江戸の出版物を規制する法律は、あの名奉行が作った
連載•小説
2025/02/25
蔦重の時代から半世紀ほどさかのぼった8代将軍吉宗の時代、1722(享保7)年に出された出版条例は、幕末まで続く出版統制の規準となった。贅沢がはびこると世が乱れる、という発想の下、出版物もその一つとされて取締りの対象となった。
しかし、「出版物は他の物品とは違う」と気付いて、それまでの出版取締令をいったん整理し、再構成したのが当時の江戸町奉行・大岡越前守だった。今もその名が残る名奉行は、行政官僚としての手腕も高く評価されている。
その内容は、
① (幕府に都合の悪い)異説を唱える出版物を出すな
② 好色本は出すな
③ 先祖・家系について書いてはいけない
④ 必ず巻末に出版社・著者の名前を入れよ
⑤ 徳川家・幕府に関することを書いてはならない
…の5カ条。さらに、世の中で起きた事件(心中事件など)についての出版の規制を改めて強化し、翌1723(享保8)年には心中事件の脚本化・上演が禁じられた(『曽根崎心中』など事件ものを執拗に出し続けた近松門左衛門が標的だった)。
この条例を出す前に、大岡越前は「書物問屋仲間」の結成を促した。
以前から重板(パクり)、類板(同じ内容だが若干手を加えた出版物)を抑えるために仲間内で集まる組織はあった。幕府は1716(享保元)年にそれを公認し、重版・類板を正式に禁じると同時に行事(問屋仲間の世話役)に命じてこの条例を守るよう徹底させた。
京都に続き大阪、江戸の出版界でもこの問屋仲間が形成されるのだが、1750(寛延3)年、上方の問屋仲間と、一段低く見られていた江戸のそれとの間で抗争が起こる。(つづく)
主な参考文献:今田祥三『江戸の本屋さん』平凡社
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