2025/03/12
中国産日本米が中国国内で広く普及している
(写真 農林水産省HPより)
二つ目の要因は中国国内での日本米の栽培の普及と増加である。オーストラリア産の和牛がアジア各国やヨーロッパで日本の和牛より格安で販売されているのと同じ仕組みである。中国国内では中国で生産されたコシヒカリやあきたこまちが日本産と比較して五分の一から十分の一の価格で流通しているという。いくら日本産コシヒカリの品質が良くても一部の高級レストランや富裕層にしか届かない。これだけの価格差があると中国で流通する日本米のほとんどが中国産の日本米となるのは当然ことと言える。中国国内ブランドとして高い評価を得ているブランド「五優稲4号」に関して中国政府の公表するデータを分析すると3代遡ったところで日本種との掛け合わせであることがわかる。中国米「遼粳5号」は日本種の「豊錦」との掛け合わせ、中国米「合江12号」は日本種の「石狩白毛」との掛け合わせ、中国米「合江16号」は日本種の「蝦夷」との掛け合わせ、中国米「合江20号」は日本種の「下北」との掛け合わせであることがわかる。1910年の日韓併合によって日本米は朝鮮半島で広く耕作されるようになった。その後、1931年の満州事変、1932年の満州国政権設立以降に日本人が満州開拓団として入植する。それから間もなく中国国内でも中国米と日本米との掛け合わせによって普及していく。多くの中国人が「五優稲4号」が日本米との掛け合わせであることは知らないようである。そもそもコメの栽培は中国から日本に伝わり、日本で品種改良が進められ、再び朝鮮、満州を経由して中国に戻ったことになる。所得の上昇にともなって中国で消費されるコメは急速に高品質化、高付加価値化が進んでいる。その中国米ブランドの多くが日本米にルーツを持つとは因果な巡りあわせである。品質は良いがそれ以上に価格が高すぎる日本のコメが飛躍的に需要を伸ばす余地は限られている。中国では既に中国産日本米が広く普及しており、日本から輸出するコメよりも安く手に入る状況にある。そのことが対中国への日本米の輸出が伸びない要因になっていることは否めない。(つづく)
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