるとされている。難病治療にも期待が寄せられている再生医療だが、最近は自由診療で行われていることもあってか、トブルが後を絶たない。行政による監視強化が不可欠となっている。
◆2014年に再生医療安全性確保法が施行
大学病院の臨床研究などで行われる再生医療の場合、一定程度の安全性が担保されている。一方で、保険外の自由診療を行う民間クリニックなどでは、安全性や有効性に疑問を抱かざるをえないような「えせ再生医療」が目立ち、患者に副作用が出たり高額代金を請求されたりするなどのトラブルは前々から相次いでいた。
政府は対策に向け、再生医療を行う全医療機関に対し、治療計画を策定して国に届け出ることを義務づけた再生医療安全性確保法を2014年に施行。医療機関は、国が認定する有識者委員会で計画の安全性について審査を受けなければならないとも規定している。
だが、最近でもトラブルが続き、患者が重症になるなど深刻なケースも少なくない。昨秋には東京都内のクリニックで、がん予防を目的に細胞の投与を受けた2人の患者が重い感染症にかかり、緊急搬送されたケースも発生。厚生労働省がクリニックの運営法人に行政処分を下す事態にまで発展した。
◆安全性の根拠が乏しいケースも
再生医療安全性確保法に基づき、医療機関には治療計画の届け出が義務づけられているものの、治療計画そのものの安全性に根拠が乏しいケースも少なくないようだ。国立がん研究センターなどが、国に届け出のあっ治療計画を調べたところ、安全性の根拠が疑わしいケースが25%も締めていたという。
ただ、そもそも治療計画は、有識者委員会の審査を経ているものであるため、いい加減な甘い審査が横行していることの裏返しともいえる。現在の有識者委員会の人選や審査の在り方に問題がないのか、改めて見直すべきではないか。
再生医療を展開する医療機関で安全性を担保していくためには、行政が厳格にチェックする仕組みを構築する必要があるだろう。有識者委員会によるずさんな審査を許し、問題のある再生医療を放置することは許されない。
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