2025/02/08
田沼意次が辣腕を振るった時代を、いったん歴史の教科書通りに振り返ってみよう。
リアリストだった意次は、テレ朝『暴れん坊将軍』でお馴染みの8代将軍吉宗の「殖産興業」「商業資本利用」路線を継承して、傾きかけた幕府の財政を立て直そうとした。
まず、大坂商人の出資で下総国の利根川水系に当たる印旛沼・多賀沼の干拓に着手した。次いで長崎の貿易において金銀での支払いを控えてその流出を抑え、銅・俵物(俵に詰めて輸出された海産物や米穀)などで代替。金銀は中国・オランダから輸入した。
また、蝦夷地の現地調査を命じてその開発を目指したほか、当時頻繁に日本近海に船が出現していたロシアとの通商の計画を立てていた。その他、銀・銅・真鍮・人参・朱などの専売制や、石炭・硫黄・油を、特定の商人たちに株仲間を組成して扱わせる代わりに冥加金・運上を徴収した。
要は、発展してきた民間の商業資本を幕府が統制することで確実に税収を上げ、財政再建を目指したわけだが、同時に大商人や株仲間から幕府官僚へのわいろが横行。意次自らが受け取るという乱脈ぶりで、半ば公然と受け渡しがされていたという。
ちなみにNHK大河『べらぼう』劇中では蔦屋重三郎=蔦重が地本問屋の株仲間の壁に阻まれて落胆するシーンがあったが、1783(天明3)年、『吉原細見』販売開始から10年後の34歳で日本橋通油町の事本問屋を買い取り、地本問屋の株を手に入れることになる。
ともあれ、政治の腐敗は頂点に達して道徳は退廃し、世相は混乱した…これが長く語られてきた意次のわいろ政治である。(つづく)
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